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学校見学で、見るべきところとは?『中学受験 親のお悩み相談室』(#24)

少子化にもかかわらず、中学受験者は年々増加しています。中学受験は親と子がタッグを組んで取り組むものだからこそ、さまざまな悩みや壁にぶつかることも…。本連載では、子どもの中学受験を控えた親御さんの悩みに、教育ジャーナリストの中曽根陽子先生が答えます。

質問 学校見学が始まりました。どの学校もよく見えてしまい、困ります。一体、どこをチェックすればいいのでしょうか?

回答 見学時に押さえておきたい6つのポイントを紹介します。各ポイントを押さえると、学校の目指す姿が見えてくるはず。各学校の校風を見極めてください。また、個別相談会もうまく活用してくださいね。

学校説明会は学校を見極める最高の機会

中学受験において情報収集は親の仕事です。特に学校選びに関しては、ほぼ親が一時情報を得た上で、子どもの嗜好やタイプ、学力を見極めながら合いそうな学校を探し出さなくてはいけないので、結構大変だと思います。

最終的に我が子に合う学校を選ぶためには、実際に足を運んで、それぞれの学校の実際の姿を見ることが大切です。

学校説明会は受験校を見極める機会ですが、学校は当然良いところをアピールするので、いろいろな学校に行けば行くほど、違いがよくわからなくなったという声も聞きます。

そこで、ここから具体的な説明会のチェックポイントを紹介しますね。

学校見学時におさえたい6つのチェックポイント

1.校長先生の話から何を感じられるか
校長先生は、学校の顔です。その学校がどこを向いて、何をしようとしているかを言語化できているか。メッセージに一貫性があるか。教育に対するパッションを感じられるか。そんなところを意識して、お話を聞いてみましょう。

2.教育理念と実際の教育内容に矛盾がないか
実際の教育内容についてのお話で、何を強調するのかをチェックしましょう。限られた時間の中で取り上げるのですから、それが最も伝えたいことのはずです。

進学実績とそこに向けての教科学習の取り組みを強調する学校もあれば、探究的な取り組みや生徒の様子を伝える学校もあります。

いずれにしても、それらの取り組みが、校長先生が話した学校の理念や方向性とぶれていないか、聞き分けてください。

3.壇上に上がらない先生の様子は?
壇上に上がる先生だけでなく、案内で立っている先生や校内見学の案内をしてくださる先生など、壇上には上がらない先生の様子を見ると、その学校の個性が伝わってきます。

パリッとしている先生が多いとか、素朴だけどあったかい雰囲気の先生が多いとか、違いを感じられると思います。また、校長先生と他の先生、先生同士の関わり方や、会話の様子を見ていると、その関係性が伝わってきます。

4.生徒の姿や校内の掲示物、図書館や特別教室など校内の様子は?
説明会は休日に行われるところが多いので、在校生の様子を見られない場合もあるでしょう。そんなときにも、廊下の掲示物や教室の様子から雰囲気を窺い知ることはできます。

また施設面では、特別教室や図書館を見ると、その学校が何に力を入れているのかが感じられます。もちろん立派な施設がなければダメと言うわけではありません。でもSTEAM教育や理科教育に力を入れているのであれば、それなりの施設があるはずです。

特にやりたいことがあるなら、それができる環境かどうかという観点で学校を見るといいですね。

5.個別相談で聞くべきポイントは?
できるだけ個別相談を利用して、気になるポイントを質問してみましょう。そのときに、例えば「勉強についていけなかったらどうなりますか」とか「部活の活動状況はどうですか」とか「いじめはありますか? もし見つかったときにはどう対応されますか」など、少し困った事例も含めて、同じ質問をそれぞれの学校に聞いてみると違いがわかりやすいと思います。

こういう答えにくい質問にどう対応されるかにも、学校の素顔が見えてきます。

6.集まっている保護者の様子は?
複数の学校を回っていると気づくのですが、学校によって保護者のカラーがあります。

別学と共学でも違いますし、伝統校と新設校でも違います。きちんとしたダーク系のスーツやワンピースの方が多かったり、反対にラフな感じの服装の人が多かったり。

入学後にお付き合いすることになる人たちの候補なので、家のカラーとあまりにかけ離れていたら、後でしんどい思いをするかもしれません。そんなところも観察してみるとおもしろいです。

できるだけ「生の情報」を集めよう

今はオンラインや夜間の説明会など、さまざまな機会を設けている学校が増えていますから、そういう機会を活用して、ぜひ生の情報に触れてください。

学校によっては、生徒がいる教室も含めて校内見学をさせてくれるところもありますし、案内を生徒に任せているところもあります。

「生徒になんでも聞いてください」とオープンな学校は、生徒こそがその学校の教育の証であると、自信を持っているのでしょう。そんな機会があったら、ぜひ生徒に質問をしてみるといいですよ。

また、何校も訪れていると、何が特徴だったか分からなくなってしまいがち。

そんなときに活用して欲しいのが、専用のノートです。学校の理念・教育方針・具体的な取り組み・特に強調していたこと・先生生徒の様子、など同じ項目を立てて、書いていくと後から振り返りやすいです。

拙著『中学受験 親子で勝ち取る最高の合格』を購入していただくと、学校選びのチェックシートをダウンロードできますので、こちらもご活用ください。

中曽根陽子(なかそねようこ)
教育ジャーナリスト。マザークエスト代表。出版社勤務後、女性のネットワークを生かした編集企画会社を発足。「お母さんと子どもたちの笑顔のために」をコンセプトに、数多くの書籍をプロデュースした。現在は、教育ジャーナリストとして、紙媒体からWEB連載まで幅広く執筆する傍ら、海外の教育視察も行う。20年近く教育の現場を取材し、偏差値主義の教育からクリエイティブな力を育てる探究型の学びへのシフトを提唱。「子育ては人材育成のプロジェクトであり、そのキーマンのお母さんが探究することが必要」とマザークエストを立ち上げた。常に自身の最新学習歴の更新に務め、お母さんの気持ちがわかるポジティブ心理学コンサルタントとして、エンパワメントサークルも主宰している。著書に『1歩先いく中学受験 成功したいなら「失敗力」を育てなさい』(晶文社)などがある。