ウマ娘2期感想、シリーズ構成(?)に感動した
ゲームが元ネタのアニメ「ウマ娘」、劇場版がやっているそうですね。
そこで今回は、私が素晴らしいと感じた2期のシリーズ構成、でいいんですかね?つまり、話運びについて書きます。
今時めずらしい「スポ根」作品
「ウマ娘」シリーズはスポーツ根性もの、いわゆる「スポ根」のカテゴリーになると思います。
今の時代、スポーツでトップに立つとして、それが努力でなんとかなるということへの説得力を多くの人は持てないと思います。
恵まれた環境に生まれ、幼い時から専門の訓練を受けた人しか行けないようになったからだと考えています。
なのでスポーツものも「おおきく振りかぶって」や「アオアシ」みたいにロジックで勝利を勝ち取ったり、「ブルーロック」のようなゲーム性で魅せる作品が多いと感じています。
この状況の中、ファンタジーな存在であるウマ娘達によるレースを描くことで、純粋にスポ根を実現できた「ウマ娘」は貴重な作品ではないでしょうか。
2期は共感しにくい主人公
「ウマ娘」シリーズは、実在の競走馬がモデルです。
田舎から出てきた実力未知数の主人公が友情と努力で勝利を勝ち取る1期は、まさに王道のスポ根作品でした。
しかし、2期の主役、トウカイテイオーは1期の主役と違います。
無敗三冠を目指す超エリートウマ娘で、さらに3度の骨折から復活したという、メジャーリーグの大谷翔平選手や藤井聡太棋士のような、「マンガを超える主人公」です。
なので、その主人公の話だけをそのまま物語にすると、少し話ができすぎです。
そこで、製作者の皆様は考えられたのでしょう。複数のキャラクターによる複合的な話運びで「友情」にフォーカスした話になったのだと思います。
シリーズ構成(?)を整理してみよう
<重要>以下ネタバレあります。
正しくシリーズ構成と呼ぶのかわからないのですが、私なりに図式にしたものが以下となります。すみませんが拡大してご覧下さい。
また記憶違いがありましたらご容赦ください。
大きく、キャラクラー群を、
主人公とライバル
第二ライバル関係
コメディ担当
の3つで分けてみました。
1.主人公とライバル
「主人公とライバル」のトウカイテイオーとメジロマックイーンなのですが、実は、ライバルというほど、実際は対戦していません。対戦を望んでも障害が入り実現できない、精神的なライバルという関係で、その関係性を丁寧に描くことでライバルとして成り立たせています。
しかし、それだけだと13話続けられません。
なので、他のライバル達の絡みが、絶妙に描かれています。
2.第二ライバル関係
「第二ライバル関係」のライスシャワーとミホノブルボンですが、物語序盤でライバル関係である伏線が張られ、中盤で自信喪失したライスシャワーをミホノブルボンが励ますことで復活する、というエピソードがあります。
これは、後のトウカイテイオーとメジロマックイーンに重なるのです。
この物語のテーマを提示したと言えます。
さらに、メジロマックイーンに勝つことで、ライスシャワーの強さを印象付けることが、後に繋がってきます。
3.コメディ担当
そして、物語に適宜お笑いを提供するコメディ担当は厚くなっています。
まずは逃げ馬同盟、でも侮れないメジロパーマとダイタクヘリオス。
そして、なかなか勝てないチームカノープスの面々、特にナイスネイチャ、そして私が裏の主役と考えるツインターボです。
裏の主役、ツインターボ
トウカイテイオーと比べると、、競技者としてはかなり格下でおバカなツインターボですが、だからこそ一般視聴者が共感できる裏の主役だと考えています。
「これが諦めないってことだ!トウカイテイオー!」と叫んで、あのライスシャワーを下して掴んだ勝利に、その姿がカッコ悪くても、最終回と同じくらい涙した人は少なくないのではないでしょうか。
トウカイテイオーが、物語序盤で、「諦めないことが大事」と彼女に語るのは伏線です。
ツインターボは、トウカイテイオーの言葉を態度で示して、トウカイテイオーの引退の決意を翻させることに成功するのです。
その時のチームカノープスの面々による意表をついたゲリラ的パフォーマンスはコメディ担当だからできることだし、そんな彼女らの行動に対する、会長の「いいんだ。私が許可した。すまない、言うのを忘れていんだ。」という粋なはからいも泣かせました。
最後まで弛まない見事な話運び
これらの複合的な話が、物語の最後のレース、トウカイテイオーの劇的勝利に結びつきます。
非現実的とも思える奇跡的復活劇の感動は、これらの話運びによって、全てのキャラクターに視聴者の共感を与えることで成り立ったのだと思います。
実に素晴らしいシリーズ構成と脚本だと思った次第です。
もし、これで興味を持たれた「ウマ娘」シリーズを未視聴の方は、機会があればぜひご覧になってみて下さい。
以上、「ウマ娘」2期の感想でした。
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