オムライスが食べたくば、卵を買ってこい
小学校五年生頃のお話。
亭主関白イズムを持つ父が怒鳴る夜が時折やってくる。僕はそんな時、早めに布団に入ってぞわぞわする気持ちと戦いながら眠る努力をする。
怒鳴るパターンのほとんどは母とのちょっとした口論から始まる。壁の薄い一軒家だったので、どんな一言が火種になったかなんて聞き耳を立てなくとも分かるほどだ。
かと思えば、僕ら姉弟が怒鳴られたこともあった。玄関が汚れていると言われ、夜遅くに高校生の姉と中学生の兄、そして小学生の僕が玄関を黙々と掃除した。
父が帰ってくる時間