C-26 〜名作空想Kissの裏に、僕の苦悩はありにけり涙〜

　出ないのよ、高い声が。

　メル・トーメみたいなボーカリスト目指せば？
　そう音楽の専門学校のジャズボーカルクラスの先生に言われた。メル・トーメというのは割と低音でかなり丁寧にジャズのスタンダードなんかを歌う男性シンガーだ。

　僕は心で、嫌だよぉ〜メル・トーメ、と呟いていた。19歳の頃。いや、メル・トーメは素晴らしいシンガーだ。偉大な人だが、彼を観る客はタキシードやカクテルドレスを着た落ち着き払った大人達であり、決して若い女の子にキャーキャー言われるタイプの人ではない。当時はそう考えていた。興味のある方は以下をご覧ください。

　メル・トーメ…..

　先生曰く、
　ポップスのボーカリストとしてはアナタの声は低いし、
尖ってない、メル・トーメ、オススメよぉ〜、と。

　そんな風に助言されてたからまぁ多少の覚悟はしていた。

　しかし、椰子(説明するまでもなくココナッツボーイズの事、２度は説明しません)に入る前に僕がやってたバンドではボーカリストをつとめていたしそれで観客が沸いた事もあった。だから何とかなるんじゃね？という目算もあったわけだ。しかし、先生にそう言われてしまうとショックはでかく、仕方ねぇからタキシードでも買うかなぁ、なーんて半分考えていた。でも言い換えると、僕は音楽の世界で食ってく事以外は考えていなかった、わけだ。

　思うんだけど、もしこの道がダメだったら、とか、セミプロくらいになりたいwとか訳のわからない事を言ってる人は早めに諦めた方がいい、と思っていた。そんな志でどーなる、と。セミもトンボもないんだよ、と。

　しかーしGreeeenのような凄い人達の出現でその発想は木っ端微塵に砕かれた。

　歯医者のロックボーカリストなんて想像もしなかった…..

　Greeenはずっと後の世代の人達だけどその話しを聞いた時はカルチャーショックだった。

　しかし。
　そもそも医大に通えているという事は賢いのはもちろんの事、そういう境遇に生まれたからできる事。大学に進学することすらままならない僕のような輩には所詮無茶な話しで、ミュージシャン一択志向もあながち無理もない、と思って頂きたい。だから僕と似たような境遇の若い奴ら、
腐っちゃいかんよ。まっすぐ行け。まっすぐ進む力があれば多少目的地と違っていても満足のいくゴールはきっと待っている、そう信じてください。最初から諦めてしまってはまた新たなハードルの前に立った時、

　今度も飛べない人

　になってしまうよ。　

　話しが大分それました。

　バンド名がC-C-Bとなってついに、ロマンティックが止まらない、という曲が目前に現れて、笠がメインボーカルになった時は、それはそうだろう、英樹の声もいいけど笠の耳触りがよくて甘くキレイな声は他にないもん、と考えた。だからさほどの衝撃は感じなかった。仕上がった曲を聴いて、これはいい、売れそうだ、と非常に嬉しくさえ思った。当然だ。

　2曲目のヒットシングル、スクールガール。