クライアントになってみて分かった、声をかけられやすいフリーランスに必要な3つの「心配り」
受注してばかりの私が、発注者になった
ざっくりくくると、私はフリーランスのクリエイター。
独立して8年目になりました。
SNSやウェブサイトの検索で知ってくださった初対面の方、知人の紹介で知ってくださった方、これまでの知人。
色々な方からお仕事をいただいて暮らしています。
お客様とのやり取りで大切にしているのは「クライアントが想いが叶えらえる、喜ばれる良いものを作りたい」ということ。
このたび知人にデザインやコピーを依頼して、珍しく発注者側に立つことになりました。
すると、頭では分かっていたけれど見える景色がガラリと一変。
ふだん受注側になる機会の多い私が発注側に回ることで、初めて見えてきたことがありました。
これは忘れてはいけないことだと思ったので未来の私のために書き残しておきます。
今回の経緯
制作をお願いしているのは、自分の新サービスの、サービス名とロゴ。
長年やりたかったサービスなので熱い想いを持っているけれど、その価値や魅力がうまく人に伝わらず、プロと一緒にサービスの「外観」を作りたかったので、依頼をさせていただきました。
「ここで作った売上を依頼に使うんだ…!」と、去年の繁忙期を乗り切るご褒美になっていたくらい楽しみで、実際に始まってみたら打ち合わせも毎回とても刺激的で楽しい。
現在はブラッシュアップの最中で、自分ひとりでは到達できないところに行ける確信もある。
けれど、それと同じくらい痛感している。
クライアント側ってこんなに「勇気が必要」だったんだ…!
ここで3つ、発注側の立場で見えてきた気づきを挙げてみます。
クリエイターに発注する時には勇気がいる
1)そもそもお声がけに勇気が必要
そもそも相手が今、お仕事を請けられる状況なのか、その種類の制作は続けているのかが分からないということは往々にしてある。
最終的には直接聞くしかないんだけれど、その前に分かることはないか、とSNSやウェブサイトを見に行って「今どんな感じで働いているんだろう」と各種SNSのタイムラインを遡り、ウェブサイトを隅から隅まで読み漁りました。
2)見積もりをもらうのには勇気が必要
「相手にとって適正な価格でお願いしたい」が前提でありつつ、「自分のお財布の都合はあるし、お手頃であるのにこしたことはない」が同居している。
「このくらいの費用で収まるかな〜」と思いつつ「いや、でもこの価格が相手にとって失礼だったら…」と思うと言い出すのもためらう。
今までのお仕事を思い返すと、ご予算をうかがうと「まずはお見積りをいただけたら…」とおっしゃるクライアントの気持ちが痛いほど分かりました。
そりゃそうだ。
3)フィードバックにも勇気が必要
発注者として、出してくださった案へのフィードバックはとても大切だ。
ただ、自分がプロなら「べき」を自信をもって言えるが、サービス名もロゴも素人なので、何が良くて何が良くないかを判断する軸が無い。
プロのクリエイターの知人は、もちろん私が素人なのは知ってますし、私のフィードバックから核となる部分を拾って専門的知見を加えてブラッシュアップをしてくれるでしょう。
これまでお仕事をご一緒させていただいた、素晴らしいクライアントのお顔が脳裏によぎる。皆さんみたいに、私はできるだけ「よい依頼主」として作り手と切磋琢磨していきたいんだ…。
かっこよくバシッとフィードバックを決めたい見栄や自意識、私の発言一つで成果物の方向性が大きく変わってしまう責任も感じます。
このやり取りのあと、勇気を出して自分なりの感想をお伝えしたところ、やはり餅は餅屋。
私の発言の真意を汲んだ提案をいただき、だんだんと方向性が見えつつある現在です。
発注側が意識するとよさそうな3つの心配り
今回感じた作り手として大切なことを、半年も経てば私は早々に思考の隅へ追いやっていそうな気もする。でも、発注にどれだけ勇気が必要だったのか、今後も忘れずにありたい。
あらためて、私が楽しくお客様と仕事をさせてもらうために、勇気が必要なハードルをできるだけ低くする3つの心配りを考えてみました。
1)今の状況を、わかりやすいところでシェアしよう
細かい状況までは書かなくて良いので、まずは「今、私はお声がけ受付中」であることを、お問い合わせページに記載しよう。
そして出せる実績は出していこう。
実績の解説などは、後で追記すれば大丈夫!
2)なるべく見積もりに幅を持たせよう
複数パターンの見積もりをつくって、選んでもらえるようにしよう。
潜在的なご依頼したかったことに気付いてもらったり、自分がより頼みたかった形でのご依頼ができるようになります。
3)フィードバックをもらいたいときは、相手が発言しやすいように
まずは「ちょっとしたことでも、なんでもぜひ!」と、ウェルカム感120%増しでいきましょう。
あとは、特に何に対してフィードバックしてほしいかを的確に。
また「最終的にはフィードバックもふまえてこちらがベストだと思うものをご提案します!」という、安心してもらえるプロフェッショナルであることもコミュニケーションのなかで伝えてください。
体験して、分かること
ふだん受注してばかりいる私が発注者の靴を履いてみることで、クライントがいかに勇気や胆力をもって発注してくださっていたかということを、リアリティをもって実感しています。
頭で分かっているだけなのと、実際にその立場になって体感するのでは天と地ほど、ぜんぜん違った。
「グラフィックレコーディングというものを聞いて、初めてやってみたいと思いました」とおっしゃってくださった、あのお客様。
「関さんのことを、知り合いにオススメされてきました!」とおっしゃってくださった、あのお客様。
みなさんどんなに勇気が必要だったことだろうか。
今後もこのメモを時々見返し、時々靴を履き替え続けて「クライアントに喜ばれる良いものを作られる」クリエイターでありたい。