動画全盛の時代に、写真を撮る理由

【記録ではなく記憶として】

動画は受動的である一方、写真は能動的に脳を働かせる感覚がある。これは、流れていく視覚や聴覚の情報を追うことに脳が集中し、回想する余地が少ないからではないか、という私の持論だ。

ちなみに、米サンフランシスコ大学の研究(2012年)によると、「人は過去の動画を見るよりも、写真を見る方が、当時の情緒的記憶を3.1倍も思い出しやすくなる」そうだ。

一枚の写真から、さまざまな感情が湧き上がる様は、小説の一文からあらゆることを回想するのに似ている。これが情緒的記憶というものだろうか。それは、事実とは異なり、思い出補正された記憶かもしれない。それでも、それはそれで幸せな記憶なのではないだろうか。

都合よく解釈してもいい。写真には受け手の自由度や余白が多く残されているから、私は写真が好きだ。

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