金城学院高等学校meetsタンザニアさくら女子中学校 by 地頭綾香〔金城学院高等学校(愛知)〕#せかい部×SDGs探究PJ先生レポーター

1 応募以前のSDGsについての学び
今年度は、コロナ禍ということもあり、例年と比べて行事等が縮小・中止を余儀なくされました。そんな中、何か生徒達と一緒に取り組めることを行いたいと思い、クラスで取り組んだのが、「3年G組SDGsカッチハジャ活動」です。カッチハジャは、私自身のモットーであり、韓国語で「一緒に取り組もう」という意味がある言葉です。LHRを利用して、「MDGsとSDGsの違い」・「身近なSDGsについて知る」・「ひとこと多い張り紙の作成」・「企業のSDGsの取り組みを知る」・「SDGsと自分の進路をつなげて志望理由書を書く」などなど、様々な視点でSDGsについての学びを深める時間を持ちました。

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2 さくら女子中学校との出会い
 学びが深まってきた9月。今回の「#せかい部×SDGs探究プロジェクト」の先生レポーターの企画と出会いました。「貧困をなくそう」というテーマの中でも、一般社団法人キリマンジャロの会「さくら女子中学校」タンザニア駐在員の笹瀬正樹さんの授業を希望した理由は、主に以下の2点が挙げられます。
1点目は、実際に現地で働いている方の声を生徒達に聞いて欲しいと思ったからです。そのきっかけは、私自身が2年前にスタディーツアーでモロッコを訪問し、モロッコの子ども達に書道をレクチャーするなど日本文化を紹介する活動を行い、その話を本校の生徒にした際に、他国の子ども達の現状及び教育機関での働きに対して興味関心を抱く生徒が多かったためです。よって今度は、現地で実際に働いている方の声を聞く機会を作り、視野をひろげて欲しいと思いました。
2点目は、本校と同じく、さくら女子中学校は女子校であるため、同じ「女子」として同年代の子どもたちが置かれた状況を理解することは非常に大切だと考えたからです。特に、タンザニアでなぜ「全寮制の女子中学校」が必要なのかという部分に重点を置き、アフリカが抱える問題について学び、実際の学校の様子や課題などを知ることが出来たらと考えました。

3 事前授業
 先生レポーターに選出され、オンライン授業の日程が決まったものの、タンザニアに関しての私の知識は世界遺産の名前を知っているだけというものでした。また、生徒達にもタンザニアのイメージを複数回答可で書き出してもらいましたが、33名中、「アフリカ(19名)」「暑い国(15名)」が多くあげられ「普段意識をしない(10名)」という生徒達が3分の1という状況でした。そのため、実際に授業をして頂く前に、私自身が文献やインターネットで情報を集め5回の事前授業を実施しました。初回は、タンザニアの基礎知識。その後は、タンザニアの学校教育制度の特徴の共有。後半は、笹瀬さんが発信しているYouTubeなどを見て、さくら女子中学校のイメージを膨らませると共に、質疑応答したい内容を考えました。また、笹瀬さんのご厚意で、さくら女子中学校の子達に質問をしたい事柄も考え、現地でインタビューをして頂くことも出来ました。そして、オンライン授業の1週間前には、「さくら女子中学校バーチャルツアー」の動画を笹瀬さんから頂きました。その中には、生徒達が質問した「将来の夢の話」をはじめとしたインタビューも含まれており、タンザニアのさくら女子中学校との接点が持てた貴重な機会になったといえます。

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4 オンライン授業の様子 
個人的にZoomを使ったことがあるものの、オンライン授業という形で使用をしたことがなく、また自身がホストとなって行うのは初めてでした。当日は、Webカメラ付きのパソコンをホストとし、iPadを質問の際のマイク代わりとして繋ぎました。生徒達の授業時の声などが鮮明に講師の笹瀬さんに届いていない・マイク代わりのiPadが時折ハウリングしてしまうなどの課題はありましたが、概ね上手くいったといえます。しかし、一人で実施することには限界があり、ネットワーク環境を整えるのを手伝って下さった先生、またマイク代わりのiPadを操作して下さった先生方の力添えが不可欠だと感じました。
 笹瀬さんの授業では、ご自身が撮影された写真を用いながら、現地で働かれているからこそ伝えられるタンザニアの話やスワヒリ語講座からスタート。その後は、さくら女子中学校が「なぜ女子校なのか」・「全寮制なのか」ということを伝えて頂き、本校の生徒達もタンザニアのおかれている現状を目の当たりにし、真剣に向き合う姿が見受けられました。また、タンザニアの公立学校と私立学校の違いなども教えて頂き、さくら女子中学校の立ち位置や役割について知り、考えることが出来たといえます。
生徒の感想の中には、「貧困の連鎖を断つためにも、さくら女子中学校は今のタンザニアに必要であることが良く分かった。貧困の問題と教育機会の有無が密接に関わっているからこそ、さくら女子中学校で知識と共に教育の重要性を生徒は学ぶことが出来ると思う。そして、その生徒の後の世代にも途切れることなく教育の重要性が伝えられ、質の高い教育チャンスが今よりも当たり前になって欲しい」というものがあり、今回の授業の学びの深さが垣間見られます。また、多くの生徒達が、今回の授業やインタビューのVTRを通して、同年代の子達がいきいきと夢を語る姿に触発されたということを感想としてあげていました。高校3年生として自分達も進路実現に向けて努力をしている「今」だからこそ、感じ取れることも多かったといえます。
また、笹瀬さんからのメッセージにあった「百聞は一見にしかず」を受けて、「実際にタンザニアをはじめとした途上国に大学生になったら行ってみたい」・「進路の新たな選択肢が見つかった」という声や、「タンザニアを訪問し夢を持って勉強する女の子達がいる学校を自分の目で見たい」という声もありました。机上の勉強だけではなく、自分自身の目で見たい、また行動したいという前向きな意見が多く見受けられたことから、今回の授業が生徒達にとって非常に響くものだったことがうかがえます。また、「授業での学びを友人や家族に発信していくことが、今の私に出来る貢献だと思う」といった声も多くありました。コロナ禍で海外になかなかいけない状況ではありますが授業を通して、海外との接点が持てる貴重な機会となったといえます。45分という短い時間でしたが、タンザニアのことを知ることはもちろん、「貧困と教育」・「質の高い教育」・「ジェンダー」などをキーワードとしながら、多角的な視点で考察し、探究する機会が与えられ、感謝をしています。

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5 先生レポーターとしての活動及び生徒達の変化
今回は、オンライン授業以外にも、高校生レポーターの方達と共に講義にも参加する機会を頂きました。その中で積極的に自分の疑問を講師の方にぶつける全国の高校生達の意欲の高さに非常に驚き、また、SNSを通して自分自身の意見を言語化し発信することや、他のレポーター達と繋がり、学びを深める姿勢に感化され、私自身もInstagramを活用し、SDGsに関わる気づきを発信するように心がけました。また、講義に参加をする中で、自分自身が興味関心のあった「貧困」・「教育」以外に関しても学びを深める機会が与えられ、これらの学びを毎日のクラス通信や高校1年生のDignity(探究の授業)で紹介をしていくことも心がけました。そういった中でSDGsの取り組みの新聞記事を持って来てくれたり、身近なSDGsの商品を共有してくれる生徒達もいたため、改めて生徒達と共に対話しながら探究を進めていくことの楽しさを実感しました。
また、今回の講義を通して、その道で活躍する専門家の方からのお話を聞く機会は非常に貴重であり、生徒達の持っている興味関心を刺激し、キャリアを考える上で大事であると考えました。それと同時に、専門家の方々と学校が繋がれるようなプラットホームがあれば良いとも思いました。
約半年間の「3年G組カッチハジャ活動」を通して、97%の生徒達が自分自身の進路とSDGsを結びつけられるようになりました。実際に推薦入試の志望理由書の中にも、SDGsのことが織り交ぜて書かれており、生徒達が「自分ごと化」してSDGsをとらえ、大学での学びや仕事と結び付けられるようになったことが分かります。また、95%の生徒達が普段の生活の中でSDGsについて意識をするようになったと答えていました。例えば、街を歩いている時・CMを見ている時・新聞記事などで、SDGsを気に留めるようになったようです。今後は、そこから1歩進んで自分が出来るアクションを起こしたり、言語化をしたり、専門家の方の話を聞いてみるなど、より主体的に学びを深めて欲しいと期待をしています。
SDGs学習の題材は、身近な所にたくさんあり、また年代や国をこえてカッチハジャ(一緒に取り組む)出来ることが醍醐味でもあります。今後もSDGsの学びを生徒達と共に続け、発信し共有することで、未来への小さな種まきを行っていきたいと思います。

金城学院高等学校(愛知) 地頭綾香
#せかい部×SDGs探究PJ先生レポーター



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