【要約】「忙しさの仮面」を外すには、価値の根拠を示す必要がある:セールスにはびこるムダな努力・根拠なき指導を一掃する
お客様が「忙しさの仮面」をつける理由と背景
お客様が「忙しさの仮面」をつける状況
営業がアポイントを取ろうとしても「資料をメールで送ってください」と言われたり、そもそも返信が来ないことが多い。
仮に面会が実現しても、「今日は時間がないので手短にお願いします」とそっけない対応をされる場合もある。
具体例として、初回訪問でのやり取りを挙げると以下のようなものがある。
営業が製品の説明を始めても、お客様から「他社との違いは何ですか?」といった質問があり、説明を続ける。
最終的に「最近は忙しくて……何かあればこちらからご連絡します」と言われ、実際には連絡が来ることはほとんどない。
これらは、お客様が「忙しさの仮面」をつけているために起こる状況である。
「忙しさの仮面」をつける本音
お客様が「忙しさの仮面」をつける理由は、過去に「ガッカリ営業」に多く出会い、時間を浪費した経験があるからである。
当社が行った調査では、「もう一度会いたい」と思える営業担当者に出会う確率はわずか6分の1。
つまり、6分の5の営業は「ハズレ」であり、お客様にとっては無駄な時間でしかない。
お客様の本音は「レベルの低い営業には時間を使いたくない」というもの。
「アタリの営業」かどうかがわからない段階では、接触を最低限に抑えて様子を見る、という行動を取る。
ハズレの営業と判断される要因
拝み倒しの失敗
多くの営業が「何とかご挨拶だけでも……」「少しの時間でいいので」とお願いするだけの「拝み倒し」を行う。
しかし、これではお客様に「ハズレの営業」と見なされる。
理由は、実力のある営業は単にお願いするのではなく、自分の実力を証明する行動を取るからである。
忙しいお客様への対応の失敗例
新規営業で断られた際に「では、お時間ができるのはいつ頃でしょうか?」と聞く営業がいる。
しかし、こうした場合、多くのお客様は「落ち着いたときにまた連絡します」と返答し、実際には連絡が来ることはほぼない。
このようなやり方では先に進むことはできない。
お客様の信頼を得るために必要なこと
お客様に「ハズレの営業ではないこと」を証明する必要がある。
具体的には、ただ時間をお願いするのではなく、自分の実力や価値を伝えることが求められる。
努力が空回りしないためには、「拝み倒し」ではなく、計画的なアプローチが重要である。
「忙しさの仮面」を外すための具体策
時間を使う価値を端的に示す
お客様が「忙しさの仮面」を外すには、まず「時間を割く価値の根拠」を示す必要がある。
例えば、アポイントを依頼する際に、「なぜ自分との打ち合わせが有益なのか」を簡潔かつ具体的に伝えることが重要である。
以下は悪例の会話イメージである。
営業が「資料には書けない情報がある」と伝えるが、その情報の詳細を説明できず、お客様に疑念を抱かせてしまう。
最終的に、お客様は「まずは資料を送ってほしい」と断り、面会には繋がらない。
このように曖昧な説明では、お客様に「時間を使う価値がない」と判断されてしまう。
ハイパフォーマーが備えるスキル
営業1万人調査によると、ハイパフォーマーは「誠実さや真面目さ」以外にも多様な強みを備えている。
特に次のスキルが挙げられる。
課題解決思考力
情報収集力
プレゼンテーション力
周囲を巻き込む力
これらのスキルに欠けている場合、お客様にとって「真面目だが価値がない」と判断されやすい。
「価値の根拠」を具体的に提示する例
効果的なアプローチとして、以下の例が挙げられる。
お客様に具体的なメリットを提示する。
例:「御社の現状と似た課題を解決した事例を共有したい」データや事例を用いて信頼性を高める。
例:「最近のクライアント事例では、売上が〇〇%向上しました。その内容を30分でご説明いたします」
このように、「相手にとっての具体的なメリット」を明確に伝えることで、お客様の興味を引き出すことができる。
アポイントを確実に取るために必要な行動
「忙しさの仮面」を外すには、「拝み倒し」や「お願い」ではなく、相手が納得する理由を提示する必要がある。
そのためには、事前準備やスキルアップが不可欠である。
営業活動の成果を上げるためには、「価値の根拠」を示し、相手の信頼を獲得する具体策を常に考えるべきである。
アポイント獲得の鍵は「課題解決」と「費用対効果」
コロナ禍による営業環境の変化
リモートワークの普及により、従来のテレアポや飛び込み訪問の効果が大幅に低下している。
お客様がオフィスにいるのか自宅にいるのかが不明。
代表電話からつないでもらえないケースが増加。
チャットツールやメールの情報量が増え、営業からの連絡が埋もれやすい。
このような状況下では、効率的な方法を模索する必要がある。
お客様が「会ってもいい」と感じる条件
お客様1万人調査で明らかになった、アポイントを取るための重要な要素は次の2つである。
提案商材が自社の課題にマッチしていること
提案商材の費用対効果が高いこと
これらが満たされなければ、お客様は「忙しいから会えない」と言い、接触の機会を避ける。
ごく限られた接点での効果的な訴求
「忙しいから会えない」と言うお客様に対して、限られた接点で「時間を使う価値」を伝えることが必要である。
電話口での30秒の会話。
メールの文章。
この短いコミュニケーションの中で、いかに「課題解決」や「費用対効果」を端的に伝えられるかがカギとなる。
「課題解決」「費用対効果」を伝えるためのポイント
優先順位を上げたくなる「価値の根拠」を提示
「忙しい」と断るお客様に時間を割いてもらうには、「課題解決」と「費用対効果」を具体的に示す必要がある。
お客様が「この話は聞く価値がある」と感じる材料を提供し、接触の優先順位を上げることが重要である。
例として、以下のポイントをメールや電話で訴求する。
課題解決: お客様が抱えている特定の悩みを解決できる方法。
費用対効果: 提案内容がどれだけのコストメリットや効果を生むか。
事例に基づいた「課題解決」の具体例
「課題解決」を伝える際には、お客様に強く関連した内容を示すべきである。
たとえば、次のようなケースがある。
事例: 大量入社した新人育成に悩む人事担当者
人事担当者が「現場の指導負担が大きい」と課題を抱えている場合、次のようなアプローチが有効である。
提案内容例: 「大量入社した新人の育成を効率化し、現場の上司の負担を軽減する入社時研修プログラムをご提案します。」
このように具体的な課題に直接言及することで、担当者は「自社の状況に合っている」と感じ、話を聞く意欲が高まる。
文面のコツ
課題を具体的に明記し、相手に「自社のことだ」と思わせる。
「売上アップ/コスト削減」などの漠然とした表現ではなく、どのように解決するかを詳しく伝える。
事例研究で「課題解決力」の引き出しを増やす
効果的に課題を提案するには、社内にあるお客様の事例を徹底的に研究する必要がある。
事例研究は以下のプロセスを含む。
共通点の特定: うまくいった案件に共通する要因を明らかにする。
成功と失敗の違いを分析: 成功した事例とそうでない事例の差を言語化する。
具体的な方法の説明: 課題解決の過程や方法を詳しく説明できるようにする。
「1人の人物」に向けた提案を意識
課題提案を行う際は、「一般的なお客様」ではなく、目の前にいる「1人の人物」に向けた提案であると意識する。
その人物がどのような状況で、どのような課題を抱えているかを具体的に想像する。
誰とどのようなやりとりをしているのかまでイメージし、提案文に反映させる。
このようなアプローチにより、「忙しさの仮面」の裏にあるお客様の本音に響く提案が可能となる。
入口段階で「費用対効果」を示す方法
具体的な事例と数字を活用する
お客様に費用対効果を伝える際には、できるだけ具体的な事例や数字を用いることが効果的である。
たとえば、次のような表現が挙げられる。
事例提示: 「XXXの課題を抱えていたA社様が●●●に取り組み、■%の売上アップを実現しました。」
数字の活用: 実績に基づいた明確な成果を提示することで、信頼性を高める。
ただし、こうしたアプローチだけでは、「都合のいい事例だけを持ち出しているのでは」と疑われる可能性がある。
この懸念を払拭するために、事例の背後にある根拠やロジックを示す必要がある。
「費用対効果の根拠」を説明する
お客様の疑念を払拭し、納得感を得るためには、事例の背後にあるロジックを説明することが重要である。
以下のような具体例を示すことで、提案の信頼性を高める。
根拠例
低コスト化の理由
従来の課題を解決する工夫や仕組みを示す。例: 「人手で行っていた●●作業をAIで自動化したことで、月額XX円で提供可能となりました。」
例: 「■■業界のムダを省くことで、従来の3分の1のコストを実現しました。」
独自の強み
業界経験やネットワークを活かした提案が可能であることを伝える。例: 「▲▲業界との強固なつながりにより、多数の仕入先を確保しています。」
信頼感を高めるポイント
費用対効果を伝える際には、次の点を意識する。
事例の背景を説明する: 成果を実現できた理由を具体的に説明することで、説得力を持たせる。
客観的な根拠を用意する: 独自の工夫やデータを示し、「都合のいい事例」への疑念を解消する。
簡潔かつ端的に伝える: 忙しいお客様に短い時間で理解してもらえるよう、要点を絞って説明する。
アプローチの一貫性
提案の全体において、費用対効果の説明を一貫して行うことで、お客様が「忙しさの仮面」を外しやすくなる。
短い接点であっても、事例・数字・ロジックを効果的に組み合わせることが重要である
お客様が評価する「事前準備」のポイント
お客様の本音を理解する
お客様が「忙しさの仮面」をつけている背景には、「レベルの低い営業に時間を使いたくない」という本音がある。
このため、商談の限られた時間で「アタリの営業である根拠」を示す必要がある。
その鍵となるのが「事前準備」である。
「事前準備ができている」と感じさせる要素
お客様1万人調査で明らかになった、事前準備が評価される瞬間は次の3つである。
質問や要望へのスピーディーな対応
その場で的確に即答できるかどうかが評価される。
お客様に「この営業はわかっている」と感じさせるポイント。
例: 製品仕様や導入効果に関する質問に対し、資料や数値を用いて即答する。
前回の商談内容を反映した資料の作り込み
前回の商談で伝えた内容が反映されていることで、お客様は「自分を理解してくれている」と感じる。
例: お客様が抱えている課題を具体的に記載した提案書を用意する。
商談の進行と時間配分のスムーズさ
商談の進行が整理されており、ストレスなく進むと評価される。
例: 商談のゴールとアジェンダを明確に示し、時間内に要点を伝える。
事前準備の「レスポンス」と「段取り」
お客様が事前準備を評価する基準は「レスポンス」と「段取り」である。
レスポンスの重要性
お客様の質問や要望に対し、スピーディーかつ的確に答えることで、営業のレベルが伝わる。
例: 質問への回答に加え、関連情報を先回りして提供する。
段取りの重要性
商談の進行や時間配分をスムーズに行うことで、プロフェッショナルな印象を与える。
例: 資料やデモの準備が完璧で、商談が計画通り進む。
「忙しさの仮面」を外す効果
質の高い事前準備は、お客様に「この営業は信頼できる」と思わせる要因となる。
質問への即答や資料の作り込みが、「時間を使う価値がある」という安心感を生む。
商談の段取りが良いと、「ストレスがない」と感じてもらえる。
結果として、お客様の「忙しさの仮面」が外れ、次の商談や提案につながる可能性が高まる。
商談の段取りと時間配分
商談の「4つのフェーズ」
商談を成功させるためには、時間内で効果的に進行する段取りを準備する必要がある。
商談は以下の4つのフェーズに分けて構成するとよい。
導入(オープニング)
お客様との関係性を構築するための軽い挨拶やアイスブレイクを行う。
商談の目的を明確に伝え、アジェンダを共有する。
課題の共有
お客様の現状や課題についてヒアリングを行う。
必要に応じて、既存の情報を確認し、お客様の発言を深堀りする質問を投げかける。
提案と質疑応答
お客様の課題に対応する具体的な提案を行う。
提案内容が課題解決や費用対効果にどうつながるかを、データや事例を用いて説明する。
お客様からの質問に迅速かつ正確に回答する。
次のアクションの合意(クロージング)
商談内容を簡潔に振り返り、次のステップを確認する。
アクションプランやスケジュールを合意し、フォローアップの約束をする。
商談を「前半」と「後半」に分けた時間管理
前半:会話を広げる時間
商談の前半は、以下の2つのパートで構成される。
イントロダクション
オープニングやアイスブレイクの時間。
前回の商談内容を反映した資料を使い、「お客様の話を理解している」と伝える。
例: 「前回、こういうお話を伺いましたが、その後いかがでしょうか?」と切り出す。
深掘り(意見交換)
営業のペースで無理に誘導せず、お客様の意見を引き出す。
双方向のディスカッションを行い、論点を広げる。
例: 「本日は次の3点について議論させていただきたいと思います」と論点を明示する。
前半は「拡散」の時間として自由な意見交換を行うことで、お客様のニーズや課題を明確にする。
後半:会話を収束させる時間
商談の後半では、以下の2つのパートに時間を割く。
中間まとめ+個別議論
お客様の意見を整理し、議論を収束させる。
例: 「今のお話をまとめると、こういう課題が見えてきましたね」と振り返る。
質問や要望へのレスポンスを丁寧に行い、信頼感を築く。
ネクストステップ確認
商談の結論や次の行動を明確にする。
例: 「次回の会議で、より具体的な提案書をご提示させていただきます」と次のアクションを提示する。
後半は「収束」の時間として、お客様との合意形成や次のステップの確認を重点的に行う。
時間配分のルール
商談時間が何分であっても、前半と後半を50:50の割合で分けるのが基本。
多くの営業が資料説明に時間をかけすぎるが、それでは一方向的な商談となり、お客様の満足度が低下する。
前半で深掘りし、お客様のニーズや意見を引き出す。
後半でその意見を基に議論を収束させ、次のステップを明確にする。
ハイパフォーマー営業の特徴
ハイパフォーマー営業は、商談をアドリブで展開しているように見えるが、実際には入念な事前準備を行っている。
商談のテーマや論点を事前に想定しておく。
時間配分を意識し、商談を管理することで、最終的に確実な着地を図る。
「拡散」と「収束」を明確に意識した商談設計こそが、ハイパフォーマー営業の成功の秘訣である。
お客様の文脈に合わせた商品紹介の重要性
一方的な商品紹介の落とし穴
「忙しさの仮面」をつけたお客様は、商品紹介を聞く際に営業担当者の実力を品定めしている。
この段階で「アタリの営業」と感じられなければ、さらなる提案の機会を失うリスクがある。
多くの営業が情報量で圧倒しようとするが、これでは逆効果になることが多い。
一方的で単調なプレゼンテーションは、「無駄な時間を使いたくない」というお客様の本音を助長してしまう。
お客様が求める商品紹介の4つの要素
お客様が「この営業は知識が豊富で引き出しが多い」と感じる商品紹介には、次の要素が求められる。
質問への迅速かつ的確な回答
商品紹介は一方的な説明ではなく、双方向のキャッチボールとして行う。
お客様の質問に即答できるレスポンス力が「引き出しの多さ」の指標となる。
課題解決の具体例
商品が自社の課題をどう解決するかを、わかりやすく説明する。
例: 「御社が抱える〇〇という課題には、この機能が役立ちます。」
他社導入事例の適用
他社の成功事例を挙げつつ、お客様の状況に合わせて説明する。
例: 「似た課題を持つA社では、この商品を導入して〇〇を解決しました。」
類似商品との違いを明快に説明
他の選択肢と比較し、自社商品の優位性を明確に示す。
例: 「他社の△△製品は〇〇に強みがありますが、当社製品は□□において優れています。」
調査結果から導き出される2つのポイント
調査結果に基づき、商品紹介で重要となるポイントは以下の通りである。
お客様の文脈に合わせた説明
お客様の状況や課題に即した説明を行うことで、商品紹介が魅力的に映る。
単なる情報提供ではなく、相手のニーズに寄り添う内容にする。
会話のキャッチボールを重視
商品紹介は対話形式で進めることで、お客様の疑問や不安を解消しやすくなる。
一方的な情報発信ではなく、お客様との双方向のやり取りを心がける。
「引き出しの多さ」の本質
「引き出しの多さ」は、ただ知識が豊富であることを指すのではない。
トレンド情報や専門的な知識を披露するだけでは不十分である。
お客様の文脈に合わせて知識を応用し、具体的な価値を伝えられるかどうかが真の評価ポイントとなる。
商品紹介の際には、お客様の課題やニーズを的確に捉えた上で、それに合った情報を提供することが求められる。
結果として、お客様に「時間を使う価値がある」と感じてもらえる商品紹介を実現できる。
「3つのサブメッセージ」を入れて商品紹介を組み立てる
「3つのサブメッセージ」を活用した効果的な商品紹介
サブメッセージ1: お客様の課題をどのように解決するか
商品紹介の中心は、「お客様の課題解決」を具体的に示すことである。
これには、次の3つの要素を組み込む。
ステップ: 商品導入後に何が起きるか、段階を追って説明する。
例: 「最初の1カ月で〇〇を自動化し、その後、△△の効率が20%向上します。」
変化: 商品がもたらす具体的な効果や変化を示す。
例: 「これにより、業務時間が月間50時間削減されます。」
根拠: 効果が実現する理由や仕組みを説明する。
例: 「AIを活用した〇〇技術が、効率向上の鍵となっています。」
このように、具体的なプロセスを語ることで、お客様は商品導入後の姿をイメージしやすくなる。
サブメッセージ2: 他社導入事例をお客様に合わせて説明
事例の提示は、お客様の購入意欲を高める効果がある。
ただし、事例を効果的に伝えるには、目の前のお客様との共通点を明確にすることが重要である。
例: 「A社様では、貴社と同じく〇〇に課題を抱えておられましたが、導入後3カ月で△△を達成しました。」
注意点として、成功事例の量を強調するのではなく、いかにその事例がお客様自身に当てはまるかを示すことに焦点を当てる。
共通点が見えない事例ばかりでは、かえって懐疑心を招く可能性がある。
サブメッセージ3: 類似商品との違いを明快に説明
競合商品との差別化を示す際には、客観的な比較とお客様への具体的なインパクトを重視する。
例: 「他社の△△商品は、初期費用が低い点で魅力的ですが、長期的なランニングコストを考えると、当社の商品はコストパフォーマンスに優れています。」
注意点として、自社商品を一方的に持ち上げる比較表は避けるべきである。
すべての項目で自社が優位という主張は信憑性に欠けるため、改善点も認めつつ、総合的なメリットを伝える。
「3つのサブメッセージ」を組み合わせた商品紹介
3つのサブメッセージを統合してピラミッド型の構造を作ることで、情報を漏れなく整理し、お客様の質問にもスムーズに対応できる。
メインメッセージ: 商品が課題解決に役立つという全体像。
サブメッセージ: 解決プロセス、他社事例、競合との差別化を具体的に説明。
こうした構成を持つ商品紹介は、「テンプレート的な説明ではない」とお客様に感じさせ、信頼を得ることができる。
ロールプレイによる準備の重要性
質問に対する的確な答えをその場で返せるようになるためには、事前の練習が不可欠である。
お客様からの質問を想定し、ロールプレイを繰り返すことで、応答力を磨く。
例: 「この機能を導入すると具体的にどのくらい効果が出ますか?」という質問に、具体的な数字や根拠で回答する練習を行う。
「忙しさの仮面」を外す商品紹介の効果
お客様の文脈に合わせた商品紹介を行うことで、営業が「アタリ」であることを示すことができる。
結果として、お客様は次のような反応を示す可能性が高まる。
「ぜひ詳細な提案をお願いしたい」
「次回もこの営業と話を進めたい」
商品紹介は単なる説明ではなく、お客様に「価値の根拠」を感じさせ、信頼を築く重要なステップである。
御用聞き営業を超える「打てば響くリアクション」
御用聞き営業の限界
営業1万人調査によれば、ローパフォーマーの多くは「御用聞き営業」に依存している。
主に以下のような行動が挙げられる。
こまめな連絡: 頻繁なコンタクトで関係性を築こうとする。
雑談の活用: 趣味やプライベートなど、共通の話題で親近感を狙う。
傾聴: お客様の話をじっくりと聞き続ける。
足繁く通う: 定期的に訪問することで信頼関係を深めようとする。
これらは関係構築の基本ではあるものの、これだけでは「忙しさの仮面」を外せない。
単に「良い人」止まりでは、お客様にとって重要な提案や決定にはつながりにくい。
「打てば響くリアクション」の重要性
「御用聞き」から一歩進み、お客様に響くリアクションを取ることが重要である。
これには、以下の要素が含まれる。
迅速かつ具体的なレスポンス
お客様からの質問や要望に対し、すぐに明確な答えを返す。
例: 「具体的な数字で効果を示してほしい」という要望に対し、その場で過去事例やデータを提示。
話題の掘り下げ
雑談を単なる世間話で終わらせず、お客様のビジネスや課題に結びつける。
例: 「その趣味は業界の〇〇に通じるものがありますね」と会話を仕事に関連付ける。
価値を感じさせる応答
単なる傾聴ではなく、お客様の話に対して具体的なアイデアや提案を返す。
例: 「その課題については、以前に〇〇業界で解決したケースがあります。詳細をお持ちしましょうか?」
予想外の付加価値
お客様の話を元に、期待以上の情報や提案を提示する。
例: 「お話に関連する市場データもまとめてお送りします。」
「御用聞き営業」の危険性と脱却のポイント
御用聞き営業の限界
「御用聞き営業」は、こまめな連絡や雑談を通じてお客様との関係性を深める手法だが、以下の理由から成果に結びつきにくい。
お客様の課題解決に踏み込めていない
商品説明や見積もり提示に終始し、課題解決の議論が進まない。
お客様の検討状況や本気度を把握できていない。
「忙しさの仮面」を外せない
お客様の「今は忙しいから」という言葉をそのまま受け入れる。
最終的に「こちらから連絡します」という対応で終わってしまう。
ガンバリズムの罠に陥る
頻繁に訪問し、商談を繰り返す努力が評価される一方、結果が伴わない。
「がんばっていれば成果が出る」と誤解し、改善が進まない。
ハイパフォーマーの成功要因
ハイパフォーマーは御用聞き営業に加えて、以下の2つの「有効な武器」を活用している。
迅速なレスポンス
お客様からの質問や要望に対して、早く的確に答える。
タスクを溜め込まず、効率的な仕事の進め方を習慣化している。
お役立ち情報の提供
自分の得た有益な情報を惜しみなくお客様に共有する。
「giveの精神」で情報を分かち合い、信頼関係を構築する。
御用聞き営業から脱却する具体策
「御用聞き営業」の枠を超え、「忙しさの仮面」を外すには以下のポイントを実践する必要がある。
お客様の課題に踏み込む
商品やサービスがどのように課題を解決するか具体的に示す。
例: 「先日ご説明した製品が、業務効率化で具体的にどのような変化をもたらすかをご説明します。」
レスポンスの質を高める
質問への回答を迅速かつ明確に行い、信頼感を醸成する。
例: 「資料で補足する点がありましたので、すぐにお送りします。」
お役立ち情報の共有
業界動向や他社事例など、関連性の高い情報を積極的に提供する。
例: 「御社の課題に似た事例をまとめましたので、ぜひご参考ください。」
訪問時に明確な目的を持つ
訪問のたびに具体的な成果を設定し、関係性を進展させる。
例: 「次回訪問時には、具体的な課題解決案をお持ちします。」
ハイパフォーマーの「打てば響くリアクション」
ハイパフォーマーの行動は、以下のような特徴を持つ。
迅速で具体的な応答: お客様の質問や要望に即答し、信頼感を築く。
積極的な情報提供: 有益な情報を惜しみなく共有し、お客様の役に立つ姿勢を示す。
効率的なタスク管理: タスクを溜め込まず、早めに対応する習慣を持つ。
これにより、「ただ誠実なだけ」ではない価値をお客様に感じさせることができる。
「ガンバリズムの罠」を回避する
真面目な営業が成果を上げられない原因は、「努力の方向性がズレている」ことにある。
上司や組織は、「がんばれば結果が出る」という思い込みを改め、以下のような指導を行うべきである。
成果につながる行動を重視: 努力ではなく、具体的な結果を評価する。
効果的なスキルを育成: レスポンス力や情報提供力を強化するトレーニングを実施する。
ハイパフォーマーのような行動を身につけることで、単なる「がんばり」を超えた成果を出せる営業に成長できる。
「レスポンス」と「お役立ち情報」をチーム戦で実現する方法
ハイパフォーマーの行動を組織に展開する重要性
ハイパフォーマーの特長である「迅速なレスポンス」と「お役立ち情報の提供」を、チーム全体の能力として習慣化するには、組織的な取り組みが必要である。
これを個人任せにすると、成果は限られた人材に依存してしまい、チーム全体の成長が阻害される。
目標達成チームと未達チームの違い
営業1万人調査によると、目標未達チームは「効果的な取り組みがない」との回答が51.3%に達し、目標達成チームの18.2%と比較して約3倍の差があった。
この差を生む要因は、以下の通りである。
教育プログラムの欠如
適切なトレーニングがないことで、レスポンスや情報提供の質が低下する。
営業ツールの不足
お客様への迅速な対応に必要な資料やデータが整備されていない。
製品知識の共有不足
チーム内で製品情報や成功事例が共有されず、個々の営業が孤立している。
お役立ち資料は「商品の理解ギャップ」を埋めるために送る
お客様が求める情報の優先順位
営業1万人調査の結果、お客様が喜ぶ情報のトップ3は以下の通りである。
商品・サービスの機能や特徴
回答割合: 1位20.1%、2位15.2%、3位10.7%
商品がどのように課題を解決するか具体的な情報が求められている。
商品・サービスの料金プラン詳細
回答割合: 1位16.2%、2位14.5%、3位10.8%
価格設定やプラン内容の透明性が意思決定に影響する。
商品・サービスの導入実績や事例
回答割合: 1位14.2%、2位13.5%、3位12.5%
他社の成功事例が、購入後のイメージを形成する。
この結果から、お客様が実際に求めているのは、「売り込み」ではなく、商品の理解を深めるための具体的な情報であることがわかる。
理解ギャップを埋める情報提供の重要性
営業側がすでに商品説明をしているつもりでも、お客様の理解が十分でないケースは多い。
お客様は意思決定に必要な情報を得られていないことがある。
理解不足が原因で、検討が進まず「忙しさの仮面」を外せない状態になる。
特に、お客様は「ハズレ営業による過剰な売り込み」を恐れて、積極的に情報をリクエストしない傾向があるため、営業側からの適切な情報提供が不可欠である。
「売り込み感のない情報」から始める戦略的な情報提供
売り込み感を避ける情報提供の重要性
お客様は商品・サービスの情報を求めているが、売り込みに対する防御反応が強い。
そのため、以下のステップを踏むことで「忙しさの仮面」を外し、商品情報への理解を深めてもらうことができる。
売り込み感のない有益情報を先に送る
例: 客観的なデータを含む調査レポート、業界トレンド、購買担当者向けガイドなど。
価値を感じてもらったら、徐々に商品・サービス情報へ移行
お客様が自発的に興味を示すようになれば、具体的な情報提供のタイミングとなる。
売り込み感のない情報の例
調査結果によると、お客様が喜ぶ「売り込み感のない情報」には次のようなものがある。
1. 客観的なデータの入った調査レポート
売り込みではなく事実に基づく情報提供。
お客様の社内で回覧され、自社の信頼度向上につながる可能性がある。
例: 業界全体の動向、マーケットシェア、顧客満足度の調査データ。
2. 基本ガイドや業界トレンドの解説
お客様が知識を深められる汎用的な資料。
例: 「初めての〇〇導入ガイド」「2024年注目の業界キーワード」。
3. 上級者向けの専門ガイド
お客様のレベルに合わせた高度なコンテンツ。
例: 「〇〇業界の最新技術解説」や「先進企業の成功事例集」。
商品・サービス情報提供時の「5C」フレームワーク
情報を戦略的に提供するため、「5C」の観点を取り入れる。
Customer(お客様)
お客様の状況、検討段階、課題を理解し、適切な情報を選択する。
例: 検討初期には業界トレンド、中期には成功事例、最終段階では料金プランを提示。
Company(自社)
自社の強みや独自性を生かした情報を送る。
例: 自社にしかないノウハウやネットワークを活用した提案資料。
Competitor(競合)
競合が持っていないが自社が持つ価値ある情報を提供。
例: 競合の欠点を補う具体的な解決策の提示。
Competitor of Customer(お客様にとっての競合)
お客様が競合としてベンチマークしている企業の動向や事例を提供。
例: 「競合A社ではこのように課題を解決しています。」
Customer of Customer(お客様のお客様)
お客様がターゲットとする市場や顧客の動向をリサーチし、関連情報を送る。
例: 「御社の顧客層であるB2C市場での最近のトレンドは〇〇です。」
情報提供のステップと工夫
最初に価値ある有益情報を送る
売り込み感のない情報で信頼を得る。
例: 「先日発表された業界レポートをまとめましたのでお送りします。」
徐々に商品・サービス情報へ移行
初期段階で得た信頼をもとに、商品・サービス情報を提供する。
例: 「この情報をもとに弊社製品の活用方法をご提案できます。」
送る情報をカスタマイズ
お客様の興味や状況に合わせた内容を作成。
例: 「御社の課題解決に役立つ具体的な事例を添付しました。」
情報提供の効果
信頼関係の構築: 売り込み感がなく、お客様が興味を持てる情報を送ることで、信頼を得られる。
購買プロセスの進展: お客様が必要とする情報を的確に提供することで、検討をスムーズに進められる。
競合との差別化: 自社の強みや独自性を意識した情報提供で、競合との差を明確にする。
「5C」を活用しながら、お客様に寄り添った情報提供を行うことで、売り込み感を抑えつつ価値を伝える戦略的な営業を実現できる。
「あなたのために」を強調したカスタマイズメールの重要性
テンプレート的な営業メールの限界
いくら有益な内容でも、通り一遍のテンプレートメールでは、お客様にスルーされる可能性が高い。
特に「忙しさの仮面」をつけたお客様は、汎用的なメールには目を留めにくい。
例: 「ご検討状況はいかがでしょうか?」というメールは、返信を促しにくい。
汎用的な表現では、「自分に特化した内容ではない」と判断されやすい。
カスタマイズ性を強調したメールの特徴
「あなたのための情報です」と感じさせるメールを作成することで、返信率や関心が大幅に向上する。
以下の要素を組み込むことで、個別性を高めることが可能。
1. お客様の状況やキーワードを取り入れる
前回の商談やお客様の発言を基に、具体的な文脈を盛り込む。
例:
NG例: 「ご検討状況はいかがでしょうか?」
OK例: 「先日○○様が『△△』とおっしゃっていましたので、それに関連する資料をお送りします。」
2. お客様の課題解決に直結する内容を示す
メールの中で、お客様の具体的なニーズや課題に応える情報を提供する。
例:
「以前伺った△△の課題に対して、新たな解決策の事例を見つけました。」
3. 個別対応をアピール
一般的な情報ではなく、「そのお客様のために用意した」ことを強調する。
例:
「この資料は○○様の業界特化型のレポートを参考にしています。」
カスタマイズメールの活用例
以下に、具体的なメールのカスタマイズ例を示す。
商談フォローの場合
NG例:
「ご提案させていただいた内容について、進捗状況をお聞かせください。」OK例:
「先日ご提案した△△について、役員会議でご検討されるとお聞きしました。参考になりそうな事例資料を添付しましたので、ご確認いただけますと幸いです。」
イベント案内の場合
NG例:
「来月イベントを開催します。ご興味がありましたらご参加ください。」OK例:
「以前○○様がお話しされていた△△の課題について、解決事例を紹介するセッションを含むイベントを開催します。ぜひご参加をご検討ください。」
関係構築の鍵は「接触回数」「早いレスポンス」「正直さ」
関係構築に影響する重要要素
営業1万人調査の結果、お客様との関係構築において特に重要視される要素は以下の通りである。
対面商談の回数
「大いに影響がある」回答率: 36.0%
実際に会うことで信頼を築き、商談内容への理解が深まる。
質問や要望への素早い対応(クイックレスポンス)
「大いに影響がある」回答率: 34.4%
対面とほぼ同じ割合で、お客様が重要視している要素。
「早いレスポンス」がもたらす効果
早いレスポンスが対面商談と同等の重要性を持つ理由は、以下の通りである。
信頼感の醸成
即座の対応は「お客様のために迅速に動いている」という姿勢を示す。
例: お客様からのメールや電話にすぐ返信することで安心感を与える。
「忙しさの仮面」を外す
お客様は返信が遅いと「この営業は対応力が低い」と判断し、距離を置きがち。
迅速な応答は、お客様の警戒心を取り除き、コミュニケーションのきっかけを作る。
クイックレスポンスを実現する工夫
レスポンスの早さを営業の習慣にするためには、以下の取り組みが必要である。
1. 業務効率化の仕組みづくり
質問や要望にすぐ答えられるよう、以下を整備する。
製品情報やFAQを集約したデータベース。
テンプレート化された返信フォーマット。
2. 優先順位の明確化
緊急性や重要度に応じて対応をスピードアップする。
例: 「1時間以内に返信が必要な案件」「翌営業日までに対応する案件」といった分類。
3. チームでの連携
個人ではなくチームで迅速な対応を支援。
例: 別のメンバーが即時対応できるよう、問い合わせ内容を共有。
対面商談とクイックレスポンスの相乗効果
対面商談と早いレスポンスの双方を組み合わせることで、より強固な関係構築が可能になる。
対面商談の後に迅速なフォローを実施
対面で話した内容について、すぐに補足資料を送る。
例: 「本日お話しした内容に関する追加資料をお送りします。」
迅速な対応から対面商談につなげる
クイックレスポンスによって信頼を得た後、対面での商談機会を作る。
例: 「いただいた質問に関して詳しくお話しできればと思います。一度お会いできる日程をご調整いただけますか?」
正直さも関係構築に必要な要素
早いレスポンスや接触回数だけでなく、正直で誠実な対応も重要である。
曖昧な回答を避ける
わからないことは「確認後にお答えします」と正直に伝える。
過剰な売り込みをしない
お客様に寄り添い、必要な情報だけを提供する。
関係構築の成功例
調査結果から示された「対面商談」と「早いレスポンス」を活用した成功例を以下に挙げる。
成功例1:
初回訪問後、お客様が疑問を持っていた項目について即日資料を送付。
→ 「この営業は話をよく理解している」と信頼感を獲得。成功例2:
質問に迅速かつ的確に回答した後、対面での提案機会を得る。
→ 「この営業なら話を進めてみよう」と次のステップへ進展。
クイックレスポンスを活用した関係構築のすすめ
「対面商談」と「早いレスポンス」を柱に、正直な姿勢で接することで、
お客様との信頼を築き、「忙しさの仮面」を外すことができる。
これにより、商談機会や提案成功率が飛躍的に向上するだろう。
「本音で正直なコミュニケーション」に持ち込む方法
お客様が求める3つの要素
営業1万人調査で、「関係構築に大いに影響がある」と答えた上位3項目は以下の通りである。
対面商談での接触回数(36.0%)
実際に会うことで信頼が深まる。
質問や要望への早いレスポンス(34.4%)
クイックレスポンスが対面とほぼ同等に重要と評価される。
本音で正直な話(33.4%)
正直さが伝わることで、お客様の信頼を得られる。
本音ベースのコミュニケーションに至るステップ
「本音で正直なコミュニケーション」を実現するには、お客様の「忙しさの仮面」を外すことが不可欠である。以下の順序で進めるのが効果的。
1. 価値の根拠を示してアポイントを獲得
「課題解決力」「費用対効果」「クイックレスポンス」の3要素を駆使し、お客様に信頼される理由を明確にする。
例: 「先日伺った課題に関連する費用対効果の事例をまとめましたので、ご覧いただけますと幸いです。」
2. 対面での商談で関係を構築
対面での接触を増やし、お客様に「この営業は信頼できる」と感じてもらう。
例: 「お時間をいただければ、さらに具体的なご提案をお持ちします。」
3. 本音での正直な会話を実現
お客様との信頼関係が深まった段階で、誠実かつ正直にコミュニケーションを行う。
例: 「正直に申し上げますと、この点については現状改善の余地がございます。ただ、他社よりも優れている点は……」
組織としての取り組みの重要性
個人の努力だけで「課題解決力」「費用対効果」「クイックレスポンス」をすべて実現するのは難しい。これを支える組織的な施策が必要である。
1. データベースの構築
お客様からの質問や要望、成功事例、費用対効果のデータを集約したデータベースを作成。
営業担当者が迅速に回答できる仕組みを整備。
2. トレーニングの実施
メールや対面での応対スキルを向上させるための定期的なトレーニングを行う。
例: 効果的な返信例やカスタマイズされた提案書の作り方。
3. 社内サポート体制の構築
営業が質問や要望を社内のチャットや共有ツールに投げると、即座にアドバイスが得られる体制を構築。
チームでの対応力を高め、属人的な負担を軽減。
「忙しさの仮面」を外すための組織の役割
営業現場での課題を解消し、お客様と信頼関係を築くには、以下のような組織的なサポートが不可欠。
迅速な情報提供を可能にする環境
営業が即時に回答を出せる体制を整備。
成功事例やノウハウの共有
ハイパフォーマーの事例を共有し、全員のスキル向上を図る。
負担を分散する仕組み
チームでタスクを分担し、営業担当者の負担を軽減。
真摯な姿勢を磨く重要性
組織的な支援に加え、営業個人も「人として真摯に向き合う」姿勢を持ち続ける必要がある。
お客様の話を丁寧に聞く
誠実で正直な対応を徹底する
常に相手に価値を提供する意識を持つ
「本音ベースのコミュニケーション」を活用した成功例
成功例1:
お客様からの要望に対して迅速に対応し、次回商談時に改善点を明確に提示。
→ 「この営業は真摯に自社の課題を理解している」と評価される。成功例2:
初回商談での課題を正直に共有しつつ、具体的な改善策を提案。
→ お客様の信頼を得て、継続的な関係につながる。
正直なコミュニケーションが関係構築のカギ
「忙しさの仮面」を外すために必要な段階を経て、最終的に「本音ベースの正直なコミュニケーション」を実現することが営業成功の要である。
信頼を勝ち取り、長期的な関係を構築するために、組織と個人の両面で取り組むことが求められる。
第4章まとめ
「忙しさの仮面」をつけたお客様は、「忙しい」「時間がない」を理由に、営業とのコミュニケーションを避けようとします。
単にお願いを繰り返す「拝み倒し」では、お客様の興味を引くことはできず、「資料だけください」と冷たく切り上げられるだけです。
「忙しさの仮面」の本音
「忙しさの仮面」の裏には、「レベルの低い営業に時間を使いたくない」という本音があります。
お客様が「もう一度会いたい」と思える営業は6人に1人程度の割合であり、大半の営業は「ハズレかもしれない」と思われています。
しかし、実力のある営業であれば、時間を割いて話を聞きたいというのが、お客様の本音です。
「忙しさの仮面」を外す鍵
「忙しさの仮面」を外してもらうために必要なのは、価値の根拠を示すことです。
課題解決力や費用対効果を早いレスポンスと共に伝えることで、お客様に「時間を使う価値がある」と思わせることが重要です。
ハイパフォーマー営業の特徴
調査によれば、ハイパフォーマーも「真面目で誠実」であり、こまめな連絡や訪問、雑談、傾聴などを実践しています。
ただし、彼らがローパフォーマーと異なるのは、幅広い武器を持っている点です。
「忙しさの仮面」を外すためのキーワード
ハイパフォーマーが活用する具体的なアプローチは以下の通りです。
目の前のお客様にひもづけた課題解決の道筋
お客様の具体的な状況に合わせた提案を行う。
根拠を備えた費用対効果の提示
数値や実績をもとに、明確な価値を示す。
お客様の質問や要望に対するクイックレスポンス
即時対応で信頼を得る。
資料や時間配分において抜かりのない事前準備
商談の進行をスムーズにし、満足度を高める。
お客様の文脈に合わせた商品紹介
テンプレートではなく、個別対応の内容で商品を説明。
商品の理解ギャップを埋めるお役立ち情報
お客様が商品を正確に理解できるよう、適切な資料を提供する。
売り込み感のない情報提供をするための「5つのC」
お客様に響く戦略的な情報提供を行う。
「本音で正直なやりとり」に持ち込む関係構築の順番
まず価値を示し、次に信頼関係を深めるステップを踏む。
結論
「忙しさの仮面」を外すためには、「真面目で誠実」であるだけでなく、幅広い武器を活用して、お客様に価値を伝えることが不可欠です。
課題解決力・費用対効果・クイックレスポンスを基軸にしたアプローチを実践することで、商談の成功率を高めることができます。