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智恵子以外の人の抄

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詩。
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2021年8月の記事一覧

詩22

なめるなよ
エスカレーターの横にある椅子の競争率は
尋常じゃないからな

ああそうだ
尋常じゃないな
わかっている

油断するな
靴を脱ぐのか脱がないのか
瞬時に判断しなければいけない状況は
必ずやってくる

わかっている
わかっているからもう話すな
もうすぐ助けが来る

詩21

詩21

ベジタブルサンドウィッチというのは名ばかりで
レタスがたった一枚だけ挟まれただけだが
こういう時は「日本刀のような」と付ければ
「日本刀のようなベジタブルサンドウィッチ」
となり
シンプルさが強みになるのだ
親から電話がきたので
今日はここまで

詩20

あなたがこの手紙を手にして
これはあぶり出しだと気づいて
蝋燭に火をつけ
丁寧にあぶり終わったということは
私はもう旅立ったあとでしょう
追伸
アメリカの山火事は規模が違うよね

詩19

どこからか消防車のサイレンが聞こえてきた
どこへ向かっているのか気になってしまいベランダに出てみるがわからない
今度は隣の部屋からテレビの音が微かに聞こえた
ワイドショーを見ているようだ
外に出るとどこからか木を切っているような音が聞こえた
車の整備工場の前を通るとAMラジオが聞こえた
閑散としてるゲーセンからクレーンゲームの音が聞こえた
以上が本日の午前中に
厳密には午前9時から午前10時の間に

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詩18

明らかにパンクした自転車が
音を立てて背後から近づいてくる
続いて断末魔のようなブレーキが鳴り
私の横で停まる
「どこいくの?」
片思いの彼女が聞く
「どこでもいいだろ」
ぶっきらぼうに言ったら
聞き取れなかったようで
聞き返されてしまった
なにもかもおしまいだ
なにもかも色褪せた
もう話すことはやめよう

詩17

壁に飾られた
交通安全標語コンクールの賞状は
昭和からそこにあって
剥がせば壁が四角く白く
今にも映画が始まりそうなのだ

詩16

詩16

「波動拳!」と聞こえてきた
ゲームコーナーは近い
「波動拳!」がさらに大きくなった
もうすぐゲームコーナーだ
「波動拳!」が小さくなった
道を間違えたか?
「波動拳!」が聞こえなくなった
完全に道に迷ってしまった
歩いていると大きな畑があり
老人が作業していた
ここは何を作ってる畑ですか?

詩15

詩15

最後まで飲まないのに缶コーヒーを買った
呼ばれて行くと焼かれて骨と灰になっていた
思ってた以上に白いが
真っ白というわけでもない
白だと思って買った服が
白ではない時があるが
それには似ていない
この後どうする?
せっかくだから観光して帰る