外国語講師たるもの
あくまで、私の個人的な感想です。
TOEICを勉強していると、実に多くの先生が(ほぼ)毎回、みんなと同じ試験を受け、対策や課題について語っていらっしゃいます。
私はこの姿勢が素晴らしいと、いつも感心すると共に、それだけ信頼度も高いです。
ところが、スペイン語となるとどうでしょうか。誰ひとり、毎回西検やDELEを受けることもなく、試験の内容や雰囲気、課題について最新情報を何も得ることがなく、生徒やネット上の情報をかき集めて
「対策講座」
を開いている。そして勉強する側も、それしか選択肢がないから選んでいる。
誰ひとり、各試験の解答速報も出さない。
私は思うのです。試験って、実際に受けて、設問にあたってみて初めて、「あ、前回と違うな」「単語のレベルが上がってるな」「これ前に見た表現だな」と気づくものです。
ましてやスペイン語では、全国通訳案内士試験しか、受験していない人が問題を見られないのです。西検もDELEも、問題の持ち帰り禁止ですからね。
なのに、何の対策を教えられるのでしょうか。そういう講師ができるのは、単に基本を教えるだけ。例えば、DELEのB2だとここまでのレベルだから、ここまでの文法を教える、ということです。
それってただのスペイン語講座で、試験対策でも何でもありません。だって講師が最新の問題を知らないんですから。だって講師が試験のテクニックを教えられないから。
TOEICでもやらない英検でもそうですが、試験についての事前知識やテクニックがなかったら、時間配分や解く順番を知らなかったら、知っている受験生よりはるかに不利だと思いませんか?
西検、DELE、全国通訳案内士試験、全てそうなのです。ですから、以前も書きましたが、対策講座と銘打ったもの(スペイン語ではない)をやってみた時、
「結局これ全部覚えるってことは、参考書丸ごと全部覚えろってこと?!」
と、その教材を見て思いました。その教材は、教科書や参考書に書かれていることを箇条書きにしただけです。そして、毎回「ここが出る可能性が高い!」という部分は、何年にもわたっていまだに出ていません。しかし、出たところは「ほれみろ!やっぱり出た!」と評価する。
本当にそんな事でいいのでしょうか
自己反省を兼ねて、自分の経験を記します。私もかつてスペイン語講座の講師をやってきました。学校や公民館、個人レッスン。ありとあらゆる場面です。
当時の私は、スペインから帰国したばかりの頃に受けたスペイン語検定の3級持っていただけで、公的指標のあるものは、スペインの学校の卒業証書くらい。
ところがある日、生徒さんから言われたんです。
「わたし、西検1級受かりました」
「DELEのsuperior、受かりました」
両方とも私にとっては受けた事がない未知の領域です。それはすごいし、良かったですねー!と思った一方で、
「あぁ、もう自分の範疇にないな…」
と心底落ち込んだのを、今でもはっきりと覚えています。
教える人が未経験だったり、少なくとも何回か経験したわけでもないのに、他人に堂々と「教える」なんていう行為をする事が恥ずかしいと思い始めたのです。
そんな思いと、コロナ禍で全ての仕事がキャンセルでなくなってしまった頃、
「じゃあ自分も受けてみたらいいじゃん」
と思いました。それは今まで受けるつもりもなかったTOEICや英検をやり始め、その先生たちの試験に臨む姿勢に感銘を受けたからです。
講師も受験し、最新情報を熟知している。
私は今のところ、スペイン語の講師はしていませんが、少なくとも毎回公的評価をしてくれるいろいろな試験を受けて、なるべく記憶のあるうちに解答速報を書いたり、どんな問題だったかをここで伝えるようにしています。
講師と名乗るなら、スペイン語を学ぶ全ての人に利益のある事(解答速報や解説)はやるべきだと思っています(公式がやらないから)。
別に一度受かったからって、次も受かることはないかもしれないのですから。せめて、効力が切れる2年に一回は、西検くらいは受けべきと思います。(DELEは生涯有効ですが、たとえば10年前に受けた試験の信ぴょう性をみなさんはどう感じますか?)
以上、外国語講師としての自分の「ポリシー」をお話ししました。