幸せになるための考え方〜ヴィクトル・エミール・フランクル〜
こんにちは。
幸福になるためには何が必要ですか?どうなる必要がありますか?
素敵な恋人、理解のある家族、社会的名誉。。。
それらは実は幸福になるためには必要ではありません。
幸福度については生活環境や社会的地位は関係ないのです。幸福に対する周囲の環境による影響は1割程度なのです。生産性に対するIQなど能力が与える影響は25%程度であり、残りの75%はストレス処理など後天的なものなのです。また、幸福感が高くなると生産性も37%上昇するのです。成功により幸福になるのではなく、幸福により成功するのです。
コロナの自粛生活が続きますが、今までいかに外の刺激に依存して生活していたかがわかります。内側の豊かさに変換が必要になってくると思います。内側の豊かさを育てることで、病気や災害などのあらゆる困難に打ち勝ち、幸福な状態を維持することができるようになります。
今回は、フランクルの考え方から外側の環境に依存しない、内側の豊かさについて執筆しようと思います。
1.ヴィクトル・エミール・フランクルについて
精神科医師として勤務していましたが、第2次世界大戦時、ユダヤ人であったためにアウシュビッツに収容されます。アウシュビッツ収容所の中で、彼はいかなる環境においても個人の思想や幸福は奪うことができないことに気が付きます。
2.苦悩とは人間の業績である
苦悩により洗練される、とフランクルは言います。悩みがあるからこそ人間らしさが成熟されていくのです。
また、ストレスについて、オキシトシンが放出され、人とのつながりが生まれるというポジティブな面もあります。お金を得たときに、自分のためだけに使うよりも人のためにお金を使ったほうが幸福度が高くなるという研究もあり、人間の本性として、人との繋がりは極めて重要と考えられます。
苦悩があるからこそ、人間性が磨かれ、また、人とつながり、同じ弱さを持つことで繋がり合うこともできるのです。
一人ひとりが持つ弱さについて、自分自身の弱さを受け止め、他人の弱さを受け止めることで多様で生きやすい社会になるのではないかと私は考えていて、最近はなるべく自分の弱さを隠すのではなく表現していこうとしています。
3.創造価値、体験価値、態度価値
創造価値とは、生み出したり、作り出したりすることで生まれる価値で仕事などが例にあがると思います。創造価値について、仮に多数の人と同じ仕事をするにしても、心を込めて仕事をすることで他の人の仕事とは異なった価値になります。また、仕事以外の、例えば家事なども創造価値になるのです。食事を心を込めて作ること、洗い物をするときに物に感謝の思いをいだきながら洗うことで、ただ漠然と家事をすることとは性質が異なってくるのです。
体験価値とは、体験される価値で誰かを愛することや気持ちよさを味わうことが例にあがります。愛は重要なテーマであり、体験価値とは少し話がずれますが、自己超越というものがあります。これはフランクルが提唱してものではなく、マズローが提唱したもので、自分自身を超越した、もっと大きなものの一部であるという感覚です。私の感覚でいうと、人との繋がりによって得られる穏やかさや幸福感がそれにあたるのかなと思います。人だけでなく、世界全体に対して心を開くことで、なにか満たされるような感覚がします。損をする、得をする、というところから離れて、心が満たされるかどうかで判断してみたり、その判断が難しかったりすると疲れているかもしれないので休む必要があるかもしれません。
態度価値とはどのように振る舞うかという価値です。創造価値や体験価値はアウシュビッツのような過酷な状況では奪われてしまいますが、態度価値は誰もどんな環境も奪うことができないことにフランクルは気が付きます。極悪人になる人もいたし、極限の状態でも人に優しく出来る人もいたのです。どういう風に向き合うのか、ということが重要で、人生が何を与えてくれるかということではなく、人生に何を期待されるかが重要であるとフランクルは言っています。悲惨な状態であると思っていても、どのように振る舞うかは最後まで自由なのです。人に優しくし続けることもできるし、なにかしら生活に喜びを見つける努力をすることもできるのです。
4.人生が私達に何を期待しているか
人生になんの意味があるかではなく、人生が何を期待しているかが重要であるとフランクルはいいます。自由に絵を選ばせるより、決められた絵を与えられた人のほうが満足度が高かったという研究があり、また授かり効果とよばれる、自分が所有しているものを他の人のものよりも高く評価する傾向にあります。他人との比較さえ行わなければ、人は与えられたもので十分幸せを感じるように出来ているのです。
状況を変えることよりも、どのように受け止めて振る舞うのかということが重要なのです。
5.まとめ
今ある苦悩は意味のあるものだし、そもそも人間の性質として自分が今持っているもので満足できるはずなのです。また、こころを込めた生活を意識し、深いところから湧き上がってくる喜びを大切にすること、変えられない環境を変えようとするより自分自身の在り方を探してみることでより充実できるのではないかと思います。
今何が私達に期待されるか、何ができるかを考えてみることで、逆境に負けない幸福を創り出していきましょう。
参考図書:それでも人生にイエスと言う