そろそろ過去問を解こうと思っていますが、「過去問の良いやり方」はあるのでしょうか?『中学受験 親のお悩み相談室』(#23)
少子化にもかかわらず、中学受験者は年々増加しています。中学受験は親と子がタッグを組んで取り組むものだからこそ、さまざまな悩みや壁にぶつかることも…。本連載では、子どもの中学受験を控えた親御さんの悩みに、教育ジャーナリストの中曽根陽子先生が答えます。
過去問にも、効果的な使い方がある
6年生の2学期。そろそろ過去問に取り組む時期ですね。過去問に取り組むには、それなりの時間が必要です。
過去問は家庭でやるケースが多いと思いますので、その時間をどこでどのくらい取れるか、計画を立てて取り組む必要があります。早めに一度塾に相談し、計画的に取り組めるといいですね。
ここでは、過去問分析のプロに聞いた最近の問題傾向と効果的な活用法を紹介しましょう。
話を聞いたのは、過去問出版の大手、声の教育社常務取締役 後藤和浩氏です。後藤氏は、過去に年間年500問超の解説を執筆してきた過去問分析のプロです。
まず、最近の中学入試問題の傾向についてですが、この1・2年で間違いなく問題が長文化し、記述式の問題を出す学校が増えているそうです。
実際、ある学校の数年分の解答用紙を見せてもらいましたが、同じ学校でも、解答欄が大きくなっていました。
以前は、記述式の問題は、難関校といわれる学校に多く見られたのですが、最近は、中堅校でも増えています。
これは、教育が、思考力・表現力を重視したものに変わっていることも影響しています。
入試問題から「ほしい生徒」が見えてくる
「入試問題は、学校からのラブレター」といわれますが、作問者はその学校の先生なので、「こんな力を持った生徒に来てほしい」というメッセージが込められています。
実際、短時間で大量の問題を解かせる学校と、じっくり考えせる問題を出す学校がありますが、こんなところにも学校の教育方針、傾向は現れます。
入学後の授業にも通じるので、そういう意味で、早いタイミングで、どんな問題が出るのかを見ておくことが大切だそうです。
6年生なら、第一志望の学校は決まっているでしょう。過去問の内容を事前に確認しておくことで、「苦手な単元も、第1志望の学校でよく出ると分かれば、早いうちからモチベーション高く学習できるはず」と後藤氏。
確かに、そうですね。ですから、第一志望の学校の過去問は早めに手に入れて、パラパラでもいいので、目を通しておきましょう。
過去問は「横に並べて」「見比べる」
併願校も含めて受験校を絞り込めたら、受ける予定の学校の過去問は数年分は解いて傾向をつかむ必要があります。
そのときやってほしいのは、教科ごとに数年分の過去問を横に見比べること。すると、例えば算数の1問目は必ず四則計算で分数の逆算が出るなど、学校の出題傾向がわかります。
最終的に受験は傾向と対策が功を奏する部分が大きいので、偏差値的には届かない学校でも、対策をとれば突破することも可能です。たまに大幅に改定されることがありますが、多くの学校は出題傾向が決まっているので、傾向を掴んでおくと本番で慌てませんよね。
また、出題傾向が苦手なタイプだったとしても、これが解けたら合格できると思えば対策を取れますね。受験を突破するためには、やみくもに勉強するのではなく、戦略を練ることも大事です。
我が家でも、過去問を解いてみたら、偏差値的には十分なはずの学校の問題が解けず、反対に、偏差値的には難しいと思われた学校の問題の方が得点を取れるので、受験校を変更しました。問題との相性があるのです。
ですから、受験校選びの指標の一つとしても、過去問を上手に活用しましょう。