異質な逆異世界もの「変人のサラダボウル」
異世界もの、正直、飽きてます。なにせ多くて。
特にトールキンの「指輪物語」みたいなものがベースのやつ。
その中で、異彩を放っているのが「変人のサラダボウル」です。
逆異世界もので、あっちの世界からやってきた幼いお姫様とその近衛騎士の二人が現代の岐阜市でそれぞれ暮らす話です。
なぜか大人の話
溢れている異世界ものって何を目的にしていると思いますか?
私は現実逃避だと思っています。
もちろんエンターテインメントは皆その性質を持ってはいるのですが、異世界ものって、設定の共通化による安心感と主人公のチート性による爽快感をほとんどの作品が持っていると思っています。
実は、制作側も楽できるという理由もあると思っています。
世界観の設定を考えなくていいですからね。
で、この「変人のサラダボウル」ですが、妙に大人の話なのです。
主人公が探偵、しかもかっこいい探偵ではなくて、仕事内容は浮気調査だったり、いじめ調査がメインのリアル寄りだったりします。
お姫様と騎士は魔法が使えますが、地味なエピソードの積み重ねだったり、騎士は魔法が使えても逞しくホームレスしていたり、長良川の鮎を横目にバッタ食べてたりしています。
一方、お姫様は主人公と派手ではないものの普通の暮らしを楽しんでいます。
まあそこはエンタメなのでそれなりにうまくいく人情コメディですが、舞台が現代なこともあって現実と戦う側面があると感じています。その辺りの匙加減が良いのかもしれません。
すごくはないけれど愛はある
特に映像作品としての演出に特別なものがあるとは思えないのですが、スタッフの作品への愛は感じます。
シリーズ構成と脚本に、「僕は友達が少ない」を手掛けたライトノベル作家で原作の平坂 読さんが入っているのも作品のテーマがブレない理由なのかもしれません。
実は、感心しているのが、OP/ED曲で、作品にとても合っていると思います。
OP曲が和ぬかさんの「ギフにテッド」、ED曲が名誉伝説の「今晩の喧嘩」です。
特に「今晩の喧嘩」は、なんと言いますか「今時」じゃないんですよ。
すごいスキルや変わったところで聞かせる曲ではなくて、トラックはファンクっぽい作りなのにメロディと歌詞は日本人的で、言語化しづらい味わいを感じたりしています。
どちらも決して大スターというわけではないし、名誉伝説に至っては昨年結成されたばかりのインディーズバンドです。
このセンスを通してしまうあたり、資本にアニソンレーベルが入ってないか、プロデューサーが実力者なのかもしれません。
というわけで、話題性に低く、内容も地味な作品かもしれませんし、タイトルで損をしている感じもしますが、私は今期の中ではお気に入りで楽しく視聴しております。
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