当事者にしかわからない繋がりってあるよね 映画「先生、私の隣に座っていただけませんか」(ワタトナ)
不倫がテーマなので、下手に感想を書くと墓穴を掘りそうな映画なんですが
その緻密な構成にサスペンス的な面白さもあるこちらの映画。
その数か月前に「さがす」という映画を見たのですが、それもちょっと結末が予想できなかったのとテーマが複数入っていて見ごたえがある映画だったのですが、「さがす」の展開や構成がお好きな方ならこちらも楽しめると思います。
不倫ものなので、その点で受け付けない方もいるかもしれませんが、こちらの映画はことさら不倫を美化するものでもなく、かといってことさら悲惨に描いたものでもないので大丈夫じゃないかな。
登場人物も少なく舞台の密室劇を見ているような、良くできた推理小説を読むような印象もあり、でも、漫画と映画を行き来しながら次第に現実と妄想がごっちゃになる様子は映画であることがとても効果的で、とても満足感が大きい映画です。
夫婦の数だけ事件
こちらの映画は予告にも数種類あって、その中の「夫婦の数だけ事件」編を冒頭に貼ったのですが、夫婦ってなにも恋愛感情だけでつながっているとは限らないんですよね。
というか、恋愛感情って何も性愛だけがベースではないと言えばいいのか。
佐和子の夫は休載中の売れっ子漫画家で、佐和子はもともとアシスタントをしていて結婚に至ったわけなんですが、その恋愛感情のベースになっているのは俊夫の作品だったり仕事に対する尊敬の念だったりすると思うんですよね。
俊夫の不倫相手の千佳は担当編集者なので同じく「俊夫の才能に惚れた」系。
なので佐和子は漫画という自分の才能で不倫に対する勝負をしたかったんだろうなと思います。で、千佳もあっさりその勝負に負けちゃうというか、千佳は優れた漫画が好きなので佐和子の才能にもまた惚れてるんですよね。
その中で一人、俊夫だけが性愛をベースにした恋愛感情でどうにかしようとするところにずれが生まれ、滑稽さが出てくるのかなと思います。
その夫婦が何で一番強くつながっているのかっていうのは、他の人からはわからないもので、もしかしたらその夫婦自身もわからないものなのかもしれない。そこを見誤ると悲しい結果にしかならない。
大体、不倫だったり他の誰かからの横やりって、その繋がりと違う新しい繋がりを提示してそちらのでの勝負に持ち込まれますからね。
なので、不倫相手が何で勝負しようとしているのか、その勝負は自分たち夫婦のつながりとずれていないかの見極めが必要かなと思います。
と、思うと佐和子の方法って優しいなと思うし俊夫のことが好きなんだなって思います。
ファンと推しの数だけ事件
これって、ファンと推しの関係でも言えることだったりするんじゃないかなと思います。
例えばスキャンダルがあった時に一旦はショックを受けたりするのですが、でもちょっと冷静になってみて、私がその人のファンになった理由は品行方正さなんでしょうか。っていう。ファンに対する誠実さというは、「不祥事を起こさない」という事なんでしょうか。「包み隠さず話して詫びる」ことなんでしょうか。
と、思うと私と推しのつながりというはその辺にはないので、私としては今後の活動をまた私に見せてほしいなと思うのでした。
いや、活動できなくなるくらいの反社会的行為だったり非合法的な何かだったら困りますけどね。それは「今後の活動ができなくなる事をした」という点で不誠実。
なんでこんなことを考えているかというと、私の愛する某リーグ等々で色々あったりしたからなんですが。
映画の感想に戻るのですが
この映画を見て「佐和子こえぇええ」という感想を持った皆さんって、俊夫に感情移入しているわけですよね。
という事は、何か後ろめたい経験があったりなかったり、実際の行動にうつさなかったとしても「あったかもしれない」位の出来事はあったりした方なんじゃないでしょうか。
私はちょっとそのような感想よりも夫婦の愛を感じちゃいましたが。
なんて、私は「佐和子こえぇ」なんて感想書いたりしたら墓穴掘りかねないから書かないだけだったりしてね。エヘッ。