『情熱大陸』ジャズトランペット奏者・松井秀太郎の美しい音色に魅せられました
昨日の『情熱大陸』に思わず魅入って、いや聴き入ってしまいました。黒髪の”姫カット”が印象的なジャズトランペット奏者・松井秀太郎。彼の?彼女の?ここら辺ジェンダーが絡むので、あえて松井氏と呼ばせていただきます。
松井氏のトランペットの音色に、久しぶりに心が震えました。一般的なジャズトランペッターの音色とは一線を画す優しく深いその音色に、思わず引き込まれてしまいました。
おそらく松井氏の音色に惹かれた理由は、
この松井氏の感性が、ヴォーカリストのそれに近いものがあるからだと感じました。松井氏の演奏は”インストもの”を聴いているというよりも、”歌もの”を聴いている感覚に近い…。
私自身も「魂を込めて、歌に想いをのせて届けたい」というのをモットーに歌うことを心がけているので、(世界的に注目されているジャズトランペット奏者と比較するのもおこがましいですが(汗))目指すところが非常に似ていると感じました。
ニューヨークの一流ジャズミュージシャンたちが「タイム(音の長さを保つ能力)が素晴らしい。音も明確だから混乱しない。とてもクリアだ」と絶賛していたけれど、松井氏の音色は確かに一つ一つの音がハッキリしていて"美しい演奏"だと感じます。ジャズの世界は音もアウトしまくりでパワーありきのところもあり、どちらかと言えばテクニックの上手さを前面に出すタイプのミュージシャンが多いような気がします。
でも松井氏はそれよりも、自身の内面や感情を優先して”歌おうとしている”ところに他のジャズミュージシャンとの違いが感じられるんだと思います。
女友達とトークしているときの、昔は体重が今より20キロも少なかったという話にも驚かされました。
「自分の理想の音を出すために体の使い方が体重によって全然違って、1キロ刻みで体重をコントロールしながら音を探ってきた」という逸話には感嘆するしかありませんでした。まさに体も楽器の一部なんですね。
自分のジェンダーに苦しみ、一時は引きこもりになったこともあったそうです。自分がどう生きていけばいいのか?その不安に押し潰されそうだった松井氏を祖父母だけがあるがままに受け入れてくれたそうです。
悩みながらもトランペットとひたすら向き合い、自分は自分らしく生きようと決めた松井氏がクラシックではなくジャズの持つ自由さに強く惹かれたのは納得できました。
ニューヨークでの二枚目のアルバム・レコーディングの風景はシビレましたね。「Prelude」というシンプルなオリジナル曲の演奏シーンは特に心に残りました。ひたすら優しいその音色に涙が出てきました。
恩師であるジャズピアニストの小曽根真氏の、
この言葉に説得力がありました。松井氏の音色は、これまでの人生すべてが反映されているんだと思います。ただ楽器を演奏しているのではなく、そこに松井秀太郎自身が色濃く投影されている…。だからこそ、人の心に深く刺さる”何か”がそこにあるんだと感じます。
まだ若干24歳の、松井氏のこれからの活躍に期待が膨らみます。アルバム、ぜひ聴いてみようと思っています。