近畿地方の石造物①:当麻北墓五輪塔

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名称:当麻北墓五輪塔

伝承など:特になし

所在地:奈良県葛城市當麻 当麻寺北方の墓地内


白鳳時代の仏像で有名な当麻寺の北方の共同墓地の中に建つ五輪塔で、二メートルを超える大型塔である。

造立年代は平安時代末期と推定される。

無銘ではあるがおそらく日本に現存する石造の五輪塔としては最古の作例であり、非情に貴重な石塔である。

凝灰岩製で地輪が低く、水輪は後世のような球形ではなく、円柱の角を丸くしたような形であり、まだ加工技術が洗練されていない最初期の五輪塔の特徴が随所に見られる。

個人の墓として石塔を用いるのが一般化する前の作例であるため、墓石ではなく、例えば当麻寺の木造三重塔のような一種のモニュメントとして造立されたと考えられるが、造立趣旨や造立者などは不明。

荒削りであるが異様なほどの迫力に満ちた塔で、近畿地方の初期五輪塔の代表格と言える。


同じ墓地内には二基の層塔(三枚目)があり、向かって左側の三重の層塔(四枚目)は相輪こそ欠損しているが、平安時代末期の作と推定される古様の石塔である。

右側の層塔は鎌倉時代末期の作で、中将姫の墓と伝承されている。


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