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牛肉と牛乳はセットで食べよう ~栃木開拓農業協同組合 学習会~

 7/25(木)に、栃木開拓農業協同組合の神山雅如(カミヤマ マサユキ)さんと斎藤慶太(サイトウ ケイタ)さんをお招きし、オルタ館で栃木開拓牛、ほうきね牛の学習会を開きました。
 栃木開拓農協とは肉牛・肉豚・野菜を中心に生産している組合です。同組合のイソシンファームと佐藤農場が牛肉の肥育をしています。

左から栃木開拓農業協同組合の斎藤さん、神山さん

 学習会に参加した組合員お2人が当日の内容を紹介します!

~横浜みなみ 下山田麻純さんより~

 生産者さんから直接お話を聞き、対話ができる交流会は生活クラブの魅力です。今回、学習会のテーマである栃木開拓牛肉は牛乳と深く関係があるのはご存知でしょうか?

 牛さんは牛乳を作る為にはお腹の中で子牛を育てなければいけません。産まれた子牛が雌牛であればまた乳牛として育てられますが、雄牛だとどうでしょう?
 雄牛は畜肉として20カ月大切に育てられて、消費材となります。しかし、20ヶ月で出荷ができない牛さんは21ヶ月、22ヶ月…と出荷期間が延長され、余分なコストが生産者さんを圧迫しています。飼料価格の高騰も重なり、大ピンチです。

 栃木開拓農業協同組合では、牛さんに与えている飼料にもとことんこだわっています。
・遺伝子組み換えでないNON-GM飼料を使用(牛さんの為に稲まで自家栽培)
・抗生物質やホルモン剤不使用
・飼料にお米も食べさせている

 NON-GMの飼料の調達は、やめたら二度と手に入らないほど貴重とのこと。国産飼料へのこだわりから飼料用とうもろこしの栽培まで2023年2月より取り組まれています。
 
 そしてみなさん、生活クラブの牛乳も飲んでいますか?甘みとコクがあってとっても美味しいですよね。私も毎週予約をしています。
 牛乳を飲むことと牛肉はセットで利用していただきたいですが、約束して育ててもらっている量を食べきれていないのが現状です。貴重な牛肉と乳牛を、途絶えさせてはいけないと強く思いました。
 デポーには毎月2回、栃木の牛肉が入荷します。ネットで『◯◯デポー』と検索すると入荷の日程表を確認できます。デポーでしか手に入らない「栃木開拓牛」と「ほうきね牛」を、ぜひ手に取って牛乳と一緒に利用してください。

~横浜北 木下 京さんより~

 みなさんは栃木開拓牛やほうきね牛がどんな牛なのかご存知ですか?どちらもデポーでのみ取り扱っているため、デポー組合員の皆さんはよくご存知かも知れませんが、配達の組合員である私には馴染みが薄く、名前は聞いたことはあっても違いは分かっていませんでした。

『栃木開拓牛』
父牛・母牛の両方がホルスタイン種を交配させた牛
で、雄牛のみが栃木開拓牛となります。(メスは乳牛になるため)。脂肪が少なく赤身肉で噛めば噛むほど美味しさが広がります。

『ほうきね牛』
父牛が黒毛和種(いわゆる“和牛“)・母牛がホルスタイン種を交配させています。和牛と交配させていることもあり、程よい霜降りで口の中でとろける様な食感です。

 2つの牛は異父兄弟ということになります。

 私たちは『栃木開拓牛』の雄を食肉、雌を牛乳(お役目を終えた後は食肉)として、『ほうきね牛』は雄も雌も食肉としてとして利用しています。

 なぜ『ほうきね牛』が交雑種かというと、それはホルスタイン種の母牛を守るため。ホルスタイン種の子牛は大きく、出産時のリスクが大きくなります。そのため、初産では母牛のお産の負担を軽減するために、少し小柄で生まれる黒毛和種との交雑種の子牛を産ませています。そしてこの交雑種は牛乳には向いていないため、ほうきね牛の雌も雄と同じ肉牛として育てられます。

 一方の『栃木開拓牛』は、牛乳が出ない雄のホルスタイン種の命を無駄にすることがないように肉牛としています。これにより、牛乳と牛肉の「乳肉一貫」生産を確立しています。
 
 円安と物価高、エサ代の高騰の影響もあり、窮地に立たされている酪農。その中で特にこだわりを持って育ててくれている佐藤農場さんとイソシンファームさんには頭が上がりません。
 生活クラブのおいしい牛乳を飲み続けるためにも、その裏で生まれてきた『ほうきね牛』や『栃木開拓牛』の命も大切にいただき、今回の学習会で学んだこと、美味しい調理方法を持ち帰り、牛肉であれば利用、牛乳は予約に繋げていくことが生産者を守り、支えていくことだと思いました。

試食会も行いました

学習会終了後には、栃木開拓牛のおいしいステーキの焼き方を神山さんよりレクチャーしていただきました!

おいしいステーキの焼き方
①良く慣らしたフライパンを煙が出るまで熱します
②盛り付けの表になる方から強火で焼き、両面20~30秒焼きます(この時蓋を忘れずに)。
③レア→焼き上がり
ミディアム→レア焼き後、余熱で蒸らす、もしくは弱火で両面各10秒ほど焼く
ウェルダム→レア焼き後、弱火で両面各20~30秒焼く

ポイントは、高温・短時間で、むやみに動かさないこと。動かしてしまうと旨みが逃げてしまうそうです。

栃木開拓牛のステーキ、チンジャオロース、おかわかめとモロヘイヤのお浸し、
ししとう炒め、那須山麓米を実食しました!

 栃木開拓農業協同組合に参加する「グループみんなの未来」の野菜を使った料理も試食しました。グループみんなの未来は、栃木県内や九州、東京、埼玉、福島など全国から無農薬・有機農業をしたい農家さんが集まり結成されました。たい肥は牛糞などを使い、デポーや、あっぱれ・はればれ野菜セットの一部として取り組んでいます。

おわりに
 神山さんは「この栃木開拓牛やほうきね牛をつくっているのは佐藤農場とイソシンファームだけです。生活クラブでは価値を分かって食べてもらえていると感じます。ただ約束した量を出せていないのが現状です……。経営が圧迫していて、あと2、3年続けられるかというのが正直なところです。」とおっしゃっていました。
 生活クラブでは生産者との交流も通し、顔が見える関係で利用することができます。牛肉ができるまでに関わっている方の想い、そして生産背景を分かった上で、私たちは少しでも多く、食べ支えていくことで持続可能な生産と消費に取り組んでいきましょう!