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『作りたい女と食べたい女』の原作マンガがあまりに素晴らしかったので、ドラマ版も観なければ!と思っています

ドラマ『作りたい女と食べたい女 シーズン1』は、何話かは観て面白いと思いながらも、月~木の「夜ドラ」枠だったのでずっと観続けることができずに結局途中で断念してしまいました。リアルタイムで観ないと、15分のための録画というのは他のドラマとバッティングしてしまったりで難しく…。

原作はまったく読んだことがなかったんですが、野本さん役の比嘉愛未は”料理好きの女子”という雰囲気にピッタリで、なんと言っても春日さん役の西野恵未の”食べっぷり”が実にお見事で「この人はいったい誰?」と気になっていました。調べてみたら、なんとミュージシャンだったとはビックリでした!二人とも原作のイメージ通りのキャスティングでした。

それにしてもあれだけ気持ちよくバクバクと自分の手料理を食べてもらえたら、作りがいがあるというものです。美味しそうな料理もドラマの主役ではあったので、これは新たな”飯テロ系ドラマ”かと思っていました。でもNHKのドラマならではの、もっと”深いモノ”がしっかり描かれていたんですね…。

ドラマ『作りたい女と食べたい女 シーズン2』が今年始まったのも知っていたんですが、同様の理由で観れませんでした。

でもこのドラマがずっと気になっていたので、久しぶりにKindleで原作マンガを大人買いして”一気読み”してしまいました。”全5巻”と書いてあったので勝手に完結したと思い込んでいたんですが、今年の2月に5巻が発売されたばかりだったんですね!

作者のゆざき先生が体調不良でしばらく休載されていたようですが、昨年の12月から連載再開したそうです。二人のこの先も気になるので、これは引き続き新巻が出たらKindleで買い続けていくことになると思います。

ストーリー展開は「あっ、こういうことなのね…」とちょっと意外な感じでした。野本さんが春日さんに恋心を抱いていることに気づいた…というくらいでドラマの「シーズン1」は終わったんですかね?

二人をはじめとする登場人物たちの心情が非常に丁寧に描かれていて、マンガを読んでいるというよりはまるで小説を読んでいるかのような感覚でした。ゆざき先生の絵も”私好み”なんですよね。とても緻密でキレイな絵。料理の絵なんて、まるで写真のように実物が色付きで浮かんできました。

最初は「料理を大量に作りたい」という欲求を満たし、春日さんに気持ちよく食べてもらうことに喜びを見出していた野本さん。二人の距離が少しずつ近づいていくにつれ、自分が女性を好きなこと…すなわち春日さんを″恋愛対象″として見ていることに気づいていく過程がとても自然で、微笑ましくすら感じました。春日さんの方もしかり。

春日さんの場合は家族との関係性にずっと悩んで生きてきて、3巻では父親から一方的に家に帰って来いという電話がかかってきました。その電話に対しての春日さんの言葉は「家族を捨てる」という彼女の本気度の証でした。

「でもそこにいたら、私は私でいられなくなる。父さんの言う『家族』では私は『家』の一部になる。一部だから傷つけられても謝ってもらえないし、尊重もされない。私は『家のなにか』じゃなくて『私』でいたい。だから…その家には一生戻らない。葬式とかにも出たくないんで、もう連絡してこないてください」

マンガ『作りたい女と食べたい女』第3巻より

その電話を切ったあとにラジオから流れてきた「選ばれた家族」という言葉。〈あなたを受け入れ、思いやり、安心を与えてくれるひと。血の繋がった親族は選べないけど「選ばれた家族」は自分で見つけることができる…あなたは誰を思い浮かべますか?〉

春日さんはこのとき「そうか…私ずっと野本さんと家族になりたかったんだ」という自分の想いに気づき、野本さんのことを好きだと確信しました。野本さんへの、恋愛感情以上の春日さんの想いが感じられたこのシーン。とても印象に残っています。

マンガを読んでいて興味深かったのは、ゆざき先生の心遣いというか「次のお話ではこれこれこういう用語が使われたり、精神的なストレスを感じられる可能性がある場面の描写を含みます」というような「注釈」がつけられていたところです。これも「多様性の時代」に即した”プラス要素”なんでしょうか…。

確かにこのマンガは同性同士の恋愛や、性的マイノリティーへの差別、アセクシュアル、「会食恐怖症」(私はこういう症状があることをまったく知らなかったのですが)、家族からの攻撃的な暴言などなど…。扱っているテーマにかなりデリケートな内容も多く含まれています。ですが私自身は読んでいて非常に勉強になることが多く、自分の知識が広がったような気がしています。

想いが通じ合った野本さんと春日さんが同棲をするために引っ越し物件探しをしましたが、同性同士の同棲は「姉妹・兄弟・親族ならOK」だけれど通常はNGだとか。女の子同士でシェアして暮らしているケースはあっても、"同性カップル"はNGということなんでしょうか…。

「LGBTフレンドリー」な不動産屋さんを紹介してもらえて二人は無事に引っ越し先の物件を見つけることができましたが、まだまだ社会的に風当りが強いこともいろいろあるのが現実なんですよね。

野本さんと春日さんに加えてyakoさんと南雲さんの二人も加わって、女四人の食事会での会話のやり取りも人間描写がそれぞれ素晴らしく、これを実写版でもやっぱり観てみたいと感じました。なのでドラマ『作りたい女と食べたい女』、全編再放送どこかでお願いします(笑)!

原作マンガも本当に素晴らしい内容だったので、ドラマが気に入った方はこちらもオススメします!

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