訪問医療マッサージ集客の極意ー営業戦略!
営業戦略について語ろう。
営業担当者も決まり、ある程度の予算と時間を確保したらその時間内にしっかりと成果を上げなくてはなりません。ここでいう成果とは、新規問い合わせを増やして獲得数も増やし、月間売り上げを拡大させるということです。どんなに優秀な営業担当者を採用しても、どんなにすばらしい道具があっても「戦略なくして勝利なし」なのです。
戦略とは、今使える資源をパズルのように組み合わせて、最終的にそのパズルを完成させるところまでを描くことです。私は子供のころに、難しいパズルにチャレンジしたことがありますが、パズルでまず最初に必要なのは「四つ角のピース(資源)」を見つけることです。次に最も大切なのは、四つ角のピースを起点に「外側の枠(予算)」を完成させることです。このように枠を作った後、残りのピース(条件)を「形ごと」や「色ごと」に仕分けしたピースを、はめたり外したりを繰り返し、パズルを完成していくのが戦略なのです。
ここで人材に対する、とても大きな誤解を皆さんにお伝えしておきます。私がさまざまな企業を支援しているときよくいわれることに、「優秀な人が来ないんだよね」という言葉があります。優秀かそうでないかというのは、担う役割に対して求める能力が何かによります。どんなに優秀な営業マンでも1カ月で新規顧客を獲得するというのは不可能です。もし獲得できたならそれは偶然だと思ったほうがよいでしょう。私たちは、営業活動の結果を偶然やタイミングに頼るわけにはいきません。いつでもどんなときでも一定以上の成果を上げるように努めなければなりません。営業担当者にとって、新規問い合わせや契約という成果は、戦略的に上げる必要があるのです。会社経営を偶然という、たまたま起きた現象に頼るわけにはいかないので、営業戦略をしっかりと練る必要があります。
さて、それでは具体的な営業戦略の立て方を考えていきます。まず戦略を検討する場合に、一番重要なのは目的です。営業にかかわらず、すべてのアクションには目的が必要なのです。私のお客様を見ても、目的が曖昧になっている経営者は非常に多いものです。目的は、明確に言語化することが重要です。目的を先に決めるとその後のアクションに多少誤差やブレが生じても、正しい路線へ修正や訂正しやすいのです。また戦略を立てる際、さまざまな社内人材と議論しているうちに、気づけば目的とズレた施策になっているなどということもあります。議論をしている当人たちは気づかずに、本来の目的とは違うものの検討に時間を費やしてしまったりします。途中で議論の本質がズレたことに気づいた人が修正しようとしても、最早、ズレを修正できるような状況ではなくなっていたりします。
このような展開になってしまうと、これまで議論に費やした時間がすべて無駄になってしまうのです。また、主観的な意見ばかりが出される会議で当初の目的を忘れて激しい議論を行った末、結局何を話しているかわからなくなるという結果になることも、多くの会社で見受けられます。
そうならないためには、まずはしっかりと「目的」を決めることです。「なぜ私たちは訪問医療マッサージ事業の営業戦略を検討しているのか?」と自問自答してください。すると「新規案件獲得のため」や「売り上げ拡大のため」という回答が出てきます。そこから考え進めると、「本来はその地域の高齢者を医療マッサージから支援し、患者さんを苦痛から解放することや自立支援を達成するためだ」など、最終的には会社のビジョンに行きつくはずです。そうやって目的を定めてから具体的なアクションを実施してくことが、正しい経営戦略のプロセスをつくり出す方法です。
戦略は目的から派生しています。「戦略」や「マーケティング」を連呼するだけでは、言葉遊びとなってしまいます。どちらも重要なのは方法論の検討です。よく使われるフレームワークとして3W+Hがあります。3Wとは「Where=エリア」「When=いつまでに」「Who=担当」です。Hとは「How=方法」です。営業戦略を立てるときは、この四つを意識すると行動すべきことが鮮明になります。
まずは「営業すべきエリア」を決めます。基本的には自分の事業所がある地域がホームタウンとなりますので、最終的な「地域密着や顔の見える関係」を構築することを考えれば地盤は固めたところです。一人の患者さんが在宅で生活するとなったときに、居宅、包括、病院との連携の中に、必ず自社が入っている状態を構築することができればそれが理想形といえます。次に「担当者」を決めます。ここで重要なのはしっかりと役割分担を決めるということです。一人経営の場合は、経営者が自ら営業を担わなければなりません。営業担当もしくはそれに準ずる人材がいれば、その人が担当者です。担当者を決めることはとても重要です。組織には、それぞれ担うべき役割があります。施術も営業も業務内容を詳しく見れば、ただ施術するだけでない、ただ訪問するだけではないことはよくわかるはずです。施術報告を適宜行ったり、患者さんへの施術以外の部分でもしっかりとコミュニケーションを図ったりするなど、実はやることがたくさんあるのです。
営業は、新規問い合わせ獲得のための営業活動の実施、資料作成、お問い合わせ後の御礼訪問、家族対応から患者さんへのヒアリング、各関係者への施術報告、地域課題のニーズ収集、訪問医療マッサージ普及活動、クレーム対応等、本当に幅広くそして丁寧な対応が必要なのです。これを役割分担せずに一人の限られた時間で、すべてを担当するのは不可能です。もし経営者一人だけだとしても、営業事務などの人材をパートまたは業務委託などで採用したいところです。
次に「営業方法」です。どのように営業活動を実施するかということです。考えられる営業活動はいくつもありますが、ここで目的を忘れるようなことがあっては、いけません。地域の多くの高齢者に必要な医療マッサージを届けることが目的だとすれば、その前段階として「知ってもらう」ことが大切です。知ってもらい、そして必要なタイミングで問い合わせをもらえるようにするのです。その方法を検討するということになります。最初にお伝えしましたが、居宅介護支援事業所や地域包括支援センターのケアマネジャーへ直接訪問することだけが営業方法ではありません。ネット活用や紙媒体を活用した遠隔営業もその一つです。これまでの形式や慣習に囚われず、さまざまな方法を検討してください。
そして最後にWhere(営業エリア) 担当者(Who) 営業方法(How)にWhen(いつまでに)という期限を設けてください。これらがすべて合わさって「営業戦略」となります。「期限」というものは、経験則などから「このくらいかかるだろう」という妥当性はあっても、「絶対にできる」という確実性はありません。なので「事業計画」に合わせて、いつまでにどの程度売り上げが必要なのかということを基準に決めなければならないのです。
ただ開業間もない事業所の場合は、3カ月を一つの目安とすることをお勧めしています。その2カ月後に診療報酬が入ってくるので、実施6カ月以内に売り上げ確定ができるとよいでしょう。営業戦略を立てること自体は、そこまで難しいものではありませんのでぜひ3W+Hを活用してみてください。