ギンコ 夕暮れのセレナーデ
ギンコは、麗子像のような容姿をしていた。小学生にして麗子なのだから、そのまま麗子とあだ名がついても良さそうなものだが、彼女はギンコというパワーネームを持っていた。
だから、ギンコ。麗子像に打ち勝つギンコ。
ギンコは麗子像よろしく、いつもアルカイックスマイルな子だった。小学生でギンコでアルカイック。
・・・
ある時、子供らしい、しょうもない会話の中で、臭そうな名前を考えようという流れになった。
そうだなあと考えて、
足の裏ムレ子!
脇の下臭子!
ふざけて答える私だったのだが、次の瞬間、予想もせず、ギンコが大笑いした。ギンコ大爆笑。
え?ギンコ?
ねえねえ、sekky! あれもう一度言って!
足の裏ムレ子?ギンコが笑う。ギャハハハハ。
脇の下臭子!ギンコがウケる。ギャハハハハハ。
私は、とても戸惑ったのだった。
・・・
何だろう、何で急にギンコを思い出したんだろう。
白菜と鳥団子のスープを作りながら、ギンコとの付き合いを思い出す、金曜日の夜です。
ギンコとは、数十年後にこれまた戸惑いの再会を果たすのですが、その話はまたいつか。