深夜3時、ブルーベリー香るベッドサイドにて

ブルーベリーフレーバーのタバコが、彼のいたベッドの一角からふんわりと香る。私はふとんを大きく被って息を吸い込む。隣を向くと彼が置いていったメガネ。「こんなところに置いていったら潰しちゃうって!」と呟きながら、メガネを彼に見立てて隣で眠ろうとする私。新婚ということを鑑みても、どこまでも夫に恋をしているらしかった。

夫は、びっくりするほど私の扱いがうまい。
先日、訪問看護師が24時間体制の緊急連絡先を置いていったが「俺はあれなしでも君を落ち着けられる自信があるな」なんて豪語していて、少しかっこいいと思ってしまった。
実際に私が部屋中を徘徊しているときも、巧みにベッドに誘導し、私をあっという間に眠らせた。
トラウマに脳が支配され、パニックを起こしている時は、後ろから抱きしめて「あかねさん、大丈夫だから」「俺がいる限りそんなことは二度と起こさせないから」と落ち着かせてくれる。こんな尊いひとが私を好きでいてくれていいのか時々心配になるが、何かのマジックで今も私のことを好きでいてくれる。そのことが唯一と言っていいほど私の誇りであり、生きる意味だ。
最近まで彼は私の味方を(あえて)しないでくれていた。あくまで客観を保つことで、私を正しい道に誘導しようとしていたからだ。でも、最近は正しいかどうかは二の次で、まず私を肯定してくれる。そのことがとても嬉しくて、こっそり泣いている。そんな人の言うことなら、いくらでも聞きたくなる。だからどうかそれを悪用しないで、清らかなままの君でいてください。私は、清らかな君だけを愛しているわけじゃないけど、清らかな君なら、迷わず一生ついていけるから。

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寂寥の雨
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