【要約】あとがき:コンセプトの作り方「つくる」を考える方法
コンセプトと「あなた」の結びつき
コンセプトは愛の告白に似ている
コンセプトを作る行為は、世界一の美女に告白するようなものと表現されている。
成功の可能性は低いかもしれないが、それでも伝えたいという情熱が必要である。
自らの仕事や製品が、世界を良くする可能性にかける感情とよく似ている。
プライベートな理由とコンセプトの関係
著者がコンセプトに込めた想いは、祖母への恩返しだった。
祖母がゲームを楽しむ姿を見たいという願いは、任天堂の掲げる『ゲーム人口の拡大』と一致していた。
幼少期からのコンプレックスが、社会に認められるゲームを作りたいという原動力になった。
コンセプトの奥底にあるプライベートな空間
『世界を良くする』というコンセプトは、個人のしあわせと密接に関係している。
コンセプトには、作り手だけが知るプライベートな理由が必要である。
これが作り手の原動力となり、不安を乗り越える灯火となる。
コンセプトの生成プロセス
「生きるあなた」の悪口やビジョンを吐き出すところから始める理由は、コンセプトと自分自身を結びつけるためである。
悪口やビジョンを並べ替え、自然に生まれる物語がコンセプトとなる。
このプロセスは、作り手がコンセプトを「すきになる」ための重要なステップである。
コンセプトは「あなた」の思い出の集合体
コンセプトは、しあわせな体験や記憶の集合体として形成される。
これはコンセプトと作り手を強く結びつけるためであり、ものづくりに必要なモチベーションを生む要因となる。
しあわせに生きたいという作り手の願いが、コンセプトに反映されることで、世界を変える力を得るのである。
家族と共に生まれたコンセプトの影響
祖母と従兄弟一家がリビングで『Wii Sports』を楽しむ光景を見て、著者は深い感動を覚えた。
著者自身が抱えていた田舎や地元の人間関係へのコンプレックスも、この体験によって解消された。
ゲームを通して家族が一つになり、これが『ゲーム人口の拡大』というコンセプトの成功を象徴する場面だった。
自己変化の実感
『Wii』のリリースを経て、著者は以下の変化を感じた:
植物や動物の美しさ、酒の味わいといった感受性の向上。
自己の内面に新たな側面が加わったという感覚。
これらは、コンセプトワークの過程で「未知の自分」を発見した結果とされている。
コンセプトワークで直面した内面の葛藤
著者はコンセプトワークを進める中で、以下のような心の葛藤を経験した:
ゲームの常識を知らない新規ユーザーへの苛立ち。
自分の楽しみやゲーム愛と、新規ユーザーへの対応の間での葛藤。
これらの葛藤は「心の影」として著者の内面に潜んでおり、コンセプトの本質に迫る対話を通して解消された。
自己と世界の変化のバランス
コンセプトワークを通して、著者は「世界を変えるには自分自身も変わらなければならない」という仮説に至った。
これは、コンセプトワークが作り手自身に変化を求める必然性を示している。
『世界を変えた勇者は、世界によって自身も変えられる』という表現に象徴される。
未知の自分への覚悟
未知の良さを追求するコンセプトワークには、作り手が「未知の自分」になる覚悟が求められる。
自分の中の不安や未知の変化に立ち向かうことが、コンセプトワーカーとしての本質である。
感謝の念
最後に、著者は支えてくれた関係者や家族に深い感謝を述べている。
特に、祖母への個人的な思いが、コンセプトワークの出発点であったと明かされている。