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中学受験で1か月学校休む問題について
中学受験での欠席問題について
「東京で半数以上が中学受験で1月全部休む」この事態がXで発信され、大きな議論が行われています。まだニュースについてご存じない方はこちらから
1月全休はアリ?ナシ?
アリ派の意見で多かったのは、中学受験の勉強は学校では補えないという点です。今や中学受験は高校受験や、場合によっては大学受験よりも過激なものになっています。小学低学年から塾に通うのは珍しくなく、小学校の内容はサッと終わらせて受験用のテキストでとにかく勉強します。志望校によっては中学受験に中学校の内容が出るところもしばしばあります。このように小学校の義務教育をまったりとやっている余裕は、受験終盤は特にありません。
さらに膨大なお金がかかっているという点も見逃せません。塾はもちろん、面接での話題のための体験活動やボランティア、特技や教養としてのピアノや習字などの習い事など、熾烈を極める中学受験合格のための準備は生半可なものではありません。膨大なお金と子どもの時間を費やして準備してきた受験のまさにラストスパートの1か月。卒業ムードの漂う小学校に行っている場合ではない!と考えるのは自然な事のようにも感じます。
また今年はインフルエンザが大流行しています。不特定多数が集まる学校に通学して、受験当日体調を崩してしまったら目も当てられません。リスク管理の点から考えても、受験に本気であればあるほど学校を休む選択の合理性は上がっていく気がします。
このようにアリ派はそもそもで学校での勉強が受験では役に立たないという学力の点と、感染症のリスク管理を重視していることが分かります。
学校は勉強するだけの場所じゃない
一方でナシ派では、学校でのクラス維持が出来なくなるという視点があります。極端な学校では1月に登校してきた子どもが約半数程度で、臨時で1クラスにして授業を行っている学校もあるようです。これを見ると中学受験が過度に白熱していると思ってしまいます。子どもにとっての小学校最後の思い出が「なんか最後人少なくて1クラスになったな」みたいな感じだと少し悲しい気もしますし、約1年間一緒に行事などを経験してきたクラスが、最後の最後で学級崩壊している感じが否めません。
また、クラスの他の子たちから「ズル休み」だと言われるケースもあります。確かに体調を崩しているわけでもなく勉強のために休んでるという説明では、「勉強は学校でもできるじゃん」と子どもが思うのは自然な事ですね。必然クラス内で溝は深まってしまいがちです。中学校に上がれば接点も極端に減るので、仲良かった子が卒業後には疎遠になってしまうかもしれません。
このようにナシ派は、クラスの調和や友人関係などが崩れてしまう事を懸念していることが分かります。
学校の先生の発言が原因にも
学校はどう考えているのでしょうか。先生1人1人は思う所があると思いますが、学校として休むことに対して何かしらのペナルティを与えている所は少ないように感じます。しかしこれは率先して受験を頑張ってほしいというポジティブな考えではなく、トラブル回避の考えが強いように感じます。
実際にX上では、担任の先生に1か月休むことを伝えたところ口論になった といった内容が散見されます。
・先生に休むなと言われましたが受験を舐めてるんでしょうか?
・言う通り登校してインフルになったら責任は取ってくれるのか
のようなクレームにも近い投稿も複数見られることから、トラブル回避として自由に休んでもらうという形をとっている所が多いのではないでしょうか。
日本人はここまで周りのことを考えられなくなったか というコメントもあったのですが、周りのために我慢するという利他的な考え方は、年々薄れてきている気もします。私はこうしたい!それに反対するなら責任を取れ!という、極端に自己中心的な考え方が目立つようになってきました。もちろんこのような人は一部であり、極端さによって目立っているだけではあると思いますが、少し残念な考え方だと私は思います。
小学校での楽しさか受験の成功か
さて、私個人の考えとしては受験前に休むのはアリです。
中学受験合格を大きな目標に掲げているのであれば、その目標達成に向けて出来る準備は最大限していいと思いますし、そうするべきだと思います。
子どもは確かに3学期ほとんど思い出はないかもしれません。クラスの友達とは疎遠になるかもしれません。それでも長い準備時間と膨大なお金をかけてやってきた受験というプロジェクトのラストスパートは、多少の犠牲を払ってでもやりきることに意味があります。勉強不足での失敗なら諦めもつきますが、無理して学校に行ったことによる感染症が原因となれば後悔してもしきれません。休むという選択肢はあってもいいのではないかと思います。
しかしこれが本当に子どもにとって幸せな事なのかは考える必要がありますね。中学受験を子どもが自発的に望むケースはそれほど多くないように思います。両親が受験を決めて、言われるがまま勉強をさせられている子は果たして楽しいのでしょうか。義務教育は学力の向上だけを目的としているわけではありません。不特定多数との共同生活を通して社会性を学び、自分のアイデンティティを形成していく場としての意味があります。
そのような小学校の最後の1か月を休んでまで、もっとさかのぼれば放課後に友達と遊ぶ経験を減らしてまで、中学受験を行う意味があるのか、子どもはそれを望んでいるのかは、親側がしっかりと向き合って考えるべきかもしれません。
まとめ
否定的な話が多くなってしまいましたが、決して中学受験が悪いわけではありません。質の高い授業が受けられる中学校を選択することは、その後の子どもの選択肢を増やすことに関係してくることは間違いありません。
公立の授業の質が落ちていること、学校の質が落ちている事も中学受験者の増加に影響を与えています。これらを考えると義務教育の質をしっかりと高める事が、白熱している中学受験を正常なものに戻す1つになると思います。
学校を休む選択も、学校に通い続ける選択もどちらもあります。
外野がとやかく言う事ではないのかもしれません。
しかし子どもはやらされていないか、親のエゴだけが加速していないかについては意識を向け続けていてほしいですね。元は子どもの幸せを願って受験を選択したはずです。親も初心に戻るきっかけとしてこのニュースを今一度受け止めてみても良いのかもしれません。
皆さんは中学受験での欠席、どう思いますか。
また、白熱し続ける中学受験についてもご意見いただければと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました。