マイハニーバレンタイン
男にとって、女の胸とはどのような存在なのだろうか。
陽二があまりに胸だけを触り続けるので、柔らかなボールでも揉んでいればいいのではないのかと言葉にしたら、そうではないのだと返された。
「どこがいいの」
「僕好みの形がいい。そして自分には無いこの柔らかさは特別なものだ」
恐らく、自分にはその感覚は一生わからないままなのだろう。
わからないまま、求められて彼の腕の中にいる。
・・・
2人で食べたチョコレートの空箱が、テーブルの上にあったはずなのだが、いつの間にか消えていた。
陽二がゴミ箱に捨てたのだろう。
優しさなのか、何も考えていないのか。
部屋から出る前にゴミ箱がふと気になって、ほんの少し振り返ったけれど、見ない方がいいと思い直して、ドアを閉めた。