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智恵子以外の人の抄

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詩。
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2021年10月の記事一覧

詩29

「メリーゴーラウンド……?それだ!」
私が何気なく言った一言から
何かを閃いたようである
いったい何を閃いたか訊ねたいところだが
黙祷の時間だ

詩28

蕎麦屋のショーケースの中に飾られた
座布団に座っているデフォルメされた猫の置物は
いつからか倒れたままで
直したくても触れることができず
どうにもできないもどかしさは
店に電話をかけて「なんとかしてください」と伝えるほどのものではなく
これはこれで趣があると自分に言い聞かせるか
自分には関係ないと割り切るしかない
それができないなら
夜に忍び込み直す

詩27

知らない土地の
知らない学校の校歌の
歌詞の中に出てくる山の名前を
知らないのは当たり前
何も恥じることではない
それよりもA型の血液を早く!

詩26

そうだ
コンビニのコピー機に
忘れられた楽譜を集めて
コンサートをやろう
そう決断した日に限って
忘れられているのは
居酒屋の手書きメニューなのだ
諦めるなと誰かが言う
そこは自由にさせて