見出し画像

子供たちについて(読書記録「ヘレナとオオカミさん」)

池袋のジュンク堂に行ってみた。普段は行かない二階で台湾漫画フェアがやっていた。表紙の女の子が可愛いので、試し読み用に置かれていた上巻を手に取る。
…読み通してしまった。慌てて下巻を手に取りレジに向かう。

どういう話で、なぜこんなにも感動しているのかは後日しっかりとした言葉でまとめたいので、とりあえず今書いたことをここに放流する。

日本の外の漫画産業について

あとがきから察するに、台湾ではまだ商業漫画の市場が整っていないようだ。(あとがきでピンポンの話が引き合いに出されているのは素晴らしいなと思った。東アジアは一つの文化圏だ)
寒気がする。このレベルの才能が世界中にゴロゴロ眠っているのに、俺はまだ日本の漫画しか読めていないのか。
俺のやっている文化経済学の研究を、こういう目的に使えないだろうか。言うなれば、開発文化経済学。
ある国の市場(例えば日本)で観察された因果を他の市場(例えば台湾)で応用する、という形式になる。そのためには、出版社など企業が持つノウハウと俺が持つ学術的な知見の融合が必要となる。産業組織論の研究とは基本的にそういうものらしいが、俺の手で開拓をせねばならない。

物語には人を生かす力がある。俺はそれに救われたから。
それを日本だけでなく世界中の人に届けたい。
そのために、創作も文化経済学の研究も本気でやろう。そう思えた豊かな読書体験だった。

子供たちについて

俺たち大人というのは、基本的にみんな子供を過小評価している。
それはきっと、俺たちの誰もがかつては子供だったからだ。とんでもない思い上がりだ。いまの子供たちは、俺たちみたいなしょぼくれた大人になんかなりやしない。きっと彼らには素晴らしく輝かしい未来が約束されているんだ。なぜなら、未来というのは常に過去よりもよいものだからだ。俺たちはみんな幸せになるために生まれてきた。俺たちより先に生まれた人々はみんな、この世界を少しだけ幸福にしようと思って働いてきた。その結果、世界は少しずつ少しずつ幸せで豊かな場所に近づいていっている。戦争も差別も貧困も病も、無くなりはしないけど減っている。そして俺たちもまた、この世界を少しだけ良くするために働いている。そうして俺たちが積み重ねた世界に生まれてきた子供たちは、今まで世界に存在した誰よりも幸せになるに決まっている。俺たちがそう信じなくてどうするんだ。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?