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「悲しみ」を乗り越える

今回は「悲しみ」の乗り越え方について書きたいと思います。というのも、ちょうどここ1週間くらい私自身が悲しみを抱く出来事を経験し、しばらくの間やる気の出ない状態が続いたからです。そのストーリーも紹介しつつ書いて行きたいと思います。
なお『「失恋」からの立ち直り方とレジリエンスの高め方』というテーマで以前取材を受けたことがあり、その時お話した内容がこちらに掲載されています。こちらも「悲しみ」を乗り越える話となりますので、ご興味ありましたら一読頂けると嬉しいです。

さて、私がここ1週間で経験したお話をまずしたいと思います。それは「ブドウ農家さんの手伝いへ行けなくなった」という出来事です。これだけだと悲しみ具合が伝わりづらいと思いますのでもう少し詳しく書きたいと思います。

私は2012年に専業農家を目指して山梨県の八ヶ岳の麓へ移住し1年間農家修行をしていましたが、家庭の事情で農家になる夢を諦めて東京へ戻りました。そして2013年からは毎年春~秋にかけて、山梨県の南アルプス市へ月に1回くらいのペースで通い、たいてい1泊2日で友人のブドウ農家さんで手伝いをしています。ただ今年は新型コロナのことがあったため手伝いへ行くことを自粛していました。
そんな状況でしたが、緊急事態宣言が解除され都外への移動自粛も終了となり、また6月末で講師の仕事もだいぶ落ち着いたので、やっと手伝いへ行けると楽しみにしていました。友人からもちょうど人手が欲しかったと喜んでもらえました。
そんな矢先、新型コロナの第2波が東京へ訪れ、都知事から都外への移動自粛が伝えられ、泣く泣く手伝いへ行くことを諦めることにしました。これが私に起きた出来事です。

都知事から都外への移動自粛が伝えられた時、最初に感じたのは「怒り」でした。緊急事態宣言解除後、特定の場所での感染が多いことが分かっていたにも関わらず、国や都はなぜもっと対策を講じなかったのかと。以前書いたこちらの記事で紹介しましたが、

「怒り」は「他人に権利を侵害された」時に湧いてくることが多いです。まさに「ブドウ農家さんへ手伝いに行く」という権利を侵害されたと感じて「怒り」が湧きました。
そしてその後に訪れたのが「悲しみ」です。悲しみは「大切なものを失った」時に訪れます。緊急事態宣言中は仕方ないと割り切れたのですが、せっかく新型コロナが落ち着いて「よし! これから」という矢先だったこともあり、怒りも悲しみもより強いものを感じました。なお、私がこの出来事で改めて気づいた「大切なもの」については、このあとの文章の中で触れたいと思います。

さてここからは、私の経験を題材にしつつ「悲しみ」を乗り越える3ステップをご紹介したいと思います。この3ステップは心理学の研究を基に、私なりにシンプルにまとめたステップです。

ステップ① 焦らないでゆっくり待つ

「悲しみ」を抱くと、普段やる気に満ちている人でもやる気が湧かない状況に陥ることがあります。私は講師とITエンジニアの2つの仕事をパラレルキャリアの形でしてて、土日もよく働いているくらい普段は「やる気に満ちている人」ですが、そんな私でも「悲しみ」を抱くとやる気が湧かないのだなと今回の出来事で改めて感じました。
そしてやる気が湧かない状況が続くと次に感じるのが「自己嫌悪」です。「なんでいつまでたってもやる気が湧かないのだろうか? 私はこんなにダメな人間だったのか」と。普段やる気に満ちている人ほど自己嫌悪を感じるかもしれません。「自己嫌悪」に陥るということはアイデンティティを失うような感覚になるため、さらに悲しみが深くなるという悪循環になることもあります。
でも、人は「悲しみ」を抱くとやる気が湧かなくなることは自然なことです。自然なことだと思って自己嫌悪せず、焦らずにゆっくり待つことが良いと思います。もちろん仕事や家事で最低限やらなくてはいけないことはあると思います。そのように最低限のこと、目の前のことを丁寧にしつつ、それ以外の後回しにできることは無理してせずに、ゆっくり過ごす、そうしていると少しずつやる気が湧いてくると思います。

「大切なものを失った」理由に自分自身の行為が関係している場合も自己嫌悪に陥りやすいと思います。友人と喧嘩するとか、失恋などではそのようなケースもあると思います。その場合、自己嫌悪に陥り自分を責めてしまいがちになりますが、このような時も焦らずゆっくり待つことで、少しずつ気持ちが前向きになると思います。

また、泣きたくなるくらい強い悲しみを感じている時は、我慢せずに涙を流すのが良いと思います。涙を流すことには、カタルシス効果と呼ばれる「すっきりする」効果があるそうです。すっきりすることで、やる気が戻るのも早くなると思います。

ステップ② 友人や家族の力を借りる

「悲しみ」を乗り越えようとする時、友人や家族が大きな力になります。強い悲しみを感じている時、特に「自己嫌悪」に陥っている時は他の人の言葉に感情が逆なでされることもあるかもしれませんが、一人だと鬱々してしまうような時は友人や家族と時間を過ごすことによってリフレッシュできて元気をもらえることが多くあります。私は妻と美味しいものを食べ飲みしつつ会話することでいつも元気をもらっています。人が悲しみを感じている時、周りの人は心配になって自然とサポートする行動を取ろうとします。これは恐らく人類の長い歴史の中で培われた本能的なものと思われます。有難迷惑なものも時にはあるかもしれませんが、自分の助けになるサポートであれば恥ずかしがらずに素直に受け取っていいと思います

ステップ③ 大切なものに気づいて感謝する

悲しみは「大切なものを失った」時に訪れると書きました。つまり自分にとってとても大切なものがあったわけです。今回私は「ブドウ農家さんの手伝いへ行けなくなった」という出来事を経験していますが、それにより「ブドウ農家の友人」や「友人を介してできた知人の皆さん」、「”畑仕事をする自分”というアイデンティティ」や「自然の中で過ごすことから得られる活力」など、大切なものがたくさんあることに改めて気づかされましたこの気づきは「悲しみ」を乗り越える力にもなります。大切なものがあることに感謝することで前向きな気持ちになり、新型コロナが落ち着いたらまた通おうと強く思いました。

もちろん失ったものによっては取り戻せないものもあると思います。例えば大切な人との死別は取り戻すことができない、強い悲しみを感じる出来事と思います。でも、それまでその人と過ごした大切な時間を思い出しつつ、その人に感謝をして過ごすことで少しずつ元気が出てくると思います。そして、また大切に思える新しい関係を築きたいという前向きな気持ちになれると思います。

今回は「悲しみ」を乗り越える3ステップを紹介しました。3ステップとは言いつつも①②③の順番はおおよその話で、その時々で自身に大事と思うものを取り入れて頂ければと思います。私なりにまとめた3ステップですが、皆さんの役に立てたら幸いです。

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