2020年7月の記事一覧
介護の終わりに(15)
毎日、「どちらさまでしたっけか?」と尋ねられる経験は、そうそうあるものではない。楽しいとか苦しいではない。面倒くさい。しかし、これを毎日真面目に返答するとどうなるのか、興味があった。
記録していないから正確ではないが、おおよそ3,4か月続いた。
二つ以上の可能性があるが、その頃の私が思ったのは、
(1)私自身の名前を知らなくても、別にいいや、と義母が思うようになった。私の名前を知らなくてもどう
介護の終わりに(14)
小学校から帰宅した私の息子。小学校1年生か、2年生か。そのくらいの年齢だった。暑くなり始めた季節だった。彼は半そでのTシャツで、息せきって帰ってきた。「ただいま」。
義母はその息子を見て、「あっ、〇〇ちゃん!(夫の愛称)」と呼んだ。
そうか。確かに。義母にとって、彼女のある一定の時期、とくに夫を育てていた時期、それが今よみがえっているのだ。そこには当然、今の夫はいない。同じ名前であっても、そん