アヒムサ | Ahimsa - ヨガ哲学
相手を傷つけないように
自分自身を傷つけないようにしていますか?
ヨガスートラという経典で説かれている
ヨガを実践するための8つの方法(八支則といいます)のなかに
「ヤマ(制戒)」があります
自らの不純なものを取り除くために、やめておきましょう、
という考え方のひとつです。
アヒムサは、5つのヤマのうちの一つの考え方です。
「非暴力」「傷つけてはならない」
あらゆる暴力を行うことをやめましょうという考え方です。
一見、当たり前の道徳にも思えますね。
では、何が暴力になるでしょうか。
①物理的な暴力
他者を殴る蹴る、物を破壊したりする行為が思い浮かびます。
自分に対してはどうでしょうか。
暴飲暴食も、ご自身の体に負担を負わせる、暴力の一つともいえるし、
ヨガでかっこいいポーズを取ることにこだわって、
無理に体を動かして痛めつけるのも、自身に対する物理的な暴力といえます。
②言葉による暴力
他者にひどい言葉を投げかけていないでしょうか。
わかりにくい例もあります。
思わぬ言葉で、相手が傷ついてしまったことはあると思います。
相手の気持ちを思いやり、自身の発する言葉に気をかけたら、優しい言葉になるかもしません。
③思考による暴力
心の中で、相手や自分をジャッジしていませんか。
あの人はあれができないからダメだ、
自分はこれができない、これをもってないからダメだと思い込んでいませんか。
思考が変わることで言葉が変わり、言葉が変わることで、行動が・・・ひいては人生が変わっていく、「老子」が説いたよく聞く考え方です。
暴力的な思考がある限り、
いつかそれが行動によって表れてしまうかもしれません。
言葉や行動に移さなくても、暴力の芽が生まれることでアヒムサは破られてしまうと言われています。
思考のアヒムサを実践するためには、他者と同じく自分に対して優しくなる必要があります。
自分を思いやると、他人に対しての思いやりも生まれてくることでしょう。
きっとこのほかにもさまざまな「暴力」というのがあると思います。
完全なるアヒムサを徹底するのはとても難しいですが、
できるところから心がけていくことが大事です。
ヨガスートラでは、アヒムサを実践した効果を以下のように伝えています。
「アヒムサを実践した者のそばでは、すべての敵対が止む」(ヨガ・スートラ 第2章35節)
優しい人の近くにいると、
自然と自分も影響を受けて、優しくあろうという気持ちが生まれます。
次第に周りががおだやかで心地よい環境になっていくでしょう。
まずは自分から優しくなっていきましょう。