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ロシア人が氏名以外に名乗る「父称」とは?ミドルネームとの違いは?
私はこれまで、ロシア人の名前について何度も解説してきました。しかし、「父称」について説明すると、やはり日本人に馴染みがないせいか、ミドルネームと混同されたり、「称」を「姓」と勘違いされることがよくあります。
で、結局「父称」とは?
父称とは、お父さんの名前を表すロシア人の名前の構成要素の一つです。父の「姓」でなく、父の「称」と書き、父の下の名前から作られます。
例えば、プーチン氏の父称は「ウラジーミロヴィチ」ですが、これは「ウラジーミルの息子」という意味で、プーチン氏の父の下の名前はウラジーミルということになります。
実夫が分からない時は、母の親戚の男性などから父称をつけるようです。
ミドルネームとの違いは?
先述のように、父称は基本的に父の名前を名乗ることになっています。また、ミドルネームと異なり、必ずしも真ん中にくるとは限りません。自己紹介の時は、「名・父称・氏」の順に言いますが、公的文書に名前を書く時は、「氏・名・父称」の順です。また、目上の人を呼ぶ時は、名前プラス父称です。
なお、ロシアの隣国ウクライナにも同じような仕組みがあります。
しかも、「外人は皆、名·姓の順番だ!日本人に媚びるために逆にしたのだ」と決めつけているね。
— ナザレンコ・アンドリー (@nippon_ukuraina) October 21, 2019
添付写真は私の古い学生書だけど…
Назаренко Андрій (ナザレンコ·アンドリイ)の順番になっている。「白人は皆アメリカ人と変わらない」と思っているのかね w
ウクライナは姓·名·父称という順番です。 https://t.co/85yKRByFxT pic.twitter.com/nnEIsJdK0T
母称は名乗れないのか?
母称は名乗れません。たまに、ロシアでは夫婦別姓が可能ということを男女平等の文脈で前向きに話す人がいるのですが、父称はよくて母称はダメというジェンダー的な違いが存在していることについて是非触れて欲しいと思います。↓こちらの記事も参照に。
なお、父が分からない人も父称を名乗ることになります。
父称の文化に触れるには…?
ロシア文学には、嫌ほど父称が登場します。父称がよくわからなあい、と思われる方は、ロシア文学を読んで父称に慣れるのもありでしょう。