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受験塾の宿題のサポート、どこまで親がやるべきですか?『中学受験 親のお悩み相談室』(#17)
少子化にもかかわらず、中学受験者は年々増加しています。中学受験は親と子がタッグを組んで取り組むものだからこそ、さまざまな悩みや壁にぶつかることも…。本連載では、子どもの中学受験を控えた親御さんの悩みに、教育ジャーナリストの中曽根陽子先生が答えます。
質問:塾の宿題のサポートは、どこまで親がやればいいのか悩んでしまいます。親の立場ですべきこと、すべきでないことはなんでしょうか?
回答:すべきことは「スケジュール・タスク・教材」などの管理のサポート。すべきでないことは「教えること」です。
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みんな「塾の宿題」で悩んでいます
塾の宿題問題ですね。
中学受験の塾の宿題の量は、学校の宿題の比ではありません。かなり多いので、それを全て子どもに任せるというのは、現実的ではないでしょう。
3年生から受験のための塾に入れたあるお母さんは、「これまで、学校の宿題に気が乗らない子どもにどうやって宿題をやらせるかで頭を悩ませてきました。
学校の宿題でさえやらないうちの子が、塾の宿題を自分から進んでやる訳がないので、わたしが横についてやらせています」と言っていました。そういう方は案外多いのかもしれません。
このお母さんのように、「やらせるしかない」と、子どもの横に座って宿題をやらせる…あるいは、「宿題やったの?」とこまめに声掛けをしている…など、みんな苦心しているのですよね。
でも、なかなかうまくいかなくて、それが原因で家の中が嫌なムードになっているという家庭は多いのではないでしょうか。何とかしたいですよね。
頭ごなしに「やりなさい!」ではなく、まずはゴールを共有しよう
最終的には、自分で取り組めるようにしていくのが理想ですが、中学受験の場合、たいてい子どもの意思というより親主導で始まるので、子どもにしてみたら、「お父さん・お母さんに言われたから塾に通っているけれど、勉強はめんどくさい」というのが本音かも。
大体そこに最初のボタンのかけ違いがあります。なので、まずは何のために今塾に通って勉強しているのかをお子さんが納得できるように、話をすることは大事じゃないかなと思います(これは時々繰り返すことになると思います)。
子ども人は「どこに向かっているのか」ゴールが決まって初めて、そこに向かうロードマップを描いていくことができます。
受験の場合、最終ゴールは入試ですが、あまり先に目標をおいても漠然としてしまうので、目の前の小さなゴールをクリアしていく感覚で進められるといいですね。
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塾のサポートで親がやるべきことは、3つだけ
塾も定期的に単元テストなどをおいて、学んだことの定着を図るようになっているはずです。なので、そのプログラムに従って家庭学習をすればいいのですが、多くの塾の先生は「親は勉強を教えるのではなく、どこまでできたかという進捗管理と、わからないところがないかという事実確認だけをしてほしい」と言います。
実際、親が勉強を教えると、感情的になってしまったり、塾の先生と教え方が違って混乱したりで、あまりうまくいかないことのほうが多いです。
ですから家庭学習に関して親がすべきなのは、
スケジュール管理
タスク管理
教材のファイル管理
でいいでしょう。
スケジュール管理は、学習計画を立てるということです。1週間ごとのカレンダーを使って、いつ何をするかを決めていきましょう。
タスク管理は、今日やることを書き出すということです。こちらは、ホワイトボードなどに書いて見えるところに貼っておくといいでしょう。
そして、やるべきことが終わったら塗りつぶす。その行為で抜け漏れがなくなり、達成感も味わえます。
教材のファイル管理も本当は自分でできるといいのですが、戻ってきたテストや教材のプリント類など大量の紙類をファイリングするのは大人でも大変な作業です。子どもも余裕がないので、中学受験ではほぼ親の仕事です。
私も子どもが通っていた塾がほぼ全てオリジナルのプリント教材だったので、最終的にはファイルの高さが子ども背の高さと同じくらいになりました。
なので、途中で完璧に仕分けするのは諦めて、見返しそうなものだけファイルしてあとは箱に入れていました。
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反対にすべきでないことは、
親が計画を立てて、その通りやらせようと強制し、できなかったら怒る
親が教えて、子どもが分からないからと言って感情的に怒る
全て子どもにお任せで放任する
などでしょうか。
塾の教材は螺旋型に繰り返しながら学習していくようになっていて、学年が上がるほど量も多くなるので、「全部やらせなくては」と思いすぎないことも大切です。
最終的に子どもが自分で取り組めるように、上手に伴走してくださいね。
中曽根陽子(なかそねようこ)
教育ジャーナリスト。マザークエスト代表。出版社勤務後、女性のネットワークを生かした編集企画会社を発足。「お母さんと子どもたちの笑顔のために」をコンセプトに、数多くの書籍をプロデュースした。現在は、教育ジャーナリストとして、紙媒体からWEB連載まで幅広く執筆する傍ら、海外の教育視察も行う。20年近く教育の現場を取材し、偏差値主義の教育からクリエイティブな力を育てる探究型の学びへのシフトを提唱。「子育ては人材育成のプロジェクトであり、そのキーマンのお母さんが探究することが必要」とマザークエストを立ち上げた。常に自身の最新学習歴の更新に務め、お母さんの気持ちがわかるポジティブ心理学コンサルタントとして、エンパワメントサークルも主宰している。著書に『1歩先いく中学受験 成功したいなら「失敗力」を育てなさい』(晶文社)などがある。