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【備忘録】人を活かす-カードタイムトライアル: 成果を生み出す組織の条件: 実践!チームマネジメント研修② 人を育て、人を活かす 実践シリーズ
成果を生み出す組織の条件
チームマネジメントの重要性
今回の研修テーマは、組織やチームで成果を出すための方法に焦点を当てている。 役職の有無にかかわらず、人と協力する仕事において「動かす側」に立つためには何が必要かを学ぶ機会である。 研修の目的は、受講者自身が自分のチームと照らし合わせ、現状を評価し、今後の課題を設定することだ。
事例:カード・タイムトライアル
日向講師は、参加者にトランプを配り、簡単なワークを行うことを伝えた。 各チームに一人ずつ「上司役」が必要となり、その役割はあまり得な役回りであり、ストレスがかかる可能性がある。 上司役は、作業の内容を口頭で説明し、部下役に指示を与える必要がある。 このワークでは、スピードが求められ、上司役が口頭で部下に指示を出す中で、いかに迅速に作業を完了させるかが鍵となる。
ワークの進行
1回目の作戦タイムでは、上司役は口頭のみで作業内容を説明することが求められる。 部下役は、発言や反応を控え、上司の指示に従うことが指示されている。 2回目以降の作戦タイムでは、部下役も発言や反応が解禁され、チーム全体で効率的なやり方を議論し、改善を図ることが可能となる。
上司役と部下役の役割分担
上司役は、与えられた指示を基に作業の進め方を考え、部下役に口頭で伝える。 この過程で上司役は、作業の手順や役割分担を考える必要があるが、部下役は無反応で従うのみ。 特に1回目のゲームは、上司役にとって負担が大きく、正確かつ迅速な指示が求められる。
ワークの目的
このワークは、上司役と部下役の役割を体験し、組織内でのコミュニケーションの重要性や、チームの成果を最大化するための方法を学ぶことを目的としている。 最終的には、反応のない状況でも的確な指示を出せるか、またそれに従うことでチームとしてどのように成果を出すかを体験する。
ゲームの進行
各回、トランプを使った作業が行われ、上司役が指示を出し、部下役がそれに従う。 ゲームはスピードを重視し、最も早く作業を終えたチームが勝者となる。 3回にわたって同じ作業が行われるが、作戦タイムごとに反応や発言が許可され、チームとしての改善が求められる。
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ゲームのタイム計測基準
講師は、ゲームのタイム計測における重要な基準を説明した。
タイムを記入する条件は次の三つである。
一つ目は、机の上で作業が完了していること。 二つ目は、誰かがホワイトボードの前に到達していること。 三つ目は、ホワイトボードマーカーを手に取っていること。
この三つの条件がすべて揃った時点で、スクリーン上のタイムを確認し、そのタイムをホワイトボードに書き込むよう指示された。
タイムを記入する際には、作業が完了した瞬間や移動中に確認したタイムではなく、条件を満たした上で記録することが求められる。
ゲームの進行と作戦タイム
日向講師は、部下役にトランプを箱から出し、54枚揃っているか確認するよう指示した。ジョーカー2枚を含む全てのカードが必要で、もし予備の白紙カードがあれば箱に戻すよう指示された。カードの確認が終わると、部下役は雑談をしながらカードをシャッフルすることが推奨された。日向講師は、部下役はこれからしばらく喋れないため、ストレス発散のために会話を楽しむよう促した。
その後、5分間の作戦タイムが開始され、上司役は指示書に基づき作業内容を説明する時間が与えられた。部下役は無表情・無反応でその説明を聞くように指示された。上司役の真木は、トランプをシャッフルした状態から、特定の順番で並べ替える作業を指示したが、その説明は部下役にとってわかりにくいものであった。反応できない部下役は、ただ黙って説明を聞くしかなかった。
1回目のゲーム開始
作戦タイムが終了し、ゲームが始まった。真木はカードを3人に分け、指示通りにカードを順にテーブルの真ん中に出すよう指示を出した。カードを出すたびに真木は確認を行い、その手順は非常に効率が悪く、部下役は内心イライラしながら作業を進めたが、口に出すことはできなかった。
ゲームが進む中で、全チームの作業が完了し、日向講師は「しゃべってもいいですよ」と部下役に声をかけた。
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アウトプットの確認と2回目のゲームの準備
日向講師は、参加者にアウトプットの確認を促した。インストラクション通りに正しく作業が行われていれば、ジョーカーが一番上にあり、一番下にはクローバーのエースが見えるはずである。そして、エースから始まり、カードがクローバー、スペード、ハート、ダイヤの順で積み重ねられているか確認する必要がある。全てが正しく積み上げられていれば、クィーン、キング、そしてジョーカー2枚が最後に配置されていることが確認できる。
アウトプットの確認が終わると、次のゲームの準備に入った。日向講師は、「2回目のゲームは多くの人が本気になる」と指摘し、2回目のゲームではトランプのシャッフルがより重要になることを強調した。シャッフルが不十分な場合、カードがしっかり混ざらないため、麻雀の要領でテーブルの上でカードをかき回し、その後、近隣のチームとカードを交換するよう指示された。
2回目のゲームの開始
ゲームが再開されると、真木はテーブルの上にカードを散らばらせようとしたが、うまく広げられなかった。カードが重なってしまったため、佐藤が手を貸して広げると、真木はクローバーのカードを集め始めた。オレも早めにダイヤのカードを集め終えたので、他のチームメンバーにカードを投げて助けた。
ゲームが進む中、真木が「1、1、1、1!」と言いながらカードを出し、スムーズに作業が進行していた。しかし、オレがダイヤのカードを出そうとしたとき、トランプが机の端の溝に引っかかり、跳ね上がった。トランプはテーブルの下に落ち、オレはそれを拾い上げようとして、テーブルの端に頭をぶつけてしまった。
暫定記録の確認と情報提供
日向講師は、ここまでの暫定記録を発表した。現時点で1位は6班の1分3秒、続いて4班が1分14秒、1班が1分18秒となっている。全体的に1回目よりもタイムが大幅に上昇していることが確認された。
次に、3回目の作戦タイムに進む前に、参考となる情報を提供した。
一つ目は、これまで1500チームが挑戦してきたデータであり、最高記録は31秒だということ。この記録は大手化学品メーカー系列のエンジニアリング会社によって達成された。
二つ目は、標準記録が57秒から58秒であるという情報で、1分を切るタイムではあまり自慢にならないことを強調した。
また、3回目の作戦タイムでは、トランプを実際に使いながら作戦を練ることを推奨し、時間内に何度か練習することが可能であるとアドバイスした。
3回目の作戦タイムの開始
3回目の作戦タイムが始まると、真木は現在のやり方では31秒には到底届かないと感じ、思い切ってやり方を大幅に変更する必要があると提案した。これに対して、新しい提案が出された。
数字別担当制というアイデアで、真木が1から3、他のメンバーがそれぞれ4から13とジョーカーを担当し、手元でカードを順に積み重ねていく方法である。この方法では、各メンバーが個別に作業を進めるため、これまでのマーク別担当制に比べて効率が良くなる可能性があると期待された。
3回目のゲームの開始と混乱
ゲーム開始の合図「位置について、よーい、ドン!」がかかると、チーム内で混乱が生じた。佐藤が「僕が7から10でしたよね?」と確認したが、担当がはっきりせず、作業が進まなかった。そこで真木が「やめやめ。ストップ!」とゲームを中断し、数字別担当制は混乱を招くとして、再びマーク別担当制に戻すことに決めた。
最後のゲームの再開
再びシャッフルして、他のテーブルとカードを交換した後、「位置について、よーい、ドン!」の合図で3回目のゲームが再開された。しかし、チームはお見合い状態に陥り、誰も作業を開始できなかった。佐藤に声をかけることでようやく作業が進み始めたが、どの段階まで戻すかが決まっておらず、再びパニックに陥った。
オレは自分の担当を忘れ、「あれ? オレ、なんだっけ?」と混乱し、夏海に「ダイヤです!」と厳しい声で指摘される場面があった。気合いだけが空回りし、結局チームのタイムは1分24秒に落ち込み、他のチームが順調にタイムを伸ばす中、最下位に転落してしまった。
成果を生み出す組織の条件
講師は、冒頭で「成果を生み出す組織の条件」を体験するために行われたゲームについて説明した。
具体的には、講師がこれまで関わってきた高い成果を上げる組織に共通する三つの条件を、ゲームに織り込んでいると述べている。
ゲームの構成
3回のゲームは、以下のように設計されていた。
1回目のゲーム
すべての成果条件を封じ込めた、最も成果が出にくい環境を再現したもの。2回目のゲーム
成果を生み出す条件の一部を満たした環境で行われた。3回目のゲーム
成果を生み出す組織の条件をすべて織り込んだ環境で実施された。
通常、ゲームの進行に従って、1回目よりも2回目、2回目よりも3回目のタイムが改善していくとされる。
3回目のゲームでのタイム変動
講師は、通常3回目のゲームでは一部のチームがタイムを落とすことが一般的なパターンであると指摘した。
このタイム変動は、成果を生み出す組織の条件を理解する上で重要なメカニズムであるため、タイムを落とすチームが出ることが講義の理解を深めるうえで不可欠である。
今日の講義でも、4班がタイムを落としたことは、他のチームにとっても重要な学びを提供しているとし、感謝の意を示した。
振り返りの演習
講義の後、各グループでゲームの振り返りを行うことが指示された。
テーブルの上に模造紙とマジックが用意されており、以下の手順で振り返りを進めることが求められた。
模造紙を横に使い、真ん中に線を引く。
左側に「1回目→2回目」、右側に「2回目→3回目」と見出しをつける。
この振り返りを通して、グループごとのゲーム結果を分析し、成果を生み出す組織の条件に対する理解を深めることが期待された。
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振り返りの演習
講師は、各チームに対して、1回目から2回目、2回目から3回目のタイムの変動について振り返るよう指示を出した。
特に、4班は2回目から3回目でタイムが落ちた原因について振り返り、原因を箇条書きで書き出すよう求めた。
作業中は、日常の職場環境や成果を生み出す条件については考えず、純粋にゲームの勝因・敗因に焦点を当てることが強調された。
1回目から2回目の振り返り
まず、1回目から2回目にかけてタイムが上がった原因について、各チームが意見を出し合った。
意思疎通ができたこと
社長が最初に「意思疎通ができた」と指摘し、議論が進む。説明の仕方に関係なく、意見や質問を交わしながら理解が深まったことが要因であると確認された。目的と仕上がりのイメージができた
夏海は、目的や仕上がりの状態がゲーム終了後に初めて明確になったことを指摘。これが、次のゲームに向けた準備に大きく寄与した。作業に慣れた
実際にやってみたことで、トランプをめくる手つきや選び方など、感覚的に慣れることができた。これにより、タイムが短縮されたと考えられた。やり方の改善
実際に体験したことで、やりにくい部分に気づき、やり方を改善することができた。また、役割分担がスムーズに行われるようになったこともタイム向上に寄与した。
この振り返りを通じて、次のゲームにおける改善点が明確になった。
2回目から3回目の振り返り
続いて、2回目から3回目でタイムが落ちた原因について議論が行われた。
やり方を大きく変えたこと
チームは大きくやり方を変えようと試みたが、結果として時間が足りなくなり、タイムが悪化する原因となった。作戦タイムの不足
作戦タイムの5分間があっという間に過ぎ、急いで元のやり方に戻したが、再確認が不足していた。このため、元のやり方が混乱を招いた。元のやり方を忘れた
別のやり方を考えるのに時間を使ったことで、元のやり方を一部忘れてしまい、作業がスムーズに進まなかった。
このように、やり方を大きく変更し、確認不足が生じたことが、タイムを落とす原因となったと結論づけられた。
グループ間での共有
講師は、各チームがまとめた内容を他のグループと共有するよう促した。発表形式ではなく、自由に歩き回って他のテーブルの模造紙を確認し、重要だと感じた箇所に赤いマジックでビックリマークをつける形式である。
他チームの模造紙
オレは、真木と一緒に1位のチームの模造紙に向かった。1位のチームは42秒というタイムを記録しており、30秒台には達していないものの、非常に速い記録を残していた。
模造紙の内容を見てみると、オレたちのチームと大きな違いは無く、『問題を改善した』『更に練習を重ねた』というシンプルな内容が目立った。特に目新しい点は少なかったが、真木は『机の上をキレイに片付けた』『立ち上がって作業した』『カードを出すタイミングを声で合わせた』という点にビックリマークをつけた。
さらに、チームは『担当を紙に書いて表示した』という工夫も行っていた。クローバーやスペード、ハート、ダイヤを色分けした紙がテーブルの横に置かれており、このような小さな工夫が成功の鍵だったのかもしれないと感じた。
反省と疑問
他チームの模造紙を確認した後、夏海と佐藤も戻ってきた。夏海は「他のチームの模造紙と比べて、何がいけなかったのかがよくわかる」と述べ、佐藤は「ただ練習を重ねるだけだと、『成果を生み出す組織の条件』というテーマには違和感がある」と指摘した。
佐藤の疑問は、地味な努力を積み重ねるだけで成果を生み出せるのかという点だった。オレもこの結果から講師がどのように「成果を生み出す組織の条件」を説明するのか、興味が湧いてきた。