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山陽道をゆく chapter1-2 倉敷・直島(2)


→chapter1-1倉敷・直島(1)


僕たちは新幹線最後尾16号車へと向かった。


ホームではまだ[ひかり○○号]は到着しておらず、数分のゆとりがあった。のぞみ号が到着したばかりで大勢のInboundインバウンド客が乗ろうとしていた。

「あれは宮島行き弾丸tourだと思いますよ」とMさんがふと言った。

なるほど皆、軽装な出立だ!

「海に浮かぶ鳥居⛩️は映えるからな」と僕はつぶやいた。

「外国人観光客は新幹線に乗りたがるのですよ」とMさんは言った。

日本の新幹線bullet trainは世界的に信頼度が高い。せっかく日本に来たのだから乗ってみたいという心理はよくわかる。僕は2008年上海で初めて*Linearリニアに乗ってみた。



やがてひかり○○号が入駅して来た。16号車の乗客は5分の1くらいで空席が目立つ。東海道の半分以下の本数である。本州3JRで一番収益性が低いとされる所以だろう。頼みは京阪神と新幹線の乗客である。僕たちの席は3人掛けであった。Kさんにはwindow窓側を勧めた。少しの時間、車窓が楽しめるからである。

「明石海峡大橋が見えますよ」とMさんが窓側に座った利点を紹介した。

「少しだけどね」と僕はすかさず言った。明石海峡大橋も西明石の手前で一瞬だけ見える。



山陽新幹線は別名トンネル新幹線と揶揄されるほどにトンネルばかりである。これらはbusiness特急を主なtargetに早く目的地に到着することが主眼に置かれたためだと僕は思っている。中国山地はその成り立ちから起伏に富んだ山は少なく、僕などはどれもこれも同じに見えて飽きてしまう。

Tunnel illustration by illust AC.free


僕は3列sheetのaisle通路側に座り、carryをrackに上げ、真ん中の席にはbackpackを置いた。たぶんKさんはうたた寝するだろうと予測し、文庫本[金閣寺 三島由紀夫著]を持参していた。

僕は学生の頃に[潮騒]を完読した。その次に[音楽]を読んだが、あまりにも難しすぎて積読になった。それ以来、半世紀、三島作品は手にすることはなかった。



昨今、三島作品が映画化されたり、マスコミでも取り上げられるようになった。三島作品の中でも[金閣寺]は今日、多くの国で翻訳化され、三島由紀夫の代表作と言われている。金閣寺放火事件をモチーフにしたというのが長い間の定説だった。ところが最近、編集長宛の書簡が見つかり、[金閣寺創作ノート]より以前の構想資料であることがわかった。原題は[人間病]である。そんな興味に惹かれて図書館で予約した。同じように興味を抱いた人が多かったのか?結局Get出来たのはtour前日である。



[金閣寺]は多くの京都の地名が登場し、親しみを持って読み始めた。が、途中から寝てしまったようでJR相生駅で[のぞみ号]が抜き去るあの窓に響き渡る爆音で目が覚めた。

[ひかり号]と言えどほぼ各駅停車であることに変わりなく、地方では[のぞみ号]に抜かれるがための駅化しており、場合によれば15分間停車(2回抜かれる)ということも少なくない。地方の方には大変失礼な言い方であることを承知の上で申しあげるが、新幹線の駅といえども駅前は寂れているところも目にしている。

[特急料金払って各駅停車とはこれ如何(いかに)]といった川柳を思い出した。


JR岡山駅構内図(おでかけnetより)


そののんびり[ひかり号]は岡山駅に着いた。僕たちは最後尾16号車からcarryを転がしながらたくさん歩いて新幹線gateを抜けて自由通路に出た。岡山駅は新幹線+在来線10 platformからなるHub拠点駅である。只、車社会が主流地域であり、platformの多さに比べて自由通路の通行者はそれほど多くはない。と言うか大都市圏の鉄道駅と比較する方が間違っているようにも思える。

「inbound客、少ないね」とKさんがふと感想を口にした。

ここにも地方との格差がある。観光spotではない市街地でも日常的に外国人は歩いているし、市バスでも半分は外国人観光客である。常に歴史の渦の中にいた京都市は常に多言語が飛び交う観光客との共生都市でもある。こちらも比較するには無理がある。

その10 platformを跨ぐように自由通路を歩いている時、Mさんの電話が鳴った。

「はい、今、自由通路を歩いています。もうすぐ着きます」

事前に打ち合わせが出来ているのだろう。運転手からの確認の電話だった。そこから屋外のbus乗り場を下に見ながらその一番外れの小型busの存在に気がついた。EVで地上に降りると白髪の感じの良さそうな運転手がドアもタイヤとの間にある大型荷物収納庫も空けて、今や遅しと待っていた。


小型bus 東洋バス


「おはようございます」
と互いにあいさつすると大型荷物はこちらとばかり案内をした。大きいspaceには僕たちの小carryとMさんのcarryだけが収まった。お土産類はこのtourのserviceで無料の宅配便が付いているし、汗もかかない季節なので他の3人は小さなback packだけで来ていた。

弾丸tourと間違えられても不思議ではない。


chapter1-3 倉敷・直島(3)→

busの車窓より 陽を浴びる岡山駅
busはこの場所付近に停まっていた



余談ながら

*2008年上海でlinearリニア乗った感動を今でもはっきり覚えている。

The top of ticket


上海浦東新区龍陽路駅ー上海浦東国際空港駅30.5kmを7分20秒で結ぶ。営業速度430km/h
常設運行世界最速、2002年開業、
Vehicle and technology provided by  Siemens AG .Germany .
A Chinese company was constracted build the Railway
.

The back of ticket


この建設こそ、すべての土地は国家の物という中国だからできた離れ業であると思っている。土地を買収する必要がない。しかも国家の方針に対して建設反対運動を起こせばすぐにも逮捕されてしまう国である。リニア沿線は田園が広がり、住居は幾分離れたところを通っているので騒音公害は気持ちマシだと思っているが、それでも沿線住民はたまったものではないだろう。

7分20秒間の体感

リニアカーの客室の出入口の上には電光掲示板あり、real速度が表示された。始動から倍速さらに倍速で加速し数分で400km超えた。するとガタガタと車体が大きく揺れた。そして430kmに達し、すごい振動だと思った瞬間、減速した。そうだろう。減速しなければ空港駅をoverしてしまう。想像を絶するスピードである。只、乗り心地はあまり感心しなかった。

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