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少しのキズがあったっていいじゃない。

最近、新しい相棒ができた。

と言っても人の話じゃない。

ワイングラスだ。とっても小さなワイングラス。

赤にはこれ、白にはこれ、とワイングラスにはちゃんと合うものがあることはうっすら知っているけど、仕事終わりは肩の力を抜いて飲みたい。

立派すぎるワイングラスは気を使うし、かといってただのグラスだとどうも雰囲気でない。

そうやって、あちこちの食器コーナーや雑貨屋さんを眺めては繊細すぎるガラスや重たすぎるグラスに「違う、そうじゃない」となっていた。

つい先日、ダンナ実家に帰省したときに実家近くの雑貨屋さんへダンナが連れて行ってくれた。

小さなちいさな店内。古い家を改装したかのような佇まいのそのお店の片隅にグラスのコーナーがあった。

ずっと売れていないのか、グラスは皆ちょっとくすんでいたのだけど手に持ってみたら思いの外軽くて、手にスッと馴染んだ。

これだ。

手にしたそれをそのままレジに持って行こうとしたとき、目の片隅にほんの一瞬飛び込んできたのはそのグラスコーナーの端にあったちいさな貼り紙だった。

「キズあります」

それが一瞬にして脳裏にバシッと焼き付いた。なんだか呼ばれているような気がした。

キズがありますと書かれたグラスは手にしたものと同じサイズ。5%オフ。

ずっと売れていないのだろう。他のどのグラスよりもくすんでいた。

キズってどんな?どれくらい?

そう思って手に取ってキズを探してみたら、本当にピンの先でちょっとつついたくらいのちいさなキズがあった。

その傷ついたグラスは私の手に収まった瞬間、なんだかホッとしてくれたように思えた。

あぁ、これは運命だな。絶対に私のとこに来るために待ってたんだ。

最初に手にしていたグラスにはごめんね、と詫びつつそっと元の棚に戻し、そのキズのあるグラスをレジへ持って行ったら、お姉さんがプチプチで大切に包んでくれた。

一緒に帰ろう。

そうやって私の相棒ができた。

疲れて帰った夜に缶のプルタブをバシュ!って引いて楽しむビールも大好きだけど。

ちいさなグラスに、ワインを注いでゆっくりと過ごすこの時間が今はとても好きだったりする。なんだかホッとするのだ。

多分それは、そのグラスを手にすると

少しのキズがあったっていいじゃない。

完璧じゃなくていいじゃない。

そう言ってくれるような気がするから。

一日無事に過ごせただけで、十分だ。って励まされているような気がして。

私と同じように、今日一日がんばったみなさま。

1日、お疲れ様でした、さぁゆっくりしよう(^^)

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Naho/働いてても野球少年を育てられる!
野球好きな母が日々感じたことを綴ってます。何かのお役に立てたら幸いです。

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