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雷・切る・空調・毛・ゴロゴロ・さつき

あ、雷だ。

午後九時を過ぎた辺りから徐々にじめじめと部屋が暑くなってきた。タオル地の半袖シャツとステテコという格好では、これ以上に暑さ対策を考えにくい。

ピピッ。

空調が命令を受けとる音。僕が涼しくなるための音。

ふぅって息を漏らす。ソファにもたれながら真っ黒いテレビの画面を見つめて、思い出したように靴下を脱いだ。本来の僕は裸足で部屋を歩くことが少し苦手だ。足の裏の感覚が気になってしょうがなくなるからだ。この時季にスリッパというのも足が蒸れて同じことになる。

それでも暑さには逆らえないから、脱ぐ。

空調の音を聞いて待っていると、今度はもみ上げが気になった。そういえば、散髪に行くことをサボってたんだった。

ヘアカット用のハサミを持ち合わせているほど、自分の髪を切るタイプではないが、今日はやけに行動的な僕がいた。幼稚園の頃から使っている左利き用のハサミを持って洗面台の前に立った。

シャリ、ジャキ、ムン、シャリ。

慣れない手つきで、閉じたハサミが髪の毛を引っ張り切り損ねる工程を何度も繰り返して、耳周りの伸びた毛が洗面器に散らばった。

これですっきり、部屋も涼しくなってきた。

ああ、夏だなぁ。

ゴロゴロ、ゴローン、ゴーン。

雷の音がまた聞こえる。

そうか、その前に梅雨だったよね。

ハロー、みなづき。

シーユー、さつき。

そんなことを思ったのよ。

つい、さっき。

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