1-2弁が立つからなめられる
塾長:薩摩人の間では「沈黙が倫理」とされていた。下野する西郷隆盛と大久保利通との最後の対面は、薩摩人の「沈黙」をよく表している名場面といえるだろうね。
西郷はしばらくだまってすわっていた。こういう場合の沈黙に耐えるのは薩摩人の特徴であるが、その点において大久保のほうがむしろ深刻な耐久力があるといえる。大久保は背筋をのばしたまま黙っている。〔翔ぶが如く〕
『翔ぶが如く』の主人公候補だった村田新八は典型的な薩摩人で、〈軽忽な男ではなかった。無口で、動作に陰翳があり、物を問い