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私と鬱とHIPHOP【19】反出生主義と出産

今の職場での1回目のうつ発症から立ち直った僕。この回復で、僕は社会人・会社員としての人生に少しばかり自信を付けていた。

妻も一先ずは安心してくれた様だった。そんな折である。妻から「子どもが欲しい」という相談をされたのは。

正直、これには大いに悩んだ。実は僕は、やや反出生主義寄りな考え方を持っていた。

自分自身・生まれてきて良かったと思ったことは一度も無かったし、なんなら、生まれてなんてこなけりゃ良かったと本気で思っていた。

だって、人生なんて、楽しいことより辛いことの方が遥かに多い。そんな人生にわざわざ新たな命をエントリーさせるというのは、いかがなものかという考えを持っていたわけだ。

というのも僕は、紆余曲折あって、幼少期より人生を悲観してきた経緯がある。この悲観主義は30過ぎまで、基本的に変わることは無かった。もちろん音楽活動や結婚をはじめ、素敵なこともいっぱいあった人生だった。

だが、基本的に「生きているだけで辛い」という考え方をしていたので、素敵なことがいくつ起ころうが、それは「この世に生まれてきてしまったという最大の不幸の埋め合わせにしかならない」と考えていたのだ。

言わば僕にとって「出産」とは、手ずから不幸な人間を一人増やすという行為に他ならなかったのである。完全に拗らせであろう。

そんな僕も最終的に出産を決意することになる。最大の理由は、妻のためだった。僕は妻を愛している。そんな妻が子どもを望んでいる。

もし妻が僕の思想のせいで、子どもを諦めるということになれば、それは不幸だ。愛する妻に、僕と一緒になったばかりにそんな不幸を強いることは、僕にはできなかった。

要するに、僕は妻とまだ見ぬ子どもを天秤に掛けたわけだ。僕には妻の方が大事だった。なので、正直・子どもには申し訳ないが、僕と妻のために、このクソッタレな世界に生まれてきてもらうことにしたのだ。完全なエゴである。

とはいえ、生むと決めた以上は、僕にできる範囲で最大限・幸せになってもらうための努力はしなければという決心は、同時に固めていた。

この決心を固めるに辺り、ZORNくんのLetterという曲に大いに励まされた。ご自身の娘さん(奥さんの連れ子)への愛を歌った曲だ。本当に素晴らしい曲なので、興味のある方はぜひググってみてほしい。いつか本人と再会できたら、感謝の気持ちを伝えたいと思っている。

ただ、結果論ではあるが、僕はこの人生に対する極端な悲観主義と、反出生主義を翻すことになる。生まれてきた子どもの顔をみた時、初めてのミルクをあげた時…僕は人生で初めて「生まれてきて良かった」と心底思えたのだ。

単なる自己正当化と言われればそれまでだが、我が子の誕生は、それほどまでに大きい衝撃を僕に与えた。この子が、この世に生まれてなんて来なければ良かったなんて、そんなことあるわけない。いや絶対にそうはさせない…と。

正直、人生に対する悲観主義と、ロジックとしての反出生主義には今でも論理的には反論できない。否定する気も、さらさら無い。

ただ感情の部分で、僕はこれを、ある意味で乗り越えたのだと思う。妻と、生まれてきた子どもには、感謝の気持ちしかない。

この辺りの出産に伴う心情の変化は、自身の曲「後付けのLoveSong」という曲に綴ったので、よかったら下部のリンクから聴いてみていただけたら嬉しい。

この1件から僕が学んだ教訓は、なんでもかんでも頭で論理をぐちゃぐちゃこねくり回しても、出ない答えがあるということだったように思う。最終的には、人間は感情で動くのだ。

そんなわけで曲がりなりにも人の親となった僕。鬱からの回復後は、仕事でも徐々に成果を出せるようになっており、順風満帆だった。

そんな僕だが、2021年・夏。実に3年ぶりに2回目のうつを発症してしまうことになってしまった。未だ社会の大きな問題となっているコロナ禍も、2回目の鬱には大きく関わってくる。次回は、2回目の鬱を振り返りたい。

続く…

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