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ビジョン実現のためのカルチャー
日々のレンガ積みは、やがて歴史に残る大聖堂となり、世界の平和を支える存在となる。そんなビジョンを共有することで、レンガ積み職人は自分たちの仕事に誇りを持ち、高いモチベーションで日々の業務に取り組むことができます。
マネージャーには、こうした高い視座からメンバーにビジョンを示す役割が求められます。それは、目の前の業務を単なる作業ではなく、大きな目標や意義に結びつけることです。個々の努力が組織全体の目標とどう繋がっているのかを明確にすることで、メンバーの主体性や成長意欲を引き出すことができます。
今回は、個別のマネジメントのレベルを超え、組織全体の基盤となるMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)と、それを実現するためのカルチャーについて考えていきます。この二つを明確に定義し、浸透させることで、強い組織づくりと持続可能な成長が可能になります。
MVV
ミッション(使命)、ビジョン(目指す姿)、バリュー(価値観)は、組織やチームが活動を通じて達成すべき目的や行動指針を示す羅針盤の役割を果たします。この三つを明確に定義することは、組織の方向性を統一し、メンバー全員が同じ目標に向かって進むための土台となります。
ミッションは、組織が「なぜ存在するのか」という使命を表します。社会にどのような価値を提供し、どんな課題を解決するために存在するのかを明確にします。ミッションがはっきりしていると、メンバーは自分たちの仕事に意義を見出し、日々の業務が社会や顧客への貢献につながっていることを実感することができます。
ビジョンは、組織が「どのような未来を目指しているのか」を描きます。ミッションに基づき、理想とする姿や長期的な目標を示すもので、メンバーに夢や希望を与えます。「どんな未来を共に実現したいのか」という明確なイメージが共有されることで、組織の推進力となり、メンバーの挑戦意欲を引き出す原動力となります。
バリューは、組織が活動する上で大切にする価値観や行動基準を示します。これは、日々の意思決定や行動の指針となり、メンバー全員に「どのように行動すべきか」を明確に伝えます。バリューが浸透した組織では、何を努力すれば賞賛されるのかが明確で、メンバーが共通の基準で判断し、一貫性のある行動が可能となります。
組織全体がミッションを意識し、ビジョンに向かって進み、バリューを日々の行動に反映することで、メンバーは主体性を持ちながらも一体感を保つことができます。この仕組みが、組織を強くし、外部環境の変化にも柔軟に対応できる力となります。そして、それが長期的な成長と持続可能な成功を支える鍵となるのです。
MVVとカルチャー
MVVを日常の行動や習慣として定着させるものがカルチャーになります。カルチャーは、組織のメンバーがどのように働き、互いに関わり、目標を達成していくかを形づくる組織のDNAとも言えるものです。
ミッションは、カルチャーの「前提条件」になります。共通の目的意識があることで、メンバー全員が一貫性を持った行動や意思決定を行えるようになります。ビジョンは、カルチャーに「推進力」を与えます。明確で魅力的なビジョンは、メンバーを引きつけ、自発的な挑戦や行動を促す文化を育てます。バリューは、カルチャーの「行動規範」となります。浸透したバリューがある組織では、全員が同じ基準で行動するため、信頼関係が深まります。
一方で、カルチャーに無関心な組織では、その効果は発揮されません。組織の方向性が一部の上位マネジメントの価値観や属人的な要素に左右され、セクショナリズムが強まったり、メンバーが上司の顔色を伺うような風潮を生むことがあります。
MVVに基づいたカルチャーが明確に定義され、それが日々実践されている組織では、変化の激しい環境にも柔軟に対応し、持続的な成長を実現する力を持つことができます。カルチャーは、組織の成長と成功を支える大きな要素なのです。
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MVVを実現するためのカルチャー
カルチャーは、MVVを実際の行動や意思決定に落とし込む役割を果たします。どれだけ素晴らしいMVVを掲げていても、それが日々の行動や職場の雰囲気に反映されていなければ、形だけのものになってしまいます。
例えば、組織が「多様性の尊重」を掲げていても、実際の職場が排他的でブラックな環境であれば、そのビジョンは実感を伴わず、信頼を損ないます。一方で、職場の日常がMVVと一致している場合、メンバーは自然とその価値を共有し、組織全体に一体感が生まれます。この一体感が、組織の結束力を高める大きな要因となります。
MVVとカルチャーは互いに支え合う関係です。MVVはカルチャーの基盤を提供し、カルチャーはそれを日常で具体化します。この相互作用が組織の成長を促進し、個人のモチベーションと組織の目標が一致する状態を作り出します。その結果、長期的に持続可能な、強固な組織が形成されるのです。そういう意味で、MVVは「理念」、カルチャーはそれを実現する「実践」と言えます。この両輪が連携して初めて、組織は変化にも柔軟に対応できる力を持ち、成長を続けることができます。
後輩 竜野が思うこと
マネジメントの本質は、組織カルチャーをデザインすることにあるのかもしれません。これまでの経験を振り返ると、私自身が会社のMVVをどれだけ深く理解し、それを自分のものとして咀嚼できていたかが、メンバーのモチベーションに大きな影響を与えていたように感じます。
現場と、そして上層部と対話し、MVVに基づいた組織カルチャーを再定義できたら、組織全体がより良い方向へ進んでいけるんじゃないかと想像します。矛盾や課題はあれど、マネージャーとしては、メンバーが目指すべき方向性を明確にし、個々の努力が組織全体にどのように貢献するかをしっかりと伝えていかなければならないなと思います。