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日本への恨みを体感させる「学習指導要領」                 中国「反日の闇」 遠藤誉 まとめ2

中国「反日の闇」  遠藤誉  2024.11.14 ビジネス社
遠藤氏は、2024年に発生した靖国神社落書き事件、日本人学校10歳児殺害事件などの背後にあるのは、中国で行われている「愛国主義教育」すなわち「反日教育(中国では「仇日教育」)」であると断言しています。
まとめ2の大半は、2000年から使われている、日本への恨みを体感させる、洗脳的教育方法を示す「学習指導要領」です。


2000年 日本への恨みを体感させる「学習指導要領」

2000年11月出版の『中国近現代史 下冊 教案』(人民教育出版社)から。何百項目もが細かくあげられ、「日本帝国主義への憎しみ」だけでなく、「現在の対米追随的な日本への憎しみ」を募らせるように作られている。「反日教育」というより、中国では「仇日教育」と呼ぶ方が多い。P76
(この本では、そのごく一部が紹介されている)

①満州事変について

【教学目標】
一、知識目標 
1.1930年代の日本の中国侵略の原因と偽満州国の建立
2.蒋介石が日本侵略に抵抗しなかった政策とその影響
3.中国共産党の抗日救国運動の奮起と表現
二、能力目標(省略)
三、指導プロセスと方法 
現在ある新聞報道などを導入口として、日本帝国主義の侵略行為に対する憤慨の気持ちを先ず掻き立てて、生徒たちの愛国的情熱を激発させる。
四、情感姿勢と価値観
1.九一八事変を通して生徒たちに、これが日本帝国主義が中国侵略を始める第一歩で、その背景には日本の経済と社会の要因があり、中華民族に重大な災難をもたらしたことと、これは否定できない歴史的事実で、改ざんは許されないことを、生徒一人ひとりの心に深く印象づけるように認識させること。今日、日本帝国主義の復活と右翼勢力の狂暴な、常軌を逸した活動に対して警戒しなければならない。
2.本節の教材を通して、生徒たちが日本帝国主義の野蛮な行動に対する深い憎しみを激しく抱くように激発させ、愛国主義の精神と民族の責任を植え付けよ。
3.中国共産党は九一八事変のとき、民族滅亡の危機に対して勇猛果敢に戦った。これは全民族の利益に符号し、崇高なる愛国主義精神の表現である。外国の侵略に対する不屈の抵抗は中華民族の伝統的な栄光である。
【教学前の準備】
インターネットや教科書以外のメディアやフィルムを用いる。
「松江江上」という音楽を流しながら、当時の被害者の傷跡が写っている写真を見せ、憎しみの情緒を掻き立てた上で、生徒たちと以下の会話をするように誘導する。
教師:この写真は何を意味するのですか?
生徒:柳条湖の鉄路は関東軍が爆破したもので、中国の軍隊とはいかなる関係もありません。p72-76

九一八事変
満州事変の中国における名称。1931年(昭和6年)9月18日に中華民国遼寧省瀋陽市郊外の柳条湖で、関東軍がポーツマス条約により日本に譲渡された南満洲鉄道の線路を爆破した事件(柳条湖事件)に端を発し、関東軍による満洲(中国東北部)全土の占領を経て、1933年(昭和8年)5月31日の塘沽協定成立に至る、日本と中華民国との間の武力紛争(事変)のこと。(端緒については不明点が多いため、立場によって事実認定が異なります。)

中国の人民網日本語版(2020年9月18日13:16)によると、
「日本軍国主義が中国東北部で計画的に引き起こし、発動した「九一八事変」(満州事変)は、日本軍による中国侵略の始まりとなった。
中華民族は14年間の血みどろの奮戦を経て、最終的に抗日戦争の勝利を得た。・・・記念するのは奮起して国家の富強を図るためだ。現在もなおパワー・ポリティクスや冷戦思考を奉じて、歴史の潮流に逆らう行動を企んでいる国々がある。弱肉強食のジャングルの掟の下で覇権主義が横行している。彼らは道理を重んじず、横暴に抑圧し、ほしいままに中国の内政に干渉している。奮起して国家の富強を図り、自らが強大化してこそ、我々は覇権主義に抵抗できる。今年は中国人民抗日戦争ならびに世界反ファシズム戦争勝利75周年だ。奮闘目標「2つの百年」との歴史的合流点に立って当時を振り返ると、偉大な抗日戦争の精神が聳え立つ巨大な石碑の如く、常に我々に注意を促している。「国難を忘れず、警鐘を鳴らし続けろ」

人民網日本語版(2020年9月18日13:16)

②南京大虐殺

【教学の準備】
まず、「南京大虐殺」という映画を見せてから授業に入ること。
そのあと、できるだけ凄惨な個別の殺戮場面をスクリーンにクローズアップして映し出し、「大きな赤い文字で」殺戮された人数「30万人」を写真の上に重ねて映し出し、インパクトを与える。
静止画面と動画の両方を用いて、色彩の効果と動画の効果を駆使し、心から震撼するような衝撃が生み出されるように工夫する。
特に、南京大虐殺の血なまぐさい残虐な一面を突出させて印象づけるようにする。
教師は生徒に次の質問をし、日本軍が行った残虐な行為に関して、生徒により多くの事件を思い起こさせる。
教師:日本の侵略戦争史上、南京大虐殺以外に、ほかにどういう突出した事件があるか挙げなさい。

【「南京大虐殺記念館」の見学】

一連の教学のあと、必ず「南京大虐殺記念館」に見学に行き、生々しい蝋人形による効果的な展示に触れ、「日本、許すまじ!」とうい気持ちがわき起こるようにする。

日本の大学教育現場での状況
(遠藤誉氏は、長年留学生教育に従事し、特に一橋大学、千葉大学、筑波大学で、全世界の留学生に教育してきた。)
世界の留学生の中で、中国人留学生はどの国よりも政治意識が高い。中国国内のカリキュラムを調査したところ、政治に関する授業が多く、どの大学でも入学試験科目に「政治学」があった。1980年以降は、日本のアニメや漫画が大好きな「中国動漫新人類」が誕生したため、「精神汚染」を恐れた中国政府は中国国産の動漫制作に注力、抗日戦争ものの映画、テレビドラマ、動漫の制作許可をゆるめていった。それによって、若者は抗日戦争ものを好むようになり、靖国神社に落書きして日本を侮辱すれば「これぞ中華民族の男!」として英雄視され、より過激な形で日本民族を侮辱する行為に走るようになっている。「日本人を殺しても罪にはならない」という気持ちを、一部の中国人民の中に芽生えさせているのである。p77

p77

2010年 中国のGDPは日本を凌駕し世界第二の経済大国に

中国が世界第二の経済大国になると、アメリカは中国に脅威を感じ、対中包囲網を形成し始めた。p27
中国におけるNED(全米民主主義基金)の潜伏活動が激化し、香港を中心に中国政府転覆を謀る活動を活発化させた。p98

2012年8月15日 保釣行動委員会 尖閣諸島上陸事件

8月15日、中華圏の領有権を主張する目的で、「保釣行動委員会(中国本土・香港・マカオ有志で構成)」が尖閣諸島に上陸、17日に強制送還された。

9月10日 日本政府 尖閣諸島を国有化 

2012年 中国全土で大規模な反日暴動

日本製品不買運動 「小日本(日本の蔑称)を皆殺しにせよ」「日本など絶滅させよ」などと叫びながら日本企業を襲撃し、破壊、放火。
9月18日(柳条湖事件発生日)のころには、日中国交正常化以来、最大の規模となり、第18党大会開催の開催が危ぶまれる事態。中共の胡錦涛政権はデモ主導者を逮捕し党大会開催、習近平が中共中央総書記に就任。反日感情に対応する施策を実施(下記)。

2013年 9月3日を「抗日戦争勝利記念日」に制定

2013年 12月13日を「南京大虐殺受難者哀悼記念日」に制定

2014年「9月30日」 (革命)烈士記念日

革命烈士記念日を、建国記念日の10月1日の前日にした意図:中華民国を倒して新中国=中華人民共和国を建国した「革命戦争」を戦った中国人民解放軍の烈士たちを記念しつつ、「中国共産党こそが抗日戦争を戦った中心の柱」というスローガンを打ち出す。

2015年 ハイテク国家戦略「中国製造2025」発布

戦略発布から10年が経過した現在、中国は不動産産業などからハイテク国家戦略へとパラダイムシフトした。宇宙、太陽光、EV、民間用ドローン、クリーンエネルギーによる造船まで、新産業において世界のトップにたつところまで成長している。ゆえに、「中国経済低迷のために、はけ口として日本人学校の児童を殺傷した」という論説を筆者は肯定しない。  p100

日本の謝罪と賠償
日本は25回も「戦争謝罪」を繰り返し、「戦後賠償」としての対中ODA支援を続けてきたが、中国ではそのことを人民に知らせていない。

3へ続く
3では、反日教育で浸透した日本への恨みを発散する中国人の姿です。

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