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綿帽子 第十一話

「Oh,yeah?」

それで一括りできそうな事件だ。

延々とのたうち回った結果、どうやら一種類の抗生剤がマッチングしたようだ。

相変わらず昇圧剤は点滴し続けているけれど、暗中模索の闘病生活に希望の光が薄っすらと灯った瞬間だった。

先生が言っていた通り、この抗生剤が効果を発揮しているらしい。

今朝の巡回でも、原因となった細菌が何かは突き止められなかったのだが、順調に回復しているとの報告を受けた。

熱も変わらず37度台から38度台を行ったり来たりしているが、先生がそう言うなら信じるしかない。

おまけに

「◯◯さん今夜から食事が出ますから」

看護師さんがそう伝えに来た。

「どえらいハイペースやないかい!」

「それほんと大丈夫なの?」

そう思ったりもしたが、まあいい。
明らかに嘘だと見抜けるような顔をされるよりよっぽどいい。
食事ができるなんてどれだけ幸せなんだ。

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1,620字
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