突然オンライン授業がやってきた!:藤井資子先生(熊本県立大学)
私とデジタル教科書の出会い
私とデジタル教科書との出会いは電撃的なものでした。2020年春頃でしたでしょうか。コロナウィルス感染症の流行により、学校の授業は開店休業状態。事務作業はフル稼働していたように思います。
オンラインで授業をやろうと、弊学で、Microsoft社のteamsが導入されました。最初は、teamsに振り回されて四苦八苦です。出したつもりの課題が出題されていなかったり、出さなかった方の課題が出題されていたり…。
こんなときは、豪快に行くしかありません。マニュアルの必要最低限の事項を、同僚の先生がまとめてくださいました。それを片手に、マニュアルにないものは「えいやあ!やってみて覚えろ!」状態です。
そんな時、私が相棒に選んだのは、紙版でも使用していた、碩学舎さんの「1からシリーズ」です。
学生、デジタル教科書に遭遇する!
さて、学生さんにデジタル教科書の利用をご案内しだすと、いろいろなトラブルが発生しました。「教科書が買えません!」「IDとPasswordがきません」「組織コードが来ません」などなどです。
丸善さんのActLearnを利用しました。ここからは、丸善さんとの二人三脚で力業です。デジタル教科書の購入に慣れていない学生さんに向けて、丁寧なチラシを丸善さんにつくっていただきました。しかし、学生さんたちは、溢れかえる情報の中、それをじっくり読む時間がなかったようです。「よろず問い合わせ係」を経験しました。今ふりかえると、どこがわからないのか、何でひっかかっているのか、学生さんの目線を学べ、次の年次に活かせる経験をしたように思います。
デジタル教科書を使って授業をしてみた
初年度は、慣れません。デジタル教科書を読んで、課題を出してもらう方式の授業です。毎回400字程度のレポートを出していただいたのですが、学生さんも大変だったのではと思います。
初年度は、「いつでも質問の窓口は開いていますよ」を意識しました。初年度は、次年度のための知見を蓄積しようというトライアル期間でした。しかし、シラバスなど、フレキシブルに変えられない部分もあり、学生さんたちも大変だったのではないかと思います。
2年目、少し進化しました。
忘れもしない2021年2月2日、碩学舎さんの研究会に参加する機会に恵まれました。「お願いだ!デジタル教科書を自分で買えるようになろう!」と悲壮な叫びでプレゼンテーションを終えました。その後、ご参加なさっている先生方との質疑応答で、多くの知見を得ました。これは、2年目に活かさねば!
2年目は、少し進化しました。1回の授業で扱うのは、「1からシリーズ」の1章分です。それに蛍光マーカーや赤線、書き込みなどをして、Zoomを使い、デジタル教科書を画面共有しながら一人講義をします。それを限定公開でYouTubeにアップロードして、課題を解いてもらう方式に変えました。
YouTubeの視聴動向を見ていると、飛ばし飛ばし動画を見ていることがわかります。学生さんがたまに学校に来ると、「60分の動画は長い」「90分は地獄だ」と騒いでいます。よし、それなら15分でどうだ!とやってみました。それでも重要箇所、確認テストに出そうなところだけ閲覧率が上がっていている状態でした。
学生と私を繋いだもの-課題へのフィードバック-
弊学は、公務員を目指す人が多く在先する学校で、経営学は卒業のための単位取得の通過点にすぎません。学生と私を繋いでくれたのは、課題へのフィードバックでした。
授業アンケートの回答率は60%に満たなかったようですが、「課題へのフィードバックがやる気につながった」という記述を目にすることが多かったように思います。
これは、研究会の先生方のコメントやプレゼンから得た知恵で、「学生さんのことを、オンラインで会うことはないけれど、個々にちゃんと見ていますよ。」というメッセージを発するように心がけたのです。「前回はうっかりミスがあったけれど、今回はパーフェクトでしたね。」そんなやりとりが、一方通行の講義で、学生さんと私の絆を作ってくれました。
まだまだ続く探求
私の授業スタイルは、ビジネススクール方式を学部生用にアレンジして、クラスで討議しながら進めていくものでした。いきなり「遠隔・双方向不可」のお達しが学校から来たときには、目の前が真っ暗になりました。その頃、紙の教科書は売り切れが多く、入手するのが困難であったことも、デジタル教科書との出会いを早めた要因です。
初年度は、買い方がわからない、使いづらい、という感想も多かったのですが、2年目になると、「どこでも勉強できて、自分のペースでできる」「時間が有効活用できる」というような感想も増えてきます。常に1ヶ月先まで、動画と課題を提示するスタイルを続けたことも好評でした。
3年次の授業で、1回だけグループワークを取り入れてみました。遠隔ですが、意外にうまくいったように思います。弊学では、様々な制約から、今後も遠隔・双方向・リアルタイムの授業形態が認められることはなさそうです。それでも、やっていける知見を学生さんたちが「感想」「質問」としてたくさん届けてくださいます。
チャレンジの3年目に向けて、何をやろうか、子供心を忘れず様々な「企み」を試みたいと思います。