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世界情勢コラム アメリカの選挙結果に関する不正疑惑

2021年6月6日、ニューヨークタイムズではトランプの側近が、選挙結果が操作された証拠を探し出すことに躍起になっていたことが記事になっている。前アメリカ大統領のトランプは選挙結果は不正だと主張した。この結果、暴徒が国会議事堂に押し寄せる事態にまで発展した。

そもそも選挙制度において、選挙を管理する者は信用できるのだろうか。これがこの問題の本質的な問いでもある。違う言い方をすれば、情報を管理し、それらを発表する立場にある者は、本当に信頼に値する行動をとっているのだろうか。ということである。

そもそも、権力とは何であろうか?権力とは財布を持っているもののことか?暴力を使用することが出来る者か?あるいは、他人のプライバシーを握る者のことか?生殺与奪の権利か?生殺与奪の権?そんなものが二度の世界大戦を乗り越えた世界で、依然として存在しているのだろうか?一体全体、権力とは何なのだろうか?

この問いに答えるのは難しい。そもそも答えのない問いだ。しかし、例えばどうだろう。自分の意思が書き換えられていたら?投票したはずの票が、システム会社によって書き換えられていたら。自分の意思が伝わっていなかったら。いつもは関係ないと思っていたはずのテクノロジーと情報管理の問題が、急に強面で目の前に現れる。

インターネット時代だ。ネット上で、その発言をした者が、本当にその者であるかどうか。どうやって確認を取る?実際、アカウントを乗っ取られて、心にもないことを発信されることだって十分にありうる。考えてみると恐ろしいことだ。どこかで誰かが自分のふりをして、悪事を働いているかもしれない。

トランプ側の主張はこうだ。イタリア人が軍事技術と衛生を使用して、選挙システムを遠隔操作して、選挙結果をドナルドトランプからジョーバイデンに書き換えたと。なるほど、もし、そんなことが出来るなら選挙結果なんかいくらでも書き換え可能だ。

しかし、何故イタリアが出てくるのだろうか?この陰謀説も入り組んでいて、判然としない。なんでも選挙管理システムのソフトウェア会社がイタリアにあるらしい。少し疑問なのは、自国の選挙を管理するのが、他国のソフトウェア会社というのは、何故なのだろうか。日本でもそんなもんなのだろうか。たしかに、我々の情報はAppleやGoogleに握られている。これはよくよく考えてみると、なんとなく妙な気分になることだ。

要は、誰も裏で何が起きているのか、わからない時代なのだ。いや、昔は、もっとわからなかったはずだ。権力の中枢に近いものが一体何をしているのか、結局、誰もわからないのだ。確かに企業でも似たようなことはある。我々のインターネット閲覧履歴や個人同士のやり取りを、管理側がまったく見ていないなんて、誰が証明できるのだろうか。

故意なのか事故なのか、それだって判断がつかない。手違いでデータを紛失したのか、意図的に消去したのか、あるいは他国から攻撃されたのか。選挙結果は操作されたのか、されていないのか。情報統制という問題になった時、真相は藪の中になる。

現代、アメリカでは陰謀説が盛んだ。陰謀説というのは、あらゆる事件や事象の背後には、スパイや権力者の策略が絡んでいるとする立場である。陰謀説にかかると、地震やツナミさえも軍事技術で発生させた兵器であるということになる。

今回の陰謀説も同じである。アメリカの選挙がイタリアによって外部から操作されている、よって選挙結果は不当である。というわけだ。この理論がインターネットで拡散して、アメリカの国会議事堂が襲撃されるに至った。

真偽の程は、わからない。あったのかもしれないし、なかったのかもしれない。もちろん、誰も可能性は否定できない。そうだ、可能性は誰にも否定できないから、陰謀説は強いわけだし、信じる人はたくさんいるのだ。

トランプの側近は、陰謀説があったことを証明するために、ありとあらゆる証拠を探していたようだ。そうだ、陰謀は創作されるのだ。我々には真実などわからない。

過去に起きたことを、第三者が証明しようとすると、そこには推測が絡んでくる。推測は創作的な要素が絡んでいる。そして、誰かが客観的な証拠をもとに事実認定するわけだが、これは難儀な仕事だ。また、事実認定に半年かかったとすれば、みんなその頃には事実がどうかなんて忘れている。

誰が情報を取り扱うべきかという問題に対しての、私の結論はこうだ。先ずは、しかるべきキャリアを持った人間で情報の取り扱いに関しての各種試験をクリアしている者、そして、その資格を持つと同時に面接での口頭試問をクリアした者、さらに、日常業務に関しての上司の推薦を得ることが出来た者、これら三つの条件をクリアした者をランダムに集めて、さらに彼らを一定期間を経れば異動させる。

これを繰り返すことで、誰かが恣意的に情報を操作する可能性をかなり低くすることが出来るのではないだろうか。面倒で手間がかかる?確かにそうだ。しかし、権力とは面倒で手間がかかる行為を、公平や公正のために、労を厭わずに出来る高潔な者にのみ、与えられるべきものだろう。周囲から見れば羨ましいが、実は、手にした者は手にしたことを後悔すること。これぞ権力の本質だ。だからこそ、政治家の顔つきがドンドン暗く老けていくことは、これはもう必然だ。

(了)

世界情勢コラム『世界時々フィクション(No.16)』アメリカの選挙結果は操作されていたのか!?

参考記事:
By Katie Benner,"Meadows Pressed Justice Dept. to Investigate Election Fraud Claims ", “The New York Times”, Published June 5, 2021 ,Updated June 7, 2021

ありがとうございます!大切に使います!