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「夜のクラゲは泳げない」感想。勝利と努力のバランスの問題

「夜のクラゲは泳げない」、作画はきれいだし、女の子は可愛いし、クオリティとしては何も言う所はないのですが、どうしてもイマイチ感が拭えません。
そこで、その理由を考えてみました。

努力とリターンが見合ってない

あらすじは、閉塞感や諦めに染まった女子四人組が、それぞれの特技を活かしてバーチャルアイドル活動をして現状を打破していく、です。

私がのめり込めない理由は、単純に努力とリターンが見合ってなくて、「そんなうまくいかないよね」と思ってしまうからだと思うのです。

本当は騙して欲しいんです。「ああ、うまくいってよかった」と思わせて欲しいんです。
でも、そういった気持ちになれないのは、主人公らへの共感が持てないからです。

例えば、主役の女の子は活動を通して、プロのイラストレーターを目指して美大へ行くことを決意します。
それは良いことだと思います。
でも、もう私は「ブルーピリオド」を見てしまっています。
すると、美大への道は簡単ではないという知識があり、であるのならこのような活動はその道にふさわしくないな、とわかってしまうわけです。
結果として「なんだか全体的に話運びが甘いんだよな」と思ってしまうのです。

キャラ推し前提の物語はつまらない

たぶんなのですけれど、この物語は「キャラ推し」が前提なのではないかな、と思うのです。
キャラ推しで見ている人が少なくないのでしょうし、であればそれで成り立つのかもしれません。
「ターゲットを絞った」と言われればそれまでだけれど、そうでない私にはしんどいです。

漂うマーケティングの匂い

あと挿入歌がいっぱい入るし、テーマのひとつがクリエーションだから、さまざまな関連グッズが作れます。
「ガールズバンドクライ」もそうなのですが、それも狙ってマーケティング的に作られているんだろうな、と思うのです。
そこも冷めちゃう理由かもしれません。

勝利と努力のバランス

この作品以外にも、努力に対するリターン(勝利や成功)の規模が見合っていない作品は少なくないです。フィクションだとしても、私はそれが気になってしまいます。私は勝利のリアリズムが欲しいのです。
例えば「響け!ユーフォニアム」
あの作品の主人公が所属する吹奏楽部が「勝てるチーム」だとは到底思えません。大会直前まで人間関係でゴタゴタ・ギスギスしています。
でも全国大会へ行ってしまいます。私としては、府大会ダメ金ぐらいがちょうど良いリターンではないかな、と思うのですが。
あの作品は、人間関係のゴタゴタとギスギスがメインテーマで、勝利はおまけだからだと思っています。
「夜のクラゲ〜」も同じように勝利はおまけで、描きたいものというより稼ぎたいという気持ちが優先で作られているのだな、と感じてしまいます。

その点、先日も書きましたが、「ぼっち・ざ・ろっく!」の小さなリターン(勝利)に対する感動は大きかった。
つまり「大きな成功=感動」ではない、という事です。
私は、そのささやかな成功を感動に変えるマジックを求めているのかもしれません。

以上、「夜のクラゲは泳げない」の感想でした。

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