本を気持ちよく読む方法。
積読が増えた
近頃めっきり積読が増えました。
きっかけは昨年の初夏から半年間、企画のオンライン講座に参加したことです。本をオススメされることが増えたり、自分の興味の範囲が広がったりして、読みたい本は増える一方。最近は仕事の繁忙期ということもあって、なかなか読書の時間をとれていないことも、本が積み重なっていく要因となっています。
でも、わたしにとって積読はわるいことではありません。
積まれた本を見て、げんなりするのではなく、むしろニヤニヤしてしまいます。
本を読むことももちろん好きなのですが、「本そのもの」にどうしようもなく惹かれてしまう自分にとっては、気になる本が身の回りに増えていくことは、それだけで機嫌が良くなることなのです。
でも、まあ、それにしても増えすぎてしまったので、そろそろ読んでいこうかなと思うこの頃です。
話は少し変わりますが、書店に行けば読書についての本はたくさんあるし、そんな本を手に取ることもあります。でも、そういう本の多くが、どうしたら本を効率よく、たくさん読めるかだったり、読書がいかに役に立つか、ということに焦点を当てているように感じてしまいます。
せっかく好きな本を読むのだったら、気持ちよく読みたい。
そんな思いがふつふつと湧き上がってきます。
前置きが長くなりましたが、これから考えていきたいのは、本を気持ちよく読む方法について、です。
本を気持ちよく読む
本を読む、と一口に言っても、そこにはいろいろな要素があります。
先に書いたような、どうやって読むか(いわゆる読書法)ということももちろん大切なことだと思うのですが、本を読む時の時間や環境にも目を向けられたら、読書はもっと気持ちよくなるように思います。
もっといえば、姿勢とか体の状態についても考えられたら面白い。以前に何かの雑誌で、長時間立ち読みするときに疲れない立ち方みたいな記事を読んだことがあって、面白いなあと思った記憶があります(どんな立ち方だったかは忘れてしまいましたが…)。
以前に、コインランドリーで読書することについて書きました。
自分としては「これは新たな発見だ!」と意気込んで書いたのですが、いくつか寄せらられたコメントには「自分もやってます。コインランドリー読書いいですよね」という趣旨のものが多くて、全然新しくもなんともなかったのでした。山登りの好きな友人は、「本を読むために山に登っている」と言っていて、わたしが思っているよりずっと、みんな自由に読書を楽しんでいるようです。
というわけで、読むことの研究の入り口として、最近は場所について考えています。その実践として、コインランドリー読書もその一環ですが、これまで本を読んだことがない場所で、読書をしてみるということに取り組んでいます。
美容室で読む
先日は美容室での読書に挑戦してみました。ちょっとベタですね。
読書に没頭できたかというと、正直そこまでではなかったのですが(上から自分の髪がパラパラ落ちてきて気になる…)、それでもスマホに手を伸ばしたり、自由に動くことができなかったりするのは、本を読むことにはプラスに作用しているように思えます
でも、それ以上に面白かったのが、読む環境と本の内容がゆるやかにリンクしているように感じられたことでした。
そのときに読んでいたのは『手の倫理』(伊藤亜沙、講談社)でした。この本では「さわる」と「ふれる」というふたつの側面から、触覚にまつわるいくつかの事柄について語られます。すごく乱暴な要約ですが、相手を対象化(モノ化)する「さわる」という行為と、相互に影響しあう関わり方としての「ふれる」という行為のそれぞれの担い手として、「手」が捉えられています。
美容師さんにとって、「手」は商売道具と言ってもいいもので、その仕事と分かち難く結びついているものです。髪を切るという行為は「さわる」という側面がより強く出ているのかな、と考えつつも、切られる側(この場合は私自身ですが)からの影響(例えば髪質とか?)も受けながらの行いだとすると、そこには「ふれる」という要素も少なからずあるのかもしれません。そんなことを髪を切られながら考えていました。
言うならば、本の中身が現実の世界に染み出していったような、そんな読書体験になったのでした。意図してこの本を選んだわけではなかったので、なんだか余計に面白く思いました。読書しながらいろんな方向に思考が散らばっていくのも、本を気持ちよく読むことにつながっているような気がしています。
満足しながら家路に着いたのですが、本に挟まった自分の髪の毛を払うのには難儀しました…
「本を気持ちよく読むための方法」なんて、なんだか大上段に構えてしまいましたが、これからもぼちぼち考えていきたいと思っています。
みなさんも「こんな場所で読んだら気持ちよかった」という発見や「読書するときに欠かせないモノ」なんかがあれば、ぜひお話を聞かせてください。どうぞよろしくお願いします。