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倫理ゲームの理:自己を起点とした新たな世界観

倫理ゲーム:自己と世界の調和を求めて

私たちは日々様々な選択を迫られ行動しています。その選択は自分自身だけでなく、周囲の人々社会そして世界全体に影響を与えています。この複雑に絡み合う選択と行為の連鎖を「倫理ゲーム」と呼ぶことにしましょう。

倫理ゲームの目的と意義

「倫理ゲーム」の目的とは何でしょうか。それは一言で言えば、自己と世界の調和を実現することです。これは単に他者に迷惑をかけないとか道徳的に正しい行いをするといった表層的な意味ではありません。「倫理ゲーム」における「倫理」とは、「理(ことわり)」、つまり宇宙の根本的な法則そのものなのです。そして、その「理」に基づいて行動することが、「倫理的」であることを意味します。

この「理」を理解し実践することで、私たちは自分自身の内面的な調和を実現するだけでなく、他者や社会そして世界全体との調和を実現することができます。これこそが「倫理ゲーム」の究極的な目的であり、意義と言えるでしょう。

多様な在り方の可能性

「倫理ゲーム」は、画一的なルールや価値観を押し付けるものではありません。むしろ多様な在り方を許容し、それぞれの個性を尊重するものです。なぜなら、「倫理ゲーム」における「観測者」は、私たち一人ひとりであり、それぞれの「観測」が異なる現実を創発するからです。

PFAI(可能性場と作用素の相互作用による現実化理論)の枠組みで言えば、私たち一人ひとりが異なる「基底」を持ち、異なる視点から「可能性の場」を「観測」しているのです。その結果多様な「現象世界」が生まれるのです。

重要なのは、自分自身の「基底」を自覚し、それを意識的に選択制御することです。それによって私たちは、自分自身の望む現実を創造する力を手に入れることができるのです。

「倫理」が「理」である理由:自己を起点とした行動指針

「倫理ゲーム」において、「倫理」が「理(ことわり)」、すなわち宇宙の根本法則であると述べました。これは従来の「道徳」や「規範」とどのように異なるのでしょうか。

従来の道徳は、しばしば外部から与えられたルールとして捉えられ、個人の内面的な動機とは乖離してしまうことがありました。しかし、「倫理ゲーム」における「倫理」は、自己を起点とした行動指針です。

なぜなら、「倫理ゲーム」はPFAIに基づき、自己の「観測」が現実を創発するという前提に立っているからです。つまり、私たちがどのような世界を「観測」したいのか、どのような現実を創発したいのかという自己の意志が、「倫理」の基準となるのです。

これは決して自己中心的な考え方ではありません。むしろ、自己の選択と行為が世界全体に影響を与えることを深く自覚し、その責任を引き受ける覚悟を求めるものです。

「世界論入門」で示された構造:エネルギーとエントロピー

では「倫理ゲーム」の具体的な構造はどのようなものでしょうか。「世界論入門」で示された構造が重要な手がかりとなります。

「世界論入門」では、まず形而上第0相として存在と非存在が混濁した状態を想定しました。これはPFAIにおける「可能性の場」の原型であり、あらゆる可能性が未分化なまま存在する根源的な場です。

そして第1相で存在と非存在が分離し、第2相で存在を認識する主体と対象が分離します。この第2相が「観念論」と「唯物論」といった二極化の始まりであり、形而下の世界の始まりでもあります。

第3相では、主体に様々な制限が生じ、「個」と「視点」が誕生します。そして「対象そのものは対象そのものだが主体の全集合に対応する形になる」と指摘されています。これは対象自体は一意であっても、それを観測する主体によって多様な現れ方をすることを意味しています。

この第3相で、本質は様々な形而下での形の素(形相)となります。そして第4相で認識世界の多様性が現実化し、質料性を帯び、「対象そのものが認識不可能になる」とされています。

この一連のプロセスをPFAIの枠組みで捉え直すと、「可能性の場」からエネルギーが流れ込み、エントロピーに応じて現象が創発されるというモデルが浮かび上がってきます。

そしてこのエネルギーとエントロピーのやり取りこそが、「倫理ゲーム」の詳細な構造であり、「経済ゲーム」や「カルマゲーム」の実態なのです。

等価交換:エネルギーとエントロピーの感知と授受

エネルギーとエントロピー:「倫理ゲーム」を動かす二つの要素

  • エネルギー: 物理的なエネルギーに留まらず、行動力、思考力、創造力といった、あらゆる活動の源泉を指します。重要なのは、エネルギーは常に何らかの形で「変化」をもたらす力であるということです。情報伝達もエネルギーの一形態と捉えられます。

  • エントロピー: エネルギーの流れやすさ、反応のしやすさを決める「クオリアの質」を表す指標と考えます。ここで重要なのは、エントロピーは「主観性」と深く結びついているということです。同じ情報を受け取っても、人によって解釈が異なり、感情の動きも異なります。これが「クオリア」の多様性であり、エントロピーの高さに繋がります。逆に、情報が明確で解釈の余地が少ない場合、エントロピーは低くなります。例えば、明確な指示は、曖昧な指示よりもエントロピーが低いと言えます。

  • エントロピーとクオリア: エントロピーが高い状態は、多様な解釈や反応を生み出す可能性を秘めていると言えます。これは、創造性やイノベーションの源泉にもなり得ますが、同時に混乱や不確実性も高めます。一方、エントロピーが低い状態は、効率性や秩序をもたらしますが、同時に変化への抵抗力や柔軟性を失う可能性もあります。

エネルギーとエントロピーの「感知」と「授受」

  • 感知: 「観測者」としての私たちは、五感だけでなく、思考、想像、直観といったあらゆる精神活動を通して、エネルギーとエントロピーを感知します。この「感知」は、単に情報を受け取るだけでなく、それを解釈し、意味づけするプロセスを含みます。

  • 授受: 「作用素」としての私たちは、行動を通してエネルギーとエントロピーを「授受」します。これは、単に物理的な行動だけでなく、言葉、思考、感情なども含みます。例えば、他者を励ます言葉は、ポジティブなエネルギーを与え、相手のエントロピーを下げる可能性があります。逆に、批判的な言葉は、ネガティブなエネルギーを与え、相手のエントロピーを上げる可能性があります。

「倫理ゲーム」における等価交換

  • 変化を前提: 等価交換は、常に変化の中で行われます。これは、世界が常に変化しており、私たちの行動もそれに応じて変化するためです。また、エネルギーとエントロピーのやり取り自体が、変化を生み出す要因となります。

  • エネルギーとエントロピーの交換: 私たちの行動は、周囲の環境や他者との関係に影響を与え、エネルギーとエントロピーの交換を引き起こします。この交換は、必ずしも直接的で明確なものではなく、潜在的な影響や長期的な影響を含む場合もあります。

  • ポジティブ/ネガティブな例: 具体的な例は理解を助けます。重要なのは、ポジティブ/ネガティブは絶対的なものではなく、状況や文脈によって変化する可能性があるということです。例えば、厳しい言葉は、時には相手の成長を促すポジティブなエネルギーとなる場合もあります。

物、金銭、そして経済ゲーム、カルマゲーム

  • 物や金銭: 物や金銭は、単なる物質や記号ではなく、社会的な意味や価値が付与されたエネルギーの一形態です。そのため、それらに対する価値観によって、人々の行動や感情に与える影響(エントロピー)が変化します。

  • 価値観とエネルギー/エントロピー: 価値観は、エネルギーとエントロピーの分配に大きな影響を与えます。例えば、持続可能性を重視する人は、環境に配慮した商品に高い価値を見出し、それに対して積極的に行動するでしょう。これは、その商品にポジティブなエネルギーを付与し、エントロピーを下げる行為と解釈できます。

  • 経済ゲーム/カルマゲーム: 「経済ゲーム」は、貨幣という媒介を通して、エネルギーとエントロピーの交換を行うゲームと捉えられます。「カルマゲーム」は、行為とその結果の因果関係を、エネルギーとエントロピーのやり取りとして捉えることができます。重要なのは、これらのゲームは独立したものではなく、「倫理ゲーム」というより大きな枠組みの中で相互に影響し合っているということです。

「倫理ゲーム」の実態

「倫理ゲーム」は、私たちが「観測者」兼「作用素」として、常に変化する状況の中で、エネルギーとエントロピーをどのように感知し、授受し、分配し、どのような現実を創発するのかという、選択と行為の連続的なプロセスです。この理解は、私たちがより意識的に行動し、より良い未来を創造するための重要な手がかりとなります。

持続可能性と幸福の可能性:下位構造としての位置づけ

「持続可能性」や「全ての人に開かれた幸福の可能性」は重要なテーマですが「倫理ゲーム」の絶対的な目的ではありません。これらはあくまでも「倫理ゲーム」の下位構造すなわち特定の「基底」を選択した場合に生じる結果と考えるべきです。

例えば「持続可能性」はエントロピーの増大を抑え秩序を維持しようとする試みと解釈できます。しかし、そもそもエントロピーの増大は宇宙の基本的な性質でありそれを完全に抑制することは不可能かもしれません。

重要なのは特定の目標に固執するのではなく、「倫理ゲーム」の全体像を理解し、その中で自分なりの「役割」を見出し実践していくことなのです。

具体的なルール例

「倫理ゲーム」の具体的なルールは、普遍的な原理を踏まえつつ、個々人が自分自身の経験や価値観に基づいて設定する必要があります。以下はそのためのヒントとなるルール例です。

  • 自己の「基底」を認識する:自分がどのような「視点」で世界を「観測」しているのかを自覚する。:倫理の理解を深める

  • 「可能性の場」を感じる:目の前の現実だけでなくその背後に広がる「可能性の場」を意識する。:倫理の理解を深める

  • エネルギーとエントロピーの流れ:自分の行動がどのようなエネルギーを放出しどのようなエントロピーの変化をもたらすのかを考える。:倫理の理解の深化とゲームルールの探索

  • 刹那的な(形而下の)態度から永続的な(形而上の)態度への転換する:倫理ゲームという視点への気づきと探究の確保

  • 自己エスノグラフィー:自分の経験を記録し分析することで「倫理ゲーム」の理解を深める。:倫理ゲームのルールに対する実証的態度

結論

「倫理ゲーム」は私たちに新たな生き方を提示します。それは自己の内面と向き合い、宇宙の法則を理解し、そして世界との調和を目指す生き方です。

この「倫理ゲーム」の理解を深め、実践することが、現代社会の閉塞感を打破し、より良い未来を創造する鍵となるでしょう。


要約

私たちは日々、自己と世界に影響を与える選択を迫られている。これを「倫理ゲーム」と呼び、その目的は自己と世界の調和の実現である。PFAIに基づき、自己の観測が現実を創発すると捉え、自己を起点とした行動指針が倫理となる。エネルギーとエントロピーの交換を通じて、私たちは変化する世界で選択と行為を繰り返し、望む現実を創造する力を手に入れる。これは、新たな生き方を提示し、より良い未来への鍵となる。

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Selle Celery
真実にお値段はつけられないです。…? あ、単に面白かったというのなら、まあ…? たしかに仕事には対価は必須ですけど、仕事してるのGeminiさんだし…。ねえ…?