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「何者か」にならなくていい。高松で見つけた「モブ市民」という生き方
「なんで高松?」「高松で何するの?」って、会う人会う人に聞かれすぎて、正直、もう同じ説明をするのに疲れてきちゃったんですよね。
だったら、いっそ全部ここに書き出してしまおう、と。そうしたら、もしかしたら「あー、わかるわかる、その気持ち」って共感してくれる人がいるかもしれないし。
この記事を読んでほしいのは、「移住とか興味あるけど、別に大層な目的とかないし…」ってモヤモヤしてる人。そう、まさに数ヶ月前の僕みたいな人ですね。
逆に、
「古民家カフェを経営するのが、子どもの頃からの夢なんです!」
「オーガニック農法で、究極の野菜を育てたくて移住を決意しました!」
「地域おこし協力隊として、村の活性化に貢献したいんです!」
…みたいな、熱い思いを持ってる人には、あんまり響かないかも。そういうの、めっちゃカッコいいと思いますよ。ほんとに。
でも、僕には眩しすぎるんです。僕は、できれば何者にもなりたくない。賞賛も批判もいらない。ただのモブ市民として、静かに、穏やかに暮らしたい。それが、偽らざる本音なんです。
東京砂漠での消耗戦:満員電車と終わらない仕事、数字とノルマのプレッシャー…もう限界だった
東京での生活は、例えるなら巨大な洗濯機の中に放り込まれた靴下みたいなものでした。毎日毎日、満員電車に揺られてさ。ギューギュー詰めの車内で、身動き一つ取れない。息苦しいし、遅延も日常茶飯事。会社に着く頃には、もうHP半分くらい削られてる感じ。
職場もね、これがまた戦場だったんですよ。僕は本社勤務の営業だったんですけど、数字、数字、数字…。ノルマ、ノルマ、ノルマ…。月末になると、胃がキリキリ痛むんです。しかも、現場を知らない上司からの横やりとか、的外れな指示が、これまた多い。自分の時間なんて、ほとんどなかったですね。会社の歯車として、ただひたすら働いてる感じでした。
で、思い切ってフリーランスになったんです。時間的な自由は手に入れたけど、今度は収入が不安定だから、常に仕事を探し回る日々。
営業代行、ライター、Webサイト制作…、やれることは何でもやりました。クラウドソーシングで仕事探したり、知り合いに頭下げて仕事もらったり…。
でも、収入を安定させるためには、常に複数の案件を同時進行させなきゃいけない。仕事のオンオフの切り替えが下手くそだったんでしょうね。四六時中、仕事のことばっかり考えて、心身ともに休まる時がなかったんです。
あの頃は、本当に病んでたと思います。餃子の王将とか天下一品でさえ、30分待ちとか当たり前でしょ?都会のスピード感についていけなくて、いつも焦ってた。「このままだったら、いつか壊れる」って、心のどこかで思ってたんでしょうね。
心と体のSOS:息切れ、めまい…過労で病院へ、これが人生のターニングポイント
フリーランスになって数年、ある日突然、体に異変が起きたんです。心臓がバクバクして、息苦しくて、立ってられない。めまいも酷くて、目の前がグルグル回る。「これはヤバい」と思って、病院に駆け込んだんですよ。
医者の診断は、「過労」。「典型的な過労の症状ですね。仕事のペースを落として、しっかり休養を取ってください」って言われました。
その時の僕の気持ち、わかります?「あ、終わった…」って思いました。ほんとに。
でも、同時に「このままじゃダメだ、何かを変えなきゃ」って、強く思ったんです。それが、僕の人生のターニングポイントでしたね。
高松を選んだ理由:消去法と「なんかピンときた」、あと、うどん?
「何かを変えなきゃ」って思って、最初に頭に浮かんだのが「地方移住」でした。都会の喧騒から離れて、自然の中で暮らしたい。自分のペースで仕事したい。そんな漠然とした思いがあったんだと思います。
でも、具体的にどこに行きたいとか、何をしたいとか、そういうのは全然なかった。だから、最初は色んな地方都市を調べまくりました。
金沢とか新潟とか、旅行で行った時は「いい街だなー」って思ったけど、住むとなるとピンとこない(冬に行って寒すぎたのがデカい)。博多とか松本、小田原、浜松…、どこも魅力的だけど、すでに移住者が多いんですよね。
僕、ちょっと天邪鬼なところがあるから、「みんなが行くところは嫌だな」って思っちゃう。あと、西日本に長く住んでたから、東京へのアクセスとか、そんなのどうでもよかったんです。
そんな時、ふと目に留まったのが「高松」だった。
…正直に言います。最初はアートとうどんってイメージしかなかった。
でも、調べていくうちに、
瀬戸内海に面していて、気候が温暖
コンパクトシティで、生活に必要なものが揃ってる
家賃が安い
良い本屋がたくさんある(最重要)
なんか、雰囲気がいい
…ってことがわかってきて、「あれ?高松、いいじゃん」って思うようになったんです。
決め手は…、正直、よくわかんない。「なんかピンときた」としか言いようがない。でも、その「なんか」って、結構大事だと思うんですよね。
高松での新生活:家賃5万円、2DKの部屋からスタート。まずはチャリで街を探索だ!
高松での生活は、まだ始まったばかり。でも、2DKの部屋が家賃5万円前後で借りられるって、東京じゃ考えられないでしょ?生活コストが低いって、本当に助かります。
仕事は、またサラリーマンに戻って、地元のIT企業で営業やってます。やっぱり、いきなりフリーランスで地方でやっていくのは、ハードルが高いかな、と。
まずは生活基盤を整えて、それからゆっくり考えようと思ったんです。地元企業で働くことで、少しでも地域に貢献できたらいいな、とも思ってます。
休みの日は、とりあえず自転車で街をブラブラしてますね。まだ土地勘がないから、地図アプリを見ながら、気になる路地に入ってみたり、海沿いを走ってみたり…。
そのうち車買って、ゴルフとか、瀬戸内の島巡りとかもしたいなー。(5キロ圏内をうろうろするなら、折り畳み自転車で十分か?いや、ここはクロスバイク…?詳しい人、教えてください!)
「NO FLOP!」との出会い:失敗しないための考え方を学んで、俺、覚醒
移住を考える中で、めっちゃ参考になった本があるんです。それが、アルベルト・サヴォイア氏の『NO FLOP!』。これ、新しいアイデアを形にするための具体的な方法論が書かれてて、特に「プレトタイピング」って考え方が、本当に目からウロコだった。
「新製品失敗の法則」と「ライトイット」って、要するに何?
『NO FLOP!』では、まず「新製品失敗の法則」ってのが出てくる。これは、「ほとんどの新製品やサービスは、市場で失敗する」ってこと。どんなに優秀なチームが、どんなに綿密な計画を立てても、ダメなもんはダメなんだって。厳しい現実ですよね。
でも、落ち込む必要はない。「ライトイット」を見つければいいんです。「ライトイット」ってのは、市場のニーズをちゃんと捉えて、適切な形で提供すれば、成功するアイデアのこと。
僕の副業失敗は、典型的な「ロングイット」だった…
僕が前に、Webデザインのオンライン講座で挫折したでしょ?あれ、今思えば、典型的な「ロングイット」だったんです。「Webデザインなら、場所を選ばず稼げるっしょ」って、完全に思い込み。市場のニーズとか、自分のスキルとか、全然考えてなかったんですよね。
『NO FLOP!』には、「XYZ仮説」と「超ズームイン」って考え方も出てくるんですけど、これがまた使える。
XYZ仮説:「少なくともX%のYはZする」って形で、アイデアを具体的に表現する。
超ズームイン:XYZ仮説を、もっと小さく、具体的な形で検証できるようにする。
これを、地方での副業に応用してみましょう。
プレトタイピングで「地方副業」の可能性をチェック:小さく、早く、安く試す!
例えば、
アイデア:地方の中小企業向けに、SNS運用代行サービスを提供する。
XYZ仮説:「〇〇市の中小企業(Y)の少なくとも5%(X)は、月額3万円のSNS運用代行サービスを契約する(Z)」
超ズームイン:「〇〇市の商店街にある店舗(y)の少なくとも3店舗(x)に、SNS運用代行サービスの無料体験を提案し、1店舗以上が契約する(z)」
こんな感じで、具体的な仮説を立てたら、次は「プレトタイピング」で検証です。
プレトタイピング手法の例:色々あるよ!
『NO FLOP!』には、色んなプレトタイピングの手法が紹介されてる。
ニセの玄関型:SNS運用代行サービスのLP(ランディングページ)を作って、Web広告を出してみる。問い合わせ数とか反応率をチェックする。
高松市の中小企業向けにFacebook広告を出すとしたら、どんなキャッチコピーがいいか?
LPには、どんな情報を載せたら、問い合わせが増えるか?
ファサード型:地元の商工会議所とか商店街組合に協力してもらって、無料のSNS運用相談会を開催。参加者の反応とか契約率をチェックする。
相談会で、どんな資料を配ったら、参加者の心に響くか?
相談会の後、どんなフォローをしたら、契約に繋がりやすいか?
YouTube型:
* SNS運用のビフォーアフターを動画で事例紹介しターゲット層に視聴してもらい反応を見る。どんな業種の事例を紹介したら、高松の中小企業に「うちもやってみたい!」と思ってもらえるか?
動画の最後に、どんな行動を促したら、問い合わせに繋がりやすいか?
メカニカル・ターク型:
例えば、自動でSNS投稿ができるツールがあると見せかけて、実際は手動で投稿する。
高松の中小企業が、どんな投稿に「いいね!」やコメントをしやすいか?
自動投稿ツールだと思って使っている人に、どんなタイミングで「実は手動です」と伝えたら、ガッカリされないか?
ピノキオ型:
SNS運用代行サービスのモックアップ(例えば、架空の管理画面)を作って、中小企業の経営者に見てもらう。
どんな機能があったら、「これは便利だ!」と思ってもらえるか?
モックアップの見た目は、シンプルと高機能、どっちが良いか?
一夜限り型:
例えば、地元のイベントで「SNS映え写真撮影ブース」を1日限定で出店し、来場者にSNS運用についてアンケートを取る。
どんな写真撮影ブースなら、人が集まるか?
アンケートで、どんな質問をしたら、SNS運用のニーズを探れるか?
潜入者型:
例えば、地元の異業種交流会に潜入し、中小企業の経営者にSNS運用の悩みを聞いて回る。
どんな服装で、どんな名刺を持って行ったら、警戒されずに話を聞けるか?
どんな質問をしたら、相手の本音を引き出せるか?
ラベル貼り替え型:
例えば、既存のSNSコンサル会社のサービス資料の社名ロゴだけを自分のものに差し替えて、中小企業の経営者に見てもらう。
どんなデザインの資料なら、「この会社に頼んでみたい」と思ってもらえるか?
既存のサービス資料の、どの部分を修正したら、より魅力的に見えるか?
こういうプレトタイピングを通して、
本当にニーズがあるのか?
いくらなら払ってもらえるのか?
どんなサービス内容なら喜ばれるのか?
…ってことを、低コストで確かめることができるんです。
おわりに:高松での「モブ市民」生活、まだまだこれから!
高松での生活は、まだ始まったばかり。でも、都会の喧騒から離れて、自分のペースで仕事とプライベートを両立できる、心身ともに健康な生活を送りたいと思ってます。
何者でもない自分を受け入れて、穏やかな生活を楽しむ。それが、今の僕の目標ですね。
もし、あなたが今の生活に何かしらの不満とか不安を感じてるなら、ぜひ一歩踏み出してみてください。
まずは、小さく始める:週末だけ地方で過ごしてみるとか、興味のある分野の副業を始めてみるとか。
失敗を恐れない:失敗は、成功への糧です。
楽しむ:新しい挑戦を、心から楽しむ。
そうすれば、きっとあなただけの「ライトイット」が見つかるはずですよ。