漢方勉強ノート(1)田七人参(でんしちにんじん)
田七人参に含まれる「パナキサトリオール」
漢方勉強ノートで最初に取り上げるのは「田七人参(でんしちにんじん)」です。
この「田七人参」は、健康マニアの間ではかなり有名で、知っている人は名前を聞いただけで「あ、田七人参てすごいんだよね」なんて反応が返ってきます。
少し調べると成分についての研究などがたくさんでてきますので、すべての成分の解説やその機序(成分がはたらくメカニズム)は割愛します。
この漢方勉強ノートで取り上げたいのは、田七人参に含まれる「パナキサトリオール」という成分です。
僕が田七人参が含まれるサプリメントを服用するようになって感じた変化のいくつかは、この「パナキサトリオール」の働きによるものではないかと考えています。
今回は、この「パナキサトリオール」が血中の糖に働きかけるメカニズムを「インスリン」の働きと比較して掘り下げることにしてみます。
やっぱり「腹八分目」がいいらしい
「白米より玄米、精製された小麦粉を使ったパンより全粒粉のパンがいい」とか「ダイエットには野菜を先に食べるとよい」と言われるのは、すべて「血糖値」が関係しています。
食事の後に急激に血糖値があがると、膵臓から「インスリン」が分泌されて、血糖値を下げようとします。
人間の身体は、血糖値を上げるホルモンが「アドレナリン」「ノルアドレナリン」や「コルチゾール」「成長ホルモン」など複数あるのに対し、血糖値を下げるホルモンは「インスリン」だけのため、血糖値を下げることは、(その働きを担うのが膵臓だけなので)身体に負担をかけることにもつながります。
昔から「腹八分目」がよいとされるのは、血糖値を上げないような食生活を心がけることで、身体の負担を減らす知恵でもあったのです。
太りやすくなってしまう理由
血糖値が高い状態が長期間にわたって続くと「血液が酸素や栄養を運べなくなる」といったことや「インスリンを分泌する機能が衰える」というように、身体の機能維持そのものに影響がではじめます。
必要なインスリンが自分で分泌できない状態が「糖尿病」で、血糖値を下げるためにインスリンの注射を打ち、血糖値のコントロールをしなくてはいけなくなります。
さて、このインスリンの働きはご存知でしょうか。血中の糖はどこへ行くのでしょうか。もちろん、分解して溶けて消えてなくなるわけではありません。実は、血中の糖を脂肪に合成することで、血糖値を下げているのです。
インスリンは糖(グルコース)を中性脂肪に合成し脂肪組織に蓄えます。また、脂肪を合成させる酵素の量を増やす作用もあります。
つまり、血糖値が高くなりやすい食生活をしているとインスリンが分泌される頻度が増え「脂肪が大きくなりやすい」「血中の糖が脂肪になりやすい」という状態になってしまうのです。
筋肉の質を良くする作用を持つ植物種の研究
一方、人間の身体は血中の糖を筋肉に取り込む仕組みがあります。それが「骨格筋細胞に糖を取り込むメカニズム」です。
筋肉は収縮のためのエネルギー源を「(糖の一種である)筋グリコーゲン」として蓄えています。体内のグリコーゲンの8割強がこの筋グリコーゲンです。
運動によって筋グリコーゲンが消費されると、筋肉への糖を取り込むスイッチが入り、血中の糖が消費されます。いわゆる「スタミナ」は、この筋グリコーゲンの量や取り込む経路の活性度合いが関係しています。
さて、やっと本題です。田七人参に含まれる「パナキサトリオール」は、血中の糖を筋肉への取り込む際、その経路を活性化し、糖の取り込みが増進する働きがあることが研究によってわかっています。
LION田七人参研究によれば「筋肉の質を良くする作用を持つ植物種の研究の取り組みで、1000種類以上の植物を探索し、最も高い効果が認められた」とあります。
まとめ
先の「インスリン」と「パナキサトリオール」とを比べると「血中の糖の脂肪への合成を増進するのがインスリン」「血中の糖の筋肉への取り込みを増進するパナキサトリオール」ということになります。
パナキサトリオールによって(筋肉へ糖を取り込む作用が亢進し)血糖値の上昇が抑制されやすい状態になる。筋グリコーゲンの合成が促進されることでスタミナが持続する。ことが考えられます。
また、これによって、インスリン分泌の負荷が軽減するとともに、血糖値の状態がよくなることにより、血液の状態が改善し、全身に酸素と栄養を運ぶことができるようになるともいえます。
サプリメントを摂ってスタミナがついた、疲れにくくなった、肌のくすみが改善した、お腹周りがスッキリしたという感覚は、すべてこの「パナキサトリオール」の働きによって説明できるなと思いました。
参考記事
”高い糖代謝機能を持つ「パナキサトリオール」の研究”LION田七人参研究
*本記事は田七人参の成分「パナキサトリオール」についての考察です。特定の疾病の予防や治療の効果を目的とした記事ではありません。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?