多様性を掲げながら、旧姓使用に理解のない経済界
選択的夫婦別姓について、経済界から批判的な声が上がっています。例えば、下の東京新聞の記事では、旧姓使用による手続きに対する不満の声が上がっています。
政治問題への関与に慎重な経済界が強いメッセージを出す背景には、夫婦同姓の強制が企業や働く人の負担となり、経済の成長を阻むとの危機感がある。
(下のリンクより引用)
しかし、よく考えて欲しいことがあります。夫婦同氏制による旧姓使用が経済の成長を阻むのであれば、女性が産休を取ってから復帰したり、外国人が日本で仕事をする際に、日本人以上に煩雑な手続きを行ったりすることも経済の成長を拒むと言えてしまうのではないでしょうか?「経済の成長を拒む」ような手間がかかる事例は世の中にいくらでもあるのに、なぜ旧姓使用だけにこだわるのか、非常に不思議です。
また、記事の中でサイボウズの社長の青野氏は、
選択肢を増やすことが多様な個性を生かせる社会につながる
と発言しています。選択肢を増やすと言いつつ、現行法のような旧姓使用は負担がかかると主張することは、氏に関する選択肢を狭めますし、ロジックとしても矛盾しています。現行法のような旧姓使用を控えるために選択的夫婦別姓を推進することで、現行法のような旧姓使用を引き続き使いたい人の選択肢はなくなります。
日本の経済界は、SDGsを目標にしてきました。中には多様性を重んじるような内容もあります。それにも関わらず、旧姓使用をしたい人のために「手間がかかるから」とシステム改善に努めないのは怠慢ではないでしょうか?女性が産後復帰したり外国人が働いたりすることも手間がかかると言わない経済界は、欺瞞に満ちています。