ネタバレ全開研究「すずめの戸締り」~映像をただ楽しむもよし、あれこれ考えるのもまたたのし
詳細に研究していきます。ネタバレ全開で行きます。結末を知りたくない方はここで左様なら。また会う日までお元気で。
美しく圧倒的な映像。魅力的な人物と旅気分が味わえるロードムービー。単に見るだけでも楽しめるが、作品に込められた思いは奥が深く考察すればするほど新たな発見がありました。なんどみてもまだ作品の核の部分にはたどり着けないと感じられる作品でした。
評価4★★★★(5点満点)
5★人生が変わった / 4★とてもよかった / 3★よかった / 2★つっこみどころ満載 / 1★怒りを覚える
◎あらすじ
宮崎
〇高校生の鈴芽が草太とすれ違う。美しさに一目ぼれする
〇草太がめざしていた廃墟になって温泉街を訪れる。誤って要石を抜いてしまう。猫に姿を変える。
〇学校で温泉街から煙が出ているのを見つける。(ミミズ)
〇草太と共に扉を閉める
〇家に呼んで傷の手当てをする。
〇猫(ダイジン)が現れる。草太を椅子の姿に変える
愛媛
〇SNSを頼りにダイジンを追う
〇愛媛で旅館の娘千賀と出会う
〇土砂崩れで廃校した中学校で後ろ戸を締める
神戸
〇スナックのママ、ルミと出会う。愛媛から神戸までヒッチハイク
〇閉鎖された遊園地で後ろ戸を締める
東京
〇草太の友人、芹沢に出会う
〇お茶の水の地下で後ろ戸を締める。草太は要石にさせられる。
〇芹沢、追いかけてきた環と合流。東北を目指す
福島
〇福島、地震があるがおさまる。草太がおさえていると確信する。
仙台
〇仙台、鈴芽の故郷で後ろ戸を締める。草太は人間の姿を取り戻す。
〇子ども時代の鈴芽と会う。椅子を渡す。
◎物語について
・未来の東京と震災への恐れ
新海誠監督は「現在の東京の姿をおさめておきたかった」と語っており、将来的に発生が懸念される大地震によって日本が失われることへの危機感を作品の根底に据えている。物語は、地下に眠る巨大な力が地震を引き起こすというファンタジー要素を基盤に、その力を抑えるため全国各地の「後ろ戸」を封印していく旅を描いている。
・主人公の家族背景と父親の不在
主人公の鈴芽は震災で母親を亡くした過去を抱えており、その喪失体験が物語の核心に深く関わっている。しかし、物語中で父親の存在には一切触れられておらず、母親を失った子供が父親に引き取られるのが一般的な状況であるにもかかわらず、その説明が欠落している点は物語の解釈において疑問を残す要素となっている。父親の不在は、物語のファンタジー要素を強調するための意図的な省略とも考えられるが、リアリズムを重視する視点からは説明不足と感じられる部分である。
・過去の自分を救う象徴的シーン
成長した主人公が震災直後の自分と再会し、母親の作った椅子を渡すシーンは、過去の自分を癒し、未来への希望を伝える象徴的な瞬間である。「未来の自分が過去の自分を救う」というテーマは、時間を超えた癒しと再生のメッセージを含んでおり、震災の苦しみを乗り越え、前向きに生きることの大切さを強調している。
・鈴芽の自己犠牲と愛の力の描写
鈴芽が草太を助けるために自らが要石になろうとする行動は、愛する人を救うための自己犠牲として描かれている。しかし、二人の出会いが数日程度であることから、彼女の行動が過剰に感じられる。深い関係性を築く時間が不足しているため、彼女の自己犠牲が唐突に映る。ただし、「ダイジン」という存在が鈴芽を導いていると解釈すれば、単なる一目惚れや盲目的な愛ではなく、運命的な導きとして受け取ることもできる。
本作は、震災への恐怖と喪失をテーマにしつつ、ファンタジー要素を通して未来への希望と再生を描いた作品である。父親の不在など説明不足の点はあるものの、象徴的なビジュアル表現や時間を超えた自己救済のメッセージは強く心に残る。鈴芽の自己犠牲の描写は一見唐突に見えるが、ダイジンの導きと解釈することで物語の一貫性が保たれている。最終的に、本作は震災を乗り越え、未来に向かって進む希望のメッセージを力強く伝えている。
◎舞台となる場所など
『鈴芽の戸締まり』は、全国各地で発生する大地震とそれを引き起こす「後ろ戸」を閉じる旅を描いた作品であり、震災の記憶や人々の喪失感をファンタジー要素と共に描写している。本作は、日本各地の実際の震災を想起させる場面を通じて、震災への恐れと希望のメッセージを伝えている。
・宮崎編:旅の始まりと南海トラフ地震の暗示
物語は宮崎県から始まり、主人公の鈴芽は「要石」を誤って抜いてしまったことで、各地の「後ろ戸」を閉じる旅に出る。ここで出会うのが草太である。物語の舞台となるのは寂れた温泉街である。
宮崎を舞台にしたのは南海トラフ地震を象徴していると考えられる。南海トラフは九州から四国・東海地方にかけて巨大地震を引き起こす可能性がある震源域であり、この地域の不安が作中の災害描写に反映されている。
・愛媛編:旅館の娘・千賀との出会いと土砂災害
愛媛では旅館の娘である千賀と出会いる。この地域では、土砂崩れによって被害を受けた中学校が登場し、鈴芽が自らの手で鍵をかけて「後ろ戸」を閉じる。南海トラフ地震の影響範囲としても想定される四国地方の災害リスクがここで描写されている。
・神戸編:阪神淡路大震災の象徴的描写
神戸では、スナックのママとの出会いが描かれる。舞台となるのは遊園地である。
神戸は1995年の阪神淡路大震災を想起させている。
・東京編:草太の犠牲と関東大震災
東京では草太が要石となり、自らを犠牲にして多くの命を救おうとする前半部のクライマックスが描かれている。舞台はお茶の水の地下である。東京を舞台にしたのは1923年の関東大震災を象徴していると考えられる。
・仙台編:鈴芽の故郷と東日本大震災の記憶
物語の終盤、鈴芽は故郷である仙台に戻る。
鈴芽は好きな人を救うために自分が要石になり自らを犠牲にしようとする。
ラストに自身が幼少期に経験した震災の記憶と向き合う。仙台は2011年の東日本大震災の被災地であり、このシーンでは震災で母親を亡くした自分自身と対話し、未来の自分が過去の自分を救済するという象徴的な展開となっている。
結論:震災の記憶と希望のメッセージ
『鈴芽の戸締まり』は、各地の震災を象徴的に描きつつ、過去の悲劇から目をそらさず、それでも未来への希望を持ち続けるべきだというメッセージを伝えている。鈴芽の旅は、喪失と向き合いながらも未来を見据える成長物語であり、震災の被害を忘れないこと、そしてそれを乗り越える勇気を持つことの大切さを訴えかけている。
・ミミズに狙われた場所と象徴的背景
作中で「ミミズ」と呼ばれる災厄が発生する場所は、日本の災害の歴史や人の消失を象徴している。
· 被災地
仙台(東日本大震災):鈴芽の故郷であり、震災の記憶と直接結びついている。
愛媛(土砂崩れ):自然災害による被害を描写。
· 人がいなくなった場所
宮崎(寂れた温泉街):過疎化の象徴として描写。
神戸(遊園地):人がいなくなって廃れた場所。
· これから起こると予想される場所
東京(お茶の水):首都直下地震。
これらの舞台設定は、過去の災害だけでなく、未来への警鐘も含んでいることがわかる。
◎その他
・鈴芽の行動とダイジンの導き
作中で鈴芽は「あなたが導いていたの?」とダイジンに問いかけている。実際、ダイジンの目的は鈴芽を過去の自分と再会させ、過去の自分を救うことにある。希望のある未来を伝えるため、宮崎から仙台までの旅を通じて鈴芽を成長させる役割を果たしている。
ダイジンの役割
ミミズの発生を知らせる(神戸でのシーンなど)
鈴芽の行動を促す
鈴芽自身の心の傷と向き合わせる
・象徴的表現:2頭の蝶と両親の存在
物語中に登場する2頭の蝶は、亡くなった両親が鈴芽を見守っている象徴と解釈できる。特に母親の死が物語の中心的なテーマであるため、この蝶の存在は鈴芽の心の中で癒されていない喪失感を反映していると考えられる。
・物語における「敵」にあたるものは自然であり、人間の手で封じる
ミミズの正体は自然災害を象徴し、作中で繰り返し現れる「扉を閉める」行為は、自然の力と対峙する人間の姿を表している。しかし、5回繰り返される扉の封印シーンは視覚的なバリエーションに乏しく、演出面での単調さを感じさせる部分もある。
猫(ダイジン)の望み:「人の手で元に戻してほしい」というセリフから、人間の責任と役割が強調されている。大臣は自分勝手な存在ではないことがわかる。なにかを伝えようとしていることは確か。
・草太の要石化と「愛の力」
草太は物語のクライマックスで要石に姿を変えられてしまう。鈴芽が草太を救出する際、愛の力で元に戻すというファンタジー的な展開が描かれる。ただし、出会ってから5日しかたっておらず命を捨てるほどの愛にしては唐突に感じられる。(1日目仙台~愛媛 船 2日目愛媛。千賀の旅館に泊まる。3日目愛媛~神戸 スナックに泊まる。4日目神戸(新幹線に乗る)~東京(草太のアパート→お茶の水の地下で夜を過ごす。) 5日目東京(病院→アパート→お茶の水でセリザワと環と合流)~仙台 故郷を訪れる)
◎登場人物の特徴
・鈴芽
高校生で、これまで恋愛経験はない。
震災で母親を亡くしており、幼少期に偶然「扉」を見つけ、特別な力(ミミズが見える力)を得た。
看護師を目指している。
友人は存在するが、心の奥に孤独感を抱えている。
・環(鈴芽のおば)
鈴芽の母親の妹で、40歳くらいの独身女性。
美人で仕事にも役職がついているが、鈴芽を引き取ったことで婚活が難航していたと語る。
放任主義に見えるものの、鈴芽を心配して長文のメールを送るなど、愛情深さも持ち合わせている。
左大臣に操られ、鈴芽に心のうちの苦しみをぶつけるシーンが印象的。
・草太
役割:代々続く「閉じ師」
草太は、代々「後ろ戸」を閉じる使命を受け継いできた「閉じ師」の家系に生まれた青年です。責任感の強い性格で、災害を未然に防ぐため全国を巡り、「ミミズ」の封印に従事している。
背景と家族関係
代々続く閉じ師の家系であり、使命に誇りを持っている。
両親は不在で、祖父によって育てられた。
孤独でありながらも使命感に生きる姿勢が見られる。
職業と将来の夢
大学生で、教師を目指している。
教育者としての夢と閉じ師の使命の間で葛藤を抱えている描写が見られる。
性格と特徴
真面目で責任感が強い
一方で、意外にうぶな一面もあり、鈴芽が椅子に座った際に照れる表情を見せるなど、年相応の若者らしい純粋さもある。
・芹沢
役割:草太の友人で物語のサポート役
芹沢は草太の数少ない友人として登場し、物語の中で鈴芽の旅に同行し、サポートする重要な役割を担いる。
背景と性格
草太の数少ない友人であり、彼を気にかけている存在。
表向きはクールで軽薄そうに見えるが、実は友達思いの心優しい人物。
草太との関係性を象徴するエピソードとして、「2万円貸していた」と言いながら、実際には自分が借りていたことが後に判明する。
外見と特徴
ホスト風の派手な見た目で、オープンカーを乗り回しているが、実はオンボロの車というギャップを持っている。
タバコを吸う。
草太と芹沢の対比
草太:使命感に生きる真面目で少し内気な青年。
芹沢:自由奔放で軽薄そうに見えるが、実は仲間思いでしっかり者。
草太は物語の核となる「閉じ師」としての使命を背負っている一方で、芹沢はその重責を支えるサポート役として描かれている。二人の対照的なキャラクター性が、物語の深みを増す要因となっている。
◎映像について
新海誠監督らしい美しい映像美と、アニメーションならではの表現技法が存分に発揮されている。本レポートでは、映像美やアニメーション特有の演出、印象的なシーンについてまとめます。
1. 映像美と圧倒的な演出
新海誠作品の特徴である一つ一つのカットが美術作品のように美しい描写は本作でも顕著である。光の表現、水面の反射、雲の動きなど、自然の美しさを緻密に描き出している。特に、本作では日本各地の風景がリアルかつ幻想的に描かれ、物語の持つ「旅」の要素と強く結びついている。
2. アニメーションならではの表現技法
アニメーションの特性を生かし、実写では難しい表現が大胆に取り入れられている。
① モンタージュ・シークエンス
本作では、移動や時間の経過を表現するためにモンタージュ・シークエンス(多数のカットを連続して繋ぐ手法)が効果的に用いられているが、カットの数が実写映画に比べてはるかに多い。
例:九州から愛媛への移動シーン
携帯の地図。/SNSの猫、列車の椅子に座っている/港を歩く/女性/駅のベンチ/猫飛び乗る/子供だったり少女だったり/男性/猫を見つけてたくさんの写真を撮っている。/切符を買う/改札に入る/ホームで待つ/ドアが閉まる/座席に座っている/SNS椅子と少女/人前じゃ歩くのも歩く危ない/電車駅降りる/畑道を歩く。トラクターとすれ違う。
このように多数のカットを短時間で繋げることで、移動の長さや鈴芽の心情を表現している。実写で同じことをする場合、クルーの移動や撮影コストがかかるが、アニメーションでは画を描く手間だけで多様な場所の表現が可能である。そのため、大胆にカットが多用されている。
② 温泉街の廃墟描写
作中の温泉街の廃墟は、赤字によって廃墟化した町を描写している。現実には震災以外でここまで町全体が廃墟になるケースは少なく、現実感と幻想性の境界が曖昧に描かれている。大規模な崩壊や朽ち果てた建物の表現は、アニメならではの自由なビジュアル創作によって生み出されている。
3. 印象的な映像表現
① ダイジンの不気味さの演出
猫(ダイジン)の初登場時:痩せ細っていて「ちょっと待ってて」と鈴芽が煮干しをあげる可愛らしい存在として描かれる。
しかし、草太を要石に変えた瞬間、「お前はジャマ」と言って草太の姿を消し、椅子が倒れるというシーンで、可愛らしい存在から不気味な存在へと一転する。
このギャップの表現は、視覚と音響の変化を巧みに使い、観客の感情を揺さぶる効果を生んでいる。
② 映像の省略表現:「廃墟の石像!君が抜いたのか」
鈴芽が草太に要石を抜いてしまったことを告白するシーンは、直接描写せず、草太のセリフ「廃墟の石像!君が抜いたのか?」だけで省略されている。この演出は、説明的になりすぎず、観客に状況を想像させる効果を生んでいる。
③ フェリーのシーンでのカモメのフォーカスアウト
フェリーの移動シーンでは、一瞬カモメをフォーカスアウトさせる演出がある。この一瞬のボケ効果は、主人公の内面のぼんやりとした感情や、移動中の時間の流れを静かに表現している。
④ モノクロと色の対比:椅子の黄色
椅子(草太)の描写では、モノクロのシーンで唯一椅子の黄色だけがカラーで描かれる演出が登場する。この視覚的コントラストは、椅子が鈴芽にとって特別な存在であることを強調している。また、黄色は母親の面影や温かさの象徴としても捉えらることができる。
4. 映像表現のまとめ
『鈴芽の戸締まり』は、圧倒的な映像美とアニメーションならではの表現技法が見事に組み合わさった作品である。
モンタージュ・シークエンスの活用により移動や時間経過を効果的に描写
温泉街の廃墟描写など、アニメだからこそ可能な大規模かつ幻想的な空間表現
ダイジンの豹変や椅子の色の対比など、視覚的コントラストによる感情表現
フェリーのカモメのフォーカスアウトなど、繊細な演出技法
これらの要素が組み合わさり、物語のテーマである「喪失と再生」のメッセージを強く伝える効果を生んでいる。新海誠監督の映像美と演出力が存分に発揮された本作は、観る者の感情を深く揺さぶる作品となっている。
◎編集とテンポ
本作の編集は非常にテンポがよく、全体を通して退屈さを感じさせない構成となっている。特にロードムービー的な展開の流れと、各地の描写の美しさが印象的である。
◎漫画映画としての楽しさ
1. かわいい猫と椅子のユーモラスな追いかけっこ
2. 旅と美味しい料理
主人公・すずめは、日本各地を旅する中で、地域の特色を感じさせる料理に出会う。愛媛では新鮮な魚料理、神戸では風味豊かな焼うどんが登場し、それぞれが地域性を鮮明に描き出す。
3. 人との出会いと心の交流
・千賀(愛媛):同級生で意気投合する
・るみ(神戸): 活気あふれる人物で、物語にさらなるエネルギーをもたらす。
・芹沢(東京): 主人公の支えとなる重要な存在で、物語のクライマックスに向けて影響を与える。
4. 迫力ある活劇シーン
映画には視覚的に圧倒される活劇シーンが多く登場する。
遊園地での活劇
暗闇の中、ライトが点灯する場面が印象的。スリリングで視覚的に美しいシーンが展開され、緊張感と高揚感が観客を包み込む。お茶の水でのアクション
車道での追いかけっこが描かれ、スズメが飛び交い、主人公のソウタが救出劇を繰り広げる。躍動感あるカメラワーク。ミミズとの対峙
映画のクライマックスとも言えるスペクタクルなシーン。巨大なミミズとの対峙は圧倒的な迫力で描かれ、自然と人間の調和というテーマが観客に深い印象を与える。
◎『すずめの戸締まり』における宮崎駿監督作品へのオマージュ
『すずめの戸締まり』には、宮崎駿監督の名作アニメへのオマージュが随所に散りばめられている。本作の映像表現やキャラクターの設定には、スタジオジブリ作品の影響を感じさせる要素が多く、これらは観客にノスタルジーと親しみを与える効果を生んでいる。
1. ダイジンと『魔女の宅急便』のジジ・クロネコヤマトのトラック
ダイジン(猫)は、宮崎駿監督の『魔女の宅急便』に登場する黒猫のジジを彷彿とさせる存在である。
猫の小柄で愛らしい姿
人語を話す能力
不思議で愛嬌のあるキャラクターから不気味さへの変化
さらに、物語中にはクロネコヤマトのトラックが登場しており、これも『魔女の宅急便』のオマージュと考えられる。ジジの黒猫イメージと「宅配トラック」という組み合わせは、視覚的に観客へ連想させるものとなっている。
2. 温泉街の廃墟と『千と千尋の神隠し』
宮崎駿監督の代表作『千と千尋の神隠し』の油屋を彷彿とさせるのが、物語序盤に登場する温泉街の廃墟である。
寂れた温泉街の描写
現実と非現実の境界線を曖昧にする演出
神秘的で幻想的な雰囲気
温泉街の大規模な廃墟描写は、ジブリ作品特有の「異世界への入り口」を思わせるものであり、視覚的なインスピレーションを受けていると考えられる。
3. お茶の水の地下と『天空の城ラピュタ』
東京編で登場するお茶の水の地下のシーンは、宮崎駿監督の『天空の城ラピュタ』に登場する地下空間の演出を彷彿とさせる。
古代的で神秘的な雰囲気の空間描写
地下で封印された強大な力
崩壊や危機を象徴するシーン構成
これらの演出は『ラピュタ』の地下神殿や飛行石の暴走シーンと重なる部分があり、古代の力を封印するテーマが共通している。
4. BGM『ルージュの伝言』と『魔女の宅急便』
物語中で使用されるBGMとして松任谷由実の『ルージュの伝言』が流れる場面がある。
この楽曲は、『魔女の宅急便』のオープニングテーマとしても使用されており、作品全体の雰囲気と青春的な旅のイメージを共有している。
旅の始まりを彩る明るいメロディ
ノスタルジックで温かみのあるサウンド
5. まとめ:宮崎駿作品の影響と効果
『すずめの戸締まり』に散りばめられた宮崎駿作品へのオマージュは、単なる模倣ではなく、物語のテーマや雰囲気の強化に寄与している。
オマージュの効果:
観客のノスタルジー喚起:ジブリ作品の象徴的なモチーフを取り入れることで、幅広い世代に共感を呼び起こす。
映像美の深みの強調:ジブリ的な幻想的空間表現が、物語のファンタジー性をより引き立てる。
テーマの共鳴:「喪失と再生」「自然の畏怖」「過去との対話」といった宮崎作品の普遍的テーマと呼応している。
新海誠監督は、ジブリ的なエッセンスを自らの作風に融合させることで、現代的な視覚美と感情描写を両立させた作品を完成させている。
◎総論
結論:震災と喪失の先にある再生と希望
『鈴芽の戸締まり』は、震災の悲劇をファンタジーの枠組みの中で描きつつ、人々が心の傷を乗り越え、未来へ進む姿を描いた作品である。
鈴芽の成長と過去の自分の癒し
自然災害への畏怖と、人間の責任
家族愛と恋愛の両側面
これらを複雑に絡めた作品であり、震災の記憶と共に未来への希望を訴えかけている。
〇箱書き
●空。女の子が走る鈴芽ノ小さい頃の回想。
草むら吐息、すごく広い場所。月が輝いている。廃墟になった家たち。
廃墟の中に入ってくるお母さんと呼ぶ。お母さんを探している少女。家の上に船が乗っかっている。311だと想像できる。
丘の上しゃがみこむ少女。
足音が近づいてくる女性の足。手前の花にピントがある。人物には会っていない。
人物パンアップ。
→ラストで高校生の鈴芽だとわかる
●目覚める。「お母さん。」
枕元に蝶が二頭飛んでいる。現実か?それとも形而上のなにかか?
お母さん。女性は環だよね?→違った。鈴芽だった
朝食。弁当の準備をしている。今夜は遅くなる。環さんと呼ぶ。→母親ではないだろう(母親を名前で呼ぶ家族もいる)
今日はデートと聞くと否定する。
【坂道で草太と出会う】
●環は車で。鈴芽は自転車で。海の海を見える坂道を自転車でかける。揺れるスカート。
下からのカット
下から。ひとりの青年が歩いてくる。
「きれい。」鈴芽は草太に一目ぼれする。
すれ違い 海をバック。
ねえ君と話しかけられる。「このあたりに廃墟はない。扉を探しているんだ。」
「人の住まなくなった集落だったら、あっちの山にあります。」
→引きの画だがゆっくりとパンアップしている。鈴芽の心が高揚していることを表現している。
坂道、手前に草太(背中を向けている)、奥に鈴芽、遠くに海が広がっている。
【日常からの脱出】
【最初の戸締り 宮崎】
●踏切。
鈴芽と彩から声をかけられる。ちょっと顔が赤い。
踏切があく。鈴芽は動かない
ちょっと。忘れ物をしたと言って方向を変える元に戻る。
●海の見える坂道を登る。
男の去った方向に行く。
●立ち入り禁止の区域の中を入ってゆく。木漏れ日。廃墟になった街。
かつては温泉街だったのかな?旅館が並んでいる。
→かつては観光地だったが大規模な廃墟。実際にはここまで大胆にさびれた観光地はないと思う。アニメのためにデフォルメして作ったか
セットを作らずに大規模な町を捜索できるのはアニメの強み
ポッカコーヒーの自動販売機や提灯。川に橋。
イケメンの人と呼ぶ。
●大きなホール 廃業した旅館。
あなたと会った気がする。
→子どものころ、椅子を渡したときに近くにいたのか?
これはナンパか。帰ろうと言うと、池のようなところに扉が立っていることに気がつく。
扉って言ってたよね?
靴のまま水溜りの中にバチャバチャと入る。
→靴を脱がない。その後家にあがる(足をふかない)し脱いでもよかったのでは。
扉の前に立つドアノブに手を置く。扉を開ける扉の向こうには草原が広がっている。夜星。扉。中に入るが、現実にすぐに戻る。
ズームが3段階。
ズームアップ、ストップ→ ズームアップ、ストップ→ ズームアップ、ストップ →パンアップ
なんで?
行ったり、来たりする。
足元に何かある。ねこの銅像。声が聞こえ。抜く。氷のようなものが溶ける。
猫が生き返って去ってゆく。
→要石を抜いてしまった。これがきっかけで全国でミミズが暴れまわる
●学校情景。パット。
●やっと来た重役出勤だね。おばさん弁当。
上の山の方に古い温泉街廃墟があるでしょう。あるみたいだね。それがどうした?
やっぱりいいやというとはっきり言いなさいと怒る。
窓から煙が上がっているのが見える。友達には見えない自分にだけ見える。
→鈴芽は特殊な力を持っている。子どものころ扉を開けたときに得た
緊急地震速報がなる。
震度四職員室、屋上 体育館。学校。
●山の上から煙が上がっている。
友達には見えない。ちょっとあんた、大丈夫?
見えないの?
→顔の上半分は影
●廊下を走ってゆく。
自転車の鍵を開ける。
坂道を上げ登る。
港に映った煙の影。
廃墟の中に入ってゆく。
さっき来た道を早足でかけてゆく。
→短いシーンをつないだモンタージュが多い
●池の真ん中ドアで大きな煙を立てている。
あの人が必死になって抑えている。
気づく何をしている?ここから離れろ。
爆発する。投げ出される。
大丈夫ですか?
色が変わる。これはまずい。
光の柱のようなものが次々と天に昇っていく。
キラキラと光る。煙が町中を追う。
●危ないと言って男は鈴芽を助ける。ここから離れろと言ってドアを抑える。
見ている鈴芽。
必死になって抑える男。
胸を押さえる鈴芽、走り出す一緒になってドアを抑える。
呪文を唱える畏き神よ。
子供の頃の声が聞こえる。
青い電波のようなものが飛び交っている。
鍵が光る。光る鍵穴に鍵を差し込む。大きな音とともに騒ぎおさまる
●タイトル。
●雨が降る。
要石が封じていたはずなのに。ミミズはどこに行った?君はなぜここに来た?
後ろ戸になっていた。
ここで見たことは忘れて家に帰る。怪我をしている。
●ヘリコプターが上から飛んでいる。
瓦が落ちた。大きな地震だった
●家に男を上げる。応急処置で儲けさせてください。
部屋の中に入る。散らかった部屋、地震の後。
本棚を整理する。
椅子が転がっている。子供の椅子三本足。黄色い椅子。目がある。
草太はそれに座る
●ニュース震度六の地震が発生しました。
傷口を手当てする。
慣れてるんだな。お母さんが看護師だったから。聞きたいことがたくさんあるんですけれど。
ミミズって言いましたよね?ミミズは、日本列島の地下にいる巨大な力。気まぐれに暴れる。要石で封印しなければどこからでも出てくる。
それを防ぐのが俺の仕事だ。
宗像草太。岩戸鈴芽。
猫がいる。痩せすぎ。ちょっと待ってて。煮干しを上げる。かわいいうちの子になる?「うん。」しゃべる。
鈴芽優しいすき。お前はジャマと言って草太の姿が消える椅子が倒れる。
→かわいい存在が急に不気味になる
草太さんどこと言うと椅子が動く。
なんだこれは?
お前がやったのか、猫が逃げる。
椅子は猫を追いかける。
鈴芽外に出ようとすると、環さんが戻ってくる。あなたが心配で戻ってきたのよ。電話に出てくれない?
大丈夫?と言って出てゆく。
●高校生カップルのいるところに。椅子が走ってくる。携帯で写真を撮る。
→猫が逃げ、椅子が追いかける。子どもも喜ぶアニメーション
●港町かもめ椅子等。猫の追いかけっこ。
市の職員、稔が声をかける。
フェリー乗り場。フェリーに猫が乗り込み、追いかけてゆく。鈴芽もフェリーに乗り込む。
フェリーは出航してしまう。
【旅の始まり】
●フェリーの中。自動販売機。
座席。
階段を上って展望台。
椅子と猫が対峙しているお前は俺の体に何をした?
猫高い塔に登る。
鈴芽またね。通りかかったモーターボートに乗って行ってしまう。
●だから今日はあやの家に泊まると言って電話をしている。環、ちょっと待って。
部屋の救急箱は何か使ったの?誰か家を家に上げたのか、変な男と付き合ってるんじゃないの?
●乗客「あんたも走る椅子を見たのか」鈴芽「いいえ」と言う。
●夜の船。
パンを持ってくる。でも腹は減ってない。
この船は明日の朝愛媛県着く。
月。
はい。気になっている。廃墟の石像、それが要石。それを君が抜いたのか?猫は要石だった君が要石を自由にしてしまったから。
・「私気になっていることがあって」
「廃墟の石像!君が抜いたのか」
鈴芽が告白する場面は省略している。
悪いのは扉を見つけられなかった俺だ。
→教員試験を欠席した時も草太は自分のせいにしている
俺はとじ師だ。扉を閉じながら日本中を回っている。それが仕事なんだ。
猫を要石に戻して元の姿に戻す。
●ノートに黒いクレヨンで塗りたくっている。
→後からわかるけれども、これは311の記憶。
●雪の降る中、歩いている扉を見つける。
お母さんを探して。
扉を開く。
【愛媛】
●目が覚める。船の上。
かもめが飛んでいる。風に吹かれる。朝日。ドキドキする。
・フェリーでカモメを一瞬フォーカス・アウト
四国に着く。
港船を降りる。鈴芽さんやっと目覚めた。椅子。
●自分が寝ていたことに気づかない。
愛媛の端っこか。
●SNSに猫の写真が投稿されている。
電車に乗っている。
名前はダイジンと言う。
たくさんの人がSNSで猫を投稿している。
猫が電車に。乗って移動している。
追わないと今までありがとう。ここでサヨナラだ。
●鈴芽も切符を買う。
電車に乗る。
たくさんのカット
短いカットをたくさん使うモンタージュカット。
携帯の地図。/SNSの猫、列車の椅子に座っている/港を歩く/女性/駅のベンチ/猫飛び乗る/子供だったり少女だったり/男性/猫を見つけてたくさんの写真を撮っている。
切符を買う/改札に入る/ホームで待つ/ドアが閉まる/座席に座っている/SNS椅子と少女/人前じゃ歩くのも歩く危ない/電車駅降りる/畑道を歩く。トラクターとすれ違う。
→実写だとクルーのたくさんの人をロケ地まで移動しなければいけないが、絵を描くことで処理できるのでたくさんの場所をぜいたくに使うことができる
【千賀との出会い】
●ビニールハウスと流れる雲。
道を歩く。
山道。湖沿い。近づくバイク。
かごみかん。通りすぎていく。タイヤがはじかれてかごが落ちる転がるみかん。
慌てて。網を持ってくるみかんを受け止める。
Q、小さなピンチ たくさんのみかんが坂道を転がってきた。どうやって止めるか
→A、近くの農地から網を取って道路に広げて受け止める
●みかんのアップ。
助かったわと手を握る。
うち千賀。鈴芽。
猫を探して九州。
何かを見ている。山の上にミミズが出ているのを見つける。
ごめん、急用ができたと言って走り出す鈴芽。
●煙が山の上に広がっている。
千賀が追いかけてくる。バイクに乗っける。急いでいるんだろう?何年か前に土砂崩れがあった。
地震が起きる。地震水が倒れ込む前に扉を進めれば防げる。
→扉のある場所
廃墟になった温泉街、土砂崩れの被害、311の被災地。
人が去ってしまった地方の街。地方が徐々に壊れていくということか
●立ち入り禁止のマークそこ入ってゆく。泥水。
これ以上は危険だと言って椅子が、走ってゆく。
中学校の校庭。
学校が後ろ戸になっている。
うわばき、水道。
風で鍵を飛ばしてしまった。
金色の糸が天に昇っていく。ミミズ倒れ始める。
倒れる前に食い止めなければいけない。鈴芽泥の中に転ぶ。
君は死ぬのが怖くないのか。怖くない?
ここに暮らして居た人のことを思って鍵をかけるんだ。ここにあったはずのたくさんの感情の声を聞け。
鈴芽の手で鍵をかける
学校の校庭たくさんの生徒が登校している。かつてあった風景。
暴れるミミズ。ひかる鍵穴、窓が割れる。
ドカンと爆発して雨が降る。
収束する時にドカンと。爆発して雨が降る。
君は地震を防いだんだ。
鈴芽すごい。ねこのダイジンがいる。
後ろ戸はまた開くよ。
あいつが扉を開けた。
【愛媛での戦い 解決】
●港町。
愛媛におると。環さん。
オフィス写真たてには。鈴芽と2人の写真。
稔が見つめている。
鈴芽ちゃんも反抗期かい?
なんと一人やっちゃろうね。
稔君、何を見てるんですか?
全くもう。
●浴衣姿の鈴芽。メールを打っている。心配しなくても大丈夫です。
千賀、夕食をもってきたありがとう。ここで食べてもいい。
一瞬待って、といって中に入る。
椅子、2人で食べて腹が減らないみたいな。
●旅館の情景。
千賀の実家は旅館
●いただきますと言ってご飯ですか?おいしい。
美味しすぎて。そんなにお腹空いたので。
今日はお客さんが増えた。
豪華な刺身料理。
長文のメールが届く。
おばさんは40歳ぐらいかなきれいな人なんだけど、うち2人暮らしで。おばさんが私の保護者。
私が大切な時期を奪ったんじゃないかな?
●洗い物をしている男の子と付き合ったことある?彼氏の話聞きたい聞きたくない。
お風呂掃除をする。うそでしょ?
●布団。
2人出る布団を並べて寝る。
土砂崩れで集落ごと埋もれてしまった。
千賀はあの中学校に通っていたが集落ごと捨てられた
あんた何もの? 鈴芽は魔法使い。
→不思議なところに惹かれたのか?
大事なもの私も。大事なことをしているような気がする。
月。
初めて出会った人と仲良くなる。出会い。
●朝
洗面台で髪を梳かしている鈴芽と歯磨きをしている千賀。
寝起きの悪い人っているよね。キスしたら起きるよ。
朝食をとっている。今日帰る?
テレビのニュース明石海峡大橋の猫。
【次の行先は兵庫ときまった】
●草太さん。寝ている。なかなか起きない。
キスをしようとする。っていうか口がない。鈴芽さん起きる。おはようどうしたの?
携帯を見せる。気まぐれなのは神の本質。
よかったら使って。着替えをくれる。
また会いに行きなと言ってハグをする。
→神戸でも別れ際にハグをする。
【愛媛終わり 兵庫へ】
●夕立雷。曇り空。ヒッチハイクしようとするが、なかなか捕まらない神戸方面。
次のバスは6時間後。
あげは蝶
この椅子は君のお母さんの形見なのか?なぜ三本足?一度この椅子をなくしたことがあった。見つけた時には欠けていた。
●車が停まるバックする。
あんたどこまで行くバスなんかこうへんで。
ルミが声をかける。シングルマザー、二児の母。
●助手席に乗る神戸は市内までで。
ちびは実家のおばあちゃんに合わせてきた帰り。
なんかある?お姉ちゃんの荷物を出す。椅子に興味。
子供たち、寝ている。
橋を渡る。
携帯で地図を見ている。
橋を渡る橋。
都会の風景。
ショッピングセンター。
●あの遊園地見えたんだ。廃墟になった遊園地。子供の頃、よく連れてってもらった。お客さんが減って閉園してしまった。
ピカピカ光る。
託児所が休みになった。
誰か探さなきゃいけないそこで鈴芽を見る。
●家の中。以上。料理ゲーム。ティッシュをたくさん抜いていく。お姉ちゃん、富士山になって。乗っかる。
私子供って無理かも?
椅子が出てくる椅子が歩き出す。助け船。
子供たち、喜ぶ。私も。君はだめ?
しりとりしよう。今日の株価は?と聞いてくる。
●商店街。
車を運転して稔。助手席の環。
あの子は何か不満なのかはぐらかすわかり。
携帯の口座から。どこで金を使ったのか?神戸に居ることがわかる。
明日ちょっと仕事休む。あんたは出勤せい。
●スナック。
別人になったルミさん。スナック。
こっち手伝って。
カラオケ。この子がヘルプ。客席にはでんでいいから。
洗い物小売ちょうだいワイングラス。
いやいらっしゃいドアが開くおしぼり。デュエットするママ。
おしぼりをたたむ。
あら嬉しいごちそうになります。
猫がいるダイジン。
初めての人だね。物静かなしだけど、常連さんとも仲良くなった。猫っぽくないですか?ほかの人には人間に向ける。
出てゆく猫。
→ダイジンが出ていくとミミズが発生しているのを見つける。ダイジンがミミズの発生を教えている。
●鈴芽猫を追いかける。草太を呼ぶ。
あなた何のつもり鈴芽。元気?
ほら、見て。ミミズが上がっている。
行かなければ鈴芽さん。
商店街。地震。
鈴芽ちゃんは?あの遊園地だ。
●遊園地に向かって走る鈴。
観覧車が後ろ戸になっている。
上にダイジンがいる。
やってみる、私が。鈴芽が鍵をかける。
扉を頼む要領がわかってきたってことだ。扉を閉めて鍵をかける。
ジェットコースターのレールを走って猫を追いかける。
鈴芽はドアを抑える。
猫のところに椅子が追いかけてくる。
今日こそ元の姿に戻してもらう。
空中から猫にアタックして落ちる電気がつく。
●町中の人たちが遊園地の明かりが付いたことに気づく。
動き出す観覧車。
鈴芽は落ちそうになるが、観覧車によじ登る。
窓の外に夜空が見える星空が見える。
昔の情景が見える。お母さんと言う。椅子を差し出してくれる。
要石にも。って扉を抑えろ。
お前が消えろ。ダイジンは鈴芽と遊ぶ。
何を見ているんだ?鈴芽さん戻れそこには行っちゃだめだ。
●母親と子供の幻想。
現実に戻る。
そこは観覧車の中だ。落ちるぞ。
●観覧車の中、たくさんの人々の思い出。
遊園地たくさんの人が遊んでいる。
→廃墟になった場所。過去にはたくさんの人たちがその場所で過ごしていた。
ミミズが。街に広がっている。お返ししますと言って扉を閉める。
爆発と雨。
ダイジンにはまた逃げられた。
動き出す観覧車。中に入ろう。怖かった。
君はすごかったよ、ありがとう。
「常世(とこよ)」この世界の裏側。そこは死者の赴く場所。君はそれが見えるんだ。
●スナックに戻ってくる。
一時半。
なんか食べようかと焼うどんを作る。
草太さんも一緒に。椅子の上に座る。
なんで座った神戸の思い出?
写真を撮る。
帰る店員。眠っている母親。
店で寝る。草太は大学生で教師になるつもりなんだ。
それだけじゃ食っていけないよ。大事な仕事は人から見えない方がいい。
とじ師も教師も両方やる。
●もしかしたらもうすでに。
イメージ映像。深い水の底に沈んでいく草太。
赤い光。
寒い寒い。と言いながら、そこに沈んでいく。
●扉がある骨が転がっている。海。
立ち上がろうとするが、足元が凍りついている。ここが俺の行き着く先か?
草太さん?キスをする。起きた。
ダイジンの写真が投稿されている。今俺に何かした別に?
●車。今夜も手伝ってもらおうと思って当てにしていた。
帽子をくれる。
ありがとうございました。反省。ハグをする。
メールが55軒。環さんのことを忘れていた。
ダイジンは東京に居る新幹線でゆく。
【神戸終わり】
【東京へ】
清洲城。
私たち富士山見逃した。
まもなく終点東京です。東京駅に着きました。
左の電車乗り。たくさんの電車に戸惑う。
→普通の東京の風景なのに、地方出身者が圧倒される様が伝わって来る。
お茶の水。
●坂道を登る。
コンビニに入る。電話をした。草太さんのご親戚?鍵を渡す。
コンビニ経営者が管理人か?鍵を渡す。
外国人アルバイト。
いないと寂しい。イケメンがっかりする。
●草太の部屋。
鍵を開ける中に入る。
調べたいことがある。本棚の上に段ボールがあるだろう。取ってくれる?
椅子の上に乗る。ふんでも良いの? 乗る前に言って。
ミミズのことを書いた文書。江戸時代の古地図。
要石ふたつある。
後ろ戸。時代によって場所は変わる。今はダイジンの姿になっている。
もう一つの戸は東京にある。具体的にはどこにあるのかわからない。百年前に一度開き、関東大震災。とじ師によって閉められた。ダイジンはその扉を開けようとしているのかもしれない。
それらしい。場所は黒塗りになっている。おじいちゃんに聞くしかないか?
こんな姿で失望させたくなかった。
友達が芹沢。こんにちは。いいなと同然の間からのいとこです。芹沢さんですよね?
教員採用試験の二次試験が昨日だったけれども来なかった。四年間の努力がパーになった。草太に連絡ついたらむかつくから顔見せるなんて言っといて。そういえば2万円貸していた。
緊急地震速報。
ミミズが出てる
●街を歩く、走る。試験は君のせいじゃない。東京の街。
走っていると猫も横に居る遊ぼう。
猫と椅子が追いかけ合う。
車道を走る。ぶつかりそうになる。
要石に戻れ、日本が持たない。お前、まだわかってないな。
車道で鈴芽も飛び出す。
●御茶ノ水の地上部分のところが戸の場所だった。
トンネルからミミズがあらわれる。
蝶
→この意味は?
止まった。地震。
抜けたんだ2つ目の要石が抜けたんだ。
行ってくる?御茶ノ水の橋の上から飛び降りる。
→とべるわけでもないのになんて無謀な
靴が落ちる。
カラスがたくさん飛ぶ。
なんて無茶を。
水の表面は不安定で離れない方がいい。
鈴芽も草太の後を追いかけて、御茶ノ水の橋の上から飛び降りる。草太が鈴芽を掴んで助ける。
平穏に戻った東京の街人々が歩いている。
お台場の海。東京の街。短いカットでつなぐ。
カラスにはミミズが見えている。
街にはミミズが広がっている。
地震が起きるよ。とダイジン。
倒れる草太
今からたくさん人が死ぬ。
ダイジンはもう要石じゃない。要石はお前だとささやく。
そうだすまないようやくわかった。今まで気づかなかった。気づきたくなかった草太の体が凍る冷たくなってくる。今は俺が要石なんだ。
俺は君に会えたから。
これをささなと地震が起きるよ。
草太を犠牲にしてみんなを助けるか?
妄想だじゃないよ。もう。これは蒼太じゃないよ。
人がいっぱい死ぬね。繰り返すね。
黄色い糸がたくさん出ている東京の街をたくさんの人が歩いている。
モンタージュ。
もう嫌だよ、こんなの嫌だよ。
●ビール駅。交差点。エレベーター地下鉄のマンションの風景。駅のホーム。コンビニ。牛どんや。電車の車内。踏切高校生、母親と娘。
●もうこんなの嫌だよ。涙を流す鈴芽。
椅子を掴んでさす地面に刺す。オーロラが町中を覆う。
きれいな虹。
空を落ちてゆく鈴芽。猫がつかまえて抱きしめる。体が大きく開き水に飛び込む。
フェードアウト。
・草太が要石になった。
・鈴芽は硬くなった草太を刺す。好きな人を犠牲にしてたくさんの人を助ける。
・空から落ちていく鈴芽。ダイジンが抱きしめて体を広げ鈴芽を守る。
●回想シーン金槌で気を叩いている母親。
子供の頃の鈴芽。お母さん、まだまだまだ。
ノコギリで切る。椅子を作っている。
〈印象的な映像表現〉モノクロだが、椅子の黄色だけがカラー。
まだまだと。椅子が完成したお誕生日おめでとう。完成したらカラーになる
椅子はお母さんが作ってくれた誕生日プレゼントだった。顔も書いてくれた。
鈴芽専用だ。お母さんありがとう。石を大事にする。
5月24日に日記を書いた。いつまでだったっけ?ちゃんと大事にしていたのは。
→椅子は母親が鈴芽のために作ってくれたものだった。
●目覚める鈴芽。地下。水がたまっている。ここはどこ?
→「天空の城ラビュタ」
携帯の充電が切れる。
木の門がある。(東大の赤門みたいなやつ)
門から丘が見える。椅子が刺さっている。草太だ。
門をくぐろうとするが、くぐることができない。片方の靴を脱ぎ捨てる。門の中に入ることはできない。草太さん、草太さんと呼ぶ。
「鈴芽やっと2人きりになれた」ダイジンがやってくる。
「もう草太は人じゃないよ」「草太さんを戻してよ。」
「ダイジンのこと好きじゃないの?」「あんたなんて大嫌い。」水の中に落とすどっか行って。二度と話しかけない。
「鈴芽、ダイジンの事好きじゃなかった。」ダイジンは悲しそうな顔をする。
門を閉める。
階段は昇る。
●首都高速のトンネル、鈴芽が裸足で歩いている。階段を上る。
御茶ノ水に出る。
コンビニで高校生「あの子、靴を履いてないやばい。」
コンビニで充電。電車の中で服ボロボロ。御茶ノ水の交差点。病院。
モンタージュ。
ドアを開く首都高速の地下部分。/トンネルに出る。/首都高のトンネル歩く/裸足の鈴芽/走る鈴芽。/階段を上る鈴芽。/街に出る/池を眺める。/はだしコンビニ。充電する。/改札。/電車の中、ボロボロの服/御茶ノ水/
●病院。宗像さん。落ち着きました
●病室。おじいさんが出ている。
草太はしくじったのかな。
あんた巻き込まれたのか。私の孫はどうなった?要石にあった。
この窓からミミズが見えた。私もかけつけたかったが、この体どうしてもいうことを聞かない。
常夜に入る方法を知りたい。草太を助けたい。無駄の手出しだよ。孫は何十年も要石となっていく。私にはもう届かない。孫の思いを無理しないでくれ。あなたが刺したのか?それでいい?ささなければ百万人が死んでいた。
旅と関われる人じゃない全てを忘なさい
どうにかして中に。入ります
後ろ戸をあけてはいけない。
あなたは怖くないのか?ありません。生きるか死ぬかはただの運。草太さんのいない世界がこわい
→出会って数日しか経ってないのに命をかけられるのか?
●回想シーン。小さい頃、お母さんの姿を見た(と思っているが実際は鈴芽。ラストで明かされる)
迷い込んだのだろう
小さい頃にところに迷い込んだ、扉を開けたのを思いつく。
その時の後ろを探すことだ。
猫が窓の外。お久うございます。とうとう抜けてしまわれましたか?あの子について行かれていますか。よろしくお頼み申す。
●草太のアパートに入る。
シャワーを浴びる血を流す。着替える。制服に着替える。リボンを結ぶ。
靴を借りる。
【セリザワ、環と合流し東京を出発】
●御茶ノ水駅前。オープンカーが止まっている。セリザワ。声をかける。
どこへ行くんだ草太のところか?
扉を探しに行く。
俺が連れてってやる。友達の心配して悪いのかよ。
争っているところに環さんが登場する。
→たまたま現れた。携帯の支払い上香車から場所を類推したのだろう。
あんたこの子に近づかないで。騙されてるのよ。帰れない、乗り込む。
環も車に乗る。鈴芽おいで。
三角関係だと思われる。
「うるさい」見ると後ろの席にネコが座っている。「猫がしゃべった」「喋るわけないじゃん。」ナビで目的地設定しました。ここまで行ってください。遠い(おそらく)仙台まで行く。
今日中には帰れねぇな。
あんた一体どういうつもりダイジンに話しかける。
ルージュの伝言がかかる。ジブリのオマージュか?
●高速道路。首都高速。
千住の隅田川かな?
片道で7時間。草太を探しているの娘さんだけじゃない。鈴芽は私のめい。姉が死んで私が引き取った。あの時まだ四歳だった。
●雪の中で鈴芽が寝ている。環探しに来る。迎えにくるのが遅くなってごめんね。
うちの子になろうとだめ抱きしめる。
●あれから12年。タバコを吸う。まあ君の車だからね。
今のうちに東京に戻って。あいつから2万円回収しないと。
田園風景の中の高速道路。東北に続く高速道路
【福島】
●下道。道路工事中、通行止め。廃墟。BGMは懐メロ。スイートメモリーズ。
蔦の絡まっている家。空き家。原発事故にあった福島か?
今揺れませんでしたか?今おばさんが寝てる。揃って寝不足だね。
地震震度三。
高台に登る。石が動いている地面。
胸から鍵を出す。ダイジンがだまっている。一体どうしたいの、なんで喋らないの?
ミミズが見えない。草太さんが押さえているんだ。「要石ってとじ師じゃなくても誰でもなれるの。」→鈴芽は自分が犠牲になろうとしている
おい、鈴芽ちゃん大丈夫?
急がないと。
タバコを吸う芹沢。
高台からの眺め。
この辺でこんなに綺麗な場所だったんだ。ここはきれい。鈴芽「きれい?」
→被災地の景色をきれいとよんだ芹沢に違和感を抱いている。
黒塗りの日記の記憶。
すみません、早く行かなきゃ。
猫に声をかける追い猫。なんか闇の深い方家族だな。遠くでは稲妻。
●さらに車は走る。井上陽水夢の中へ。
雲行きが怪しくなってきた。
雨が降ってきた。オープンカー。屋根を閉めようとするが、途中までしか閉まらない。中古で故障している。
→田んぼに転落した時、屋根が閉まりドアが外れる
道の駅まで遠い。
【道の駅】
●道の駅でラーメンを食べる芹沢。一人。
環食事をとっている。
稔に電話をしている。「ホスト風の男」と告げる。稔もなおいけない。その駅の道に東京駅行きの高速バスが止まっています。こっちから予約してできます。
●鈴芽は車の中に居る。
揺れている地震。草太さんの名前を呼ぶ。何回も。
食事をしない。
ちゃんと話してほしい。なんでそんなに実家に行きたいの?
うまく話せない。こんだけ人に人様に迷惑をかけているのに。環さんには話わからないこと。バスがあるから帰るよと言って手を引く。
ついてきてなんて頼んでない?私がどれだけ心配してきたか。
「それが私には重いの」その言葉が環に突き刺ささる。
私しんどいわ。
鈴芽を引き取らんといかんようになって、あんたに尽くしてきたが、馬鹿みたいだった。どうして。気を遣ってるのか。
「あんたがいたから人も呼べなかった。コブ付きじゃと言われて婚活もうまくいかなかった。お姉ちゃんのお金があって全然あわない。吐き出す。」
言葉を吐き出す。
いたくて一緒にいたんじゃない?雪の中で抱きしめてくれた。環さんが言ったんだようちの子になれって。
そんなの覚えてないよ
うちから出て行って私の人生返して
猫が吠える。あなた誰?涙を流す。
左ダイジン。黒い猫がいる。→黒い猫が環に言わせている。
環さんが倒れる?
黒い猫も乗り込む。
私ちょっとと言って走り出す。
●私、ちょっとおかしい。なんであんなこと言ってしまったんだろう。泣き出す
芹沢ソフトクリームを落とす。
携帯で80年代のアイドル。の曲。
斉藤由貴卒業国生さゆりのバレンタインキッス違うな。河合奈保子のけんかをやめて。
晴れると。田舎道を走る。
怒った顔でパンを食べている。まさか一匹増えるとは。
虹がでていた。
白と黒鈴芽ちゃんにしてほしいことがある?
人の手で元に戻して。
「猫が喋った」と言って驚く二人。反対車線に出てしまい、トラックとぶつかりそうになって転落。治った屋根が治った。でも、ドアが壊れた。
マジか?
やっぱりあの猫喋ったね。
ここから走ってゆく。環が落ちた自転車に乗る。君意外にいい先生になれるかもしれないスカーフ落とす。
なんだったんだ。2人。笑う。いいな相当のやつ。
2人自転車の2人乗りかごにネコ。
●要するにあんた好きな人のところに行きたいんだろう。
この猫達って神様なんだって環笑う。
駐車場で。言ったことは今の中で思ったことあるしそれだけじゃないから。
私もごめんね、環さん。
12年ぶりの里帰りだね背中に寄り添う。
【故郷に着く】
●ただいまお母さん、子供の頃の鈴芽がとおりすぎる。
廃墟になっている家。
鈴芽は大きくなったよお姉ちゃん、何をするつもりなんだろうね?
あった。土を掘ると「鈴芽のだいじ」と書いてある。
日記帳。扉に迷い込んだことがあったはず。
3月11日からは黒塗りになっている。
大津波警報が発令されました。
黒塗りのページがずっと続く。
お母さんどこ?
●扉の絵が現れる。あれは夢じゃなかった。電波塔の所で月が掛かっていた。
走り出す。被災地の荒地を走り回る。
ダイジンが鈴芽と呼ぶ。
木の扉。ツタが絡まっている。
あなたはいつも後ろ戸がどの場所にあるのかずっと案内してくれていたの?
大臣が扉の場所を教えてくれる。
扉を開ける。光。
ありがとうダイジン。行こう鈴芽。ドアの中には星空。
私行ってくる好きな人のところへ。
ドアの前で呆然とする環。
●空から下に降りてくる。地面が燃えている。
大きなミミズがあらわれる。
後ろ戸から出て行くつもり。左ダイジンが上から降って来る。大きくなる。
ミミズにしがみつく。鈴芽は大きくなった左大臣にしがみつく。
光が見えるあれは草太だ。
地面に落ちる。ダイジン小さくなる。。
ここはどこなの?
震災にあった街。破壊された街。家は崩れ。車はつれ重なっている。
船がビルの上に乗っかっている。
ミミズが暴れている。走る進む。光に向かって走る。
山の頂上に登る。草太を抜こうとする。抜いちゃうと外に出ちゃうよ。そうしたら私が要石になるよ。ダイジンが抜く。
声を聞かせて草太さん。
「ねえきみ。」
●(回想)出会った時
草太の?目から見た鈴芽。出会い。君は怖くないのか?君は怖くないのか。
アパート、御茶ノ水、飛び跳ねるところ、今までの草太の視点から見た。鈴芽。鈴芽の記憶を見ている。
俺は君に逢えたのに。消えたくない、もっと行きたい。今までの鈴芽の映像が次々と出てくる。
私だってそうだよ。もっと行きたい。声を聞きたい。死ぬのは怖いよ光。
●海沿い。氷に包まれた草太。
●目覚める。椅子にキスをする。鈴芽が草太に手を伸ばして引き上げる。抜ける椅子。
光おさまった。
●鈴芽が目が覚める。隣で草太が眠っている。目覚める草太。
ダイジンが倒れている。
ダイジンは鈴芽の子にはなれなかった鈴。俺の手で元に戻して。
固まるダイジン。要石になる。
●ミミズが暴れ出した。左ダイジン。ミミズが出てしまう。
新たなるピンチ。
左ダイジンが挑みかかる。
上から石が落ちてくる。逃げる。
がれきの上に登り祈りをささげる。
●街が元の姿に戻る。
かつて暮していた人々の声。「行ってらっしゃい」「行ってきます。」続々と出て行く人々たち、いろんな家庭。たくさんの人が亡くなったけれども、それぞれ一つ一つの家庭があるということ。
どうかお頼み申しますと願う。左ダイジンが。走ってくる手をつなぐ鈴芽と草太。
空を飛ぶ。要石を抱えている。2人とも要石を一つずつ持っている。お返ししますと穴をふさぐ。二つの要石を同時にふさいだ。爆発雨。
物事が収束した。
砂の坂道を滑っていく。
●穏やかな昼間
廃墟になった家。草むらで。草太が鈴芽を起こす。自分のジャケットを鈴芽にかける。
椅子が落ちている。三本足
人がいる。子供。
「あの子……私行かなきゃ?」
冒頭の人は鈴芽だった。
二頭の蝶
泣いている子供。
鈴芽と声をかける。
お母さん。首を振る。娘のお母さんは知りませんか?鈴芽のお母さんも鈴芽のことを探しているんです。
抱きしめる。私、本当は分かっていたんだ。ここ母さんいるんだ。鈴芽を探してるんだってば。
どうすればいいのと泣く。
椅子を渡す。今はどんなに悲しくても、鈴芽はちゃんと大きくなる。だから心配しないで。未来なんて怖くない。あなたはこれからも。誰かが大好きになる。あなたのことを大好きになってくれる人ともたくさんである。
あなたは光の中で大人になって行く。
お姉ちゃん誰。
私は鈴芽の。なんとか。→聞こえなかった?
「鈴芽の明日」と言っているのか?
●扉を閉める。大事なものはもうずっと前にもらっていたんだ。扉の鍵を閉める行ってきます。
エンドクレジット。
●エンドクレジット芹沢君と環さん。
2人がやってく。
ガムテープで止めた。車。
お金を借りたのは実は俺。
一緒に帰ればいいのに。
戸締りしながら東京に戻る。
電車。
ハグする。君に逢いに行くよ、必ず。
帰り道お礼をする。
3人で笑いながら。はい。新幹線に乗る神戸でスナックでカラオケ。海沿いの道電車、愛媛の千賀と会う。
環頭を下げるフェリーに乗る。
看護師になるには?
鍵を閉めて自転車。どうやって坂道を下る?
とまる。おかえり。草太が立って。いる
終