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天海祐希のコメディエンヌぶりにあっぱれ!映画『老後の資金がありません!』

録画しておいた映画『老後の資金がありません!』をこの週末やっと観ました。公開時に映画館で観るつもりだったのですが、当時仕事が忙しくなかなか時間を作れなかったのでした。

思えば天海祐希という俳優さんの出演作のドラマはほぼほぼ観てきているような気がします。「離婚弁護士」「Around40〜注文の多いオンナたち〜」「BOSS」「カエルの王女さま」「緊急取調室」「偽装の夫婦」「Chef〜三ツ星の給食〜」「トップナイフ-天才脳外科医の条件-」etc…。こうしてタイトルを書き出してみるだけでワクワクしてきます。

どんな時でも凛としていてカッコよく、強さと優しさと美しさとかわいらしさと面白さ・・・クルクル変わる様々な表情を持ち合わせていて、同性として心から憧れる存在です。御年55歳には見えない美貌には感服です。

映画『老後の資金がありません!』は、そんな天海祐希のコメディエンヌぶりが見事に発揮された作品でした。

ストーリーの大枠は知っていましたが、立て続けに天海祐希演じる篤子に降りかかる災難の連続に、コメディと分かっていても余りにも救いがなさ過ぎて途中まではかなり辟易させられました。

●舅の葬儀代費用400万近くの出費
●姑への仕送り毎月9万円
●パート先をリストラされて失職
●娘の結婚式費用に折半でも300万円の出費
●娘の結納金100万円を特殊詐欺で奪われる
●夫の会社の倒産で、退職金2000万円がパー&夫が失職

篤子が倹約して貯めた700万円程度の貯金なんてあっという間に使い切ってしまうんだなーという恐怖すら感じました。これは庶民(もちろん私自身も)にとっては現実であって、夫がもし病気になってしまったら・・・とか決して他人事ではない切実な問題を秘めているわけでして・・・。

姑への仕送りが厳しいからと同居を決めた篤子に、浪費家の姑・芳乃はお金がないのに相変わらずの豪快な金遣い!オマケに「生前葬」を開きたいと言い出す始末。私ならここでギブアップです!

映画はこの芳乃の「生前葬」からラストに向けて、ホロっとさせられる展開に。

篤子はこれ以上芳乃のわがままに付き合えないと「生前葬」を欠席。けれど、狭心症の薬を忘れた芳乃を心配して薬を持って駆け付けると芳乃のスピーチが聞こえてきて・・・。

「夫が死んで寂しくて仕方が無い時、一緒に暮らそうと言ってくれたのが篤子さんだった。篤子さんには感謝しています。篤子さんは命の恩人です」

芳乃に振り回されながらも篤子と芳乃は嫁と姑としての絆を深め合っていた・・・その二人の様子を見た実の娘・志津子は悔しく(寂しく?)なり、芳乃を引き取りたいと言い出しました。ここら辺、義理の姉と母との関係性をうらやましく感じる娘としての複雑な感情が上手く描かれていたと思います。

志津子の家に向かう時、「生前葬」で黒字になった10万円を「あなた自身のために使いなさい」と篤子に渡してから最後に芳乃が言ったセリフ。実はこのセリフ、最初他のセリフだったのを芳乃役の草笛光子が変えたいと提案してこのセリフになったそうです。

「人間わがままに生きた方が勝ちよ」

いつも家族のため、誰かのために自分を後回しにして生きて来た篤子に対して芳乃が言ったこのセリフはなかなか奥が深いと感じました。篤子は前から欲しかったバッグをその10万円で自分のために購入しました。篤子にとってはささやかな”わがまま”の第一歩といったところだったのでしょう。

その後夫婦はお互い無事に就職し、子供二人共独立した後に家を売ってシェアハウスで暮らすことに。確かに映画の中盤、夫・章と篤子がシェアハウスに遊びに行くシーンがありましたが、この選択肢は意外でした。でも、これこそ今風の生き方の一つなのかもしれませんね。シェアハウスは他人同士が互いに助け合える小さなコミュニティ。夫婦二人で老後を心配して過ごすだけの人生ではなく、周りの人と共存して楽しみながら生きるのもアリかもしれません。

「老後2000万円問題」がフューチャーされて以来、年金だけでは老後の生活は維持できないから定年後もずっと働き続けなければいけない!という強迫観念みたいなモノを植え付けられている気がします。「人生100年時代」と言われている昨今仕方がないのかもしれませんが、実際問題「健康寿命」を維持した状態でなければ働くこともできないし、その上貯金も潤沢に無ければどうやって生きていったらいいのか途方に暮れてしまいますよね。

でも、少なくとも自分の人生一度きり!どう生きていくかは自分次第だし、老後のお金の心配ばかりしてクヨクヨ生きるよりも、日々後悔なく生きる道を模索していく方がずっと楽しい気がします。篤子たち夫婦が選んだ道はそのヒントの一つになり得るのかもしれませんね。

最後に流れた主題歌、氷川きよしが歌う「Happy!」を聴きながら、何とも幸せな気持ちで映画を観終えたのでした。

劇場版「緊急取調室 THE FINAL」も今から楽しみです!
長い文章を最後まで読んで頂き、ありがとうございました。





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